【デアゴスティーニ盤で聴くQUEEN】8枚目:選曲はいいけど……なベスト盤「Greatest Hits」

デアゴスティーニ盤「Greatest Hits」
QUEENのデアゴスティーニ盤のリリース順に、各作品の内容、そしてデアゴスティーニ盤の評価について書くシリーズ。”Bohemian Rhapsody”収録の「A Night at the Opera」から始まり、初期の名作「QUEEN」「QUEEN II」、後期の「Made In Heaven」「The Miracle」「A Kind of Magic」、そしてフレディ生前最後の作品「Innuendo」と続いてきましたが、8枚目となる今回は、QUEEN初期の名曲集「Greatest Hits」です。

要するにベスト盤ですが、ベスト盤というものに名盤なんてものはないとは言え、1曲”Bohemian Rhapsody”から始まるアルバムという圧倒的なパンチ力、各国収録曲が微妙に違えど前期QUEENの魅力が凝縮されていることから、オリジナル作品を全作持っているファンでも、この時期の名曲をまとめて聴きたい気分の時には針を落としたくなる、楽しいアルバムです。

81年リリースなので「Flash Gordon」までが対象となりますが、これによって以降の「実験→軌道修正→リハビリ→完全復活→フレディの最後」という、徐々に勢いが鈍って行きながら何とか抵抗している時代とは切り離された、上り調子で全能感に溢れ、実力と自信が兼ね備わった時代のみの凝縮された作品となっている上に、”Flash’s Theme”が入っていることによって、「Flash Gordon」を買わずに済ませるという利点もあります。かく言う僕も、QUEENのオリジナルアルバムで唯一、「Flash Gordon」だけは買ったことがありません(でも昔聴いたことがあって、つまんなかったから買わなかったと思うんだけど、当時YouTubeもなかったしレンタルもほとんど利用してなかったのに、どうやって聴いたんだろう。友人から借りたのかな)。

さてデアゴスティーニ盤ですが、ちょっといただけない。ジャケットはご覧の通り、元々しょうもないので仕方ないですが、ここまでにリリースされた7作品では、無地でレーベル面に穴の空いた内袋にビニールの保護袋が付いていて、それとは別に歌詞の載った(作品によってはイラストやカラー写真なども載った)内袋が付いていましたが、本作は各曲の当時のシングルジャケットの画像の載った内袋のみで、歌詞も無し、無地の内袋も保護袋もないという簡易さ。後の「Greatest Hits II」もそうだったので、何かデアゴなりのルールでそうしてるのかもしれませんが、ちょっとよくわかりません。

そして肝心の音ですが、全体的になぜかヒスノイズが気になります。大元のマスターテープを元に本作用にマスタリングしてつなぎ合わせてるんだと思いますが、それによって全体にゲインを上げたせいか、演奏の後ろで「サー」という音が、結構大きくなっています。そして、曲ごとに調子が変わったり、揺れたりしています。昔本作のアナログ盤を持ってたんですが、中古盤で購入したことで、1曲目から針飛びしていたためにさっさと処分してしまったので、デアゴ盤だけの特性なのかそうではないのか比較ができません。ただ、QUEENの音楽を味わう上では、やや引っかかるところです。

選曲も良く、できれば時折引っ張り出して聴きたい作品ですが、アナログ盤で持っておくべきアルバムかと言われるとそんなでもないですし、2枚組で割高なので、定期購読組でなければ見送ってしかるべきでしょうね。

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