【デアゴスティーニ盤で聴くQUEEN】17枚目:豪華絢爛「Greatest Hits III」

デアゴスティーニ盤「Greatest Hits III」
QUEENのデアゴスティーニ盤のリリース順に、各作品の内容、そしてデアゴスティーニ盤の評価について書くシリーズ。今回は、1999年にリリースされた「Greatest Hits III」です。

前2作(「Greatest Hits」、「Greatest Hits II」)の後、「Made in Heaven」、そして”No-One but You (Only the Good Die Young)”がリリースされたため、何か理由をつけてベスト盤をリリースしたかったのでしょう。ジャケット表記を「QUEEN+」としたり、日本盤では「フレディー・マーキュリーに捧ぐ」というサブタイトルまでつけて、QUEENのベスト盤にしては他の要素が多すぎるという点への言い訳じみたニュアンス溢れる商魂たくましいコンピレーション・アルバムです。

こう書くと貶しているみたいですが、僕はGreatest Hitsシリーズ全ての中で本作を一番よく聴いています。大好きなアルバムです。

まず、フレディのソロ曲がかいつまんで聴けるところが良いです。フレディのソロ自体は良し悪しにムラがあるので、本作のように良いところだけ押さえておいてくれるとありがたいのです。

次に、ゲストが豪華です。”Barcelonaでの”モンセラート・カバリェはもちろん、”The Show Must Go On”を歌うエルトン・ジョン、”Somebody To Love”を(フレディそっくりに)歌うジョージ・マイケルと、いずれもQUEENでなければありえないようなコラボは聞き応えたっぷりです。

さらに、リミックスも面白いです。オリジナルには入っていないアドリブっぽい歌唱も聴ける”Under Pressure”、ラップを乗せてヒップホップにアレンジされた”Another One Bites The Dust”、特に前者はオリジナルよりも好きかもしれません。

最後は、選曲の良さ。”Princes Of The Universe”、”These Are The Days Of Our Lives”が入ってる点も素晴らしいですし、”Las Palabras de Amor (The Words of Love)”は、「Hot Space」の低評価に引っ張られて埋もれてしまった感がありました。というか、恥ずかしながら僕自身、このアルバムで「あれ、こんないい曲入ってたっけ」と再発見した覚えがあります(さらに恥を忍んで言うと、本作収録のフレディロソ曲”Living On My Own”の魅力に気づいたのは、宇多田ヒカル初の全国ツアー、千葉マリンメッセでのことでした)。「Made in Heaven」収録曲も、本作でかいつまんで聴くのがちょうどいいです。

QUEENのアルバムとしては歪なところが多いですが、QUEENに関わる美味しい要素がバラエティ豊かに盛り付けられていて、通して聴くとこれがなかなか楽しいのです。フレディがいたらありえない内容だからこそ、オリジナルアルバムでは作りえない、他の作品では味わうことのできない魅力に溢れています。

というわけで、いいところ満載な本作。実は僕は日本盤CDをずっと聴いていて、最後に収録されている曲が”I Was Born To Love You”なんですが、イギリス盤は”Thank God It’s Christmas”だということを、デアゴスティーニ盤の収録曲を見て気付いて愕然。曲としては”I Was Born To Love You”の方が素晴らしいけど、レア度でいえば”Thank God It’s Christmas”。「Made in Heaven」を持ってるということは、”Thank God It’s Christmas”で良かったとも言えるけど、いくらQUEENでも、いくらレアでも、つまらない曲はつまらない(現にQUEENのシングルB面曲は凡曲が目白押しです)のでなんとも……。

さてそのデアゴスティーニ盤ですが、2枚組なのにジャケットがゲートフォールドではなく「On Fire: Live at the Bowl」と同じ箱状なのがちょっと残念。しかし音質は大変良いです。ベスト盤なので録音状態がバラバラのものを集めていますが、マスタリングがいいのか、かなり音質の向上が感じられます。特に「Made in Heaven」は、本盤で聴くとはるかに魅力的に聴こえます。”Under Pressure”のイントロで聴けるフレディのファルセットも生々しくてドキッとします。”Princes Of The Universe”はそもそも録音が駄目なので、逆に本盤内では沈んでますし、”The Show Must Go On”、”Somebody To Love”もあまり録音が良くないですが、それ以外はフレディ、ブライアンのソロ含めて、音質もかなり楽しめる作品に仕上がっていました。

ベスト盤3シリーズの中でも特に、アナログ盤を手に入れていただきたい一枚です。

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