【デアゴスティーニ盤で聴くQUEEN】10枚目:”当時は”名盤「Live Killers」

デアゴスティーニ盤「Live Killers」
QUEENのデアゴスティーニ盤のリリース順に、各作品の内容、そしてデアゴスティーニ盤の評価について書くシリーズ。10枚目は、QUEEN初のライブアルバム「Live Killers」です。

「Jazz」リリース後のツアーでの演奏を収録しており、言わば「ハード・ロック・バンド」としてのQUEENの集大成的な作品とも言えます。冒頭を飾る”We Will Rock You”のファスト・バージョンの格好良さ、”Keep Yourself Alive”のスピード感、ロジャーの「Rock & Roll!」のシャウトから始まる”Sheer Heart Attack”の破壊力。

それだけでなく、”Love of My Life”でのオーディエンスとの大合唱、高揚感の塊のような”Don’t Stop Me Now”、そして”We Will Rock You”〜”We are the Champions”〜”God Save the Queen”で締めくくるという、当時のQUEENがどれだけノッていたか、ロックバンドとしてどれだけ優れていたかを実証したかのような作品です。

今となっては、ライブ作品はCD、ビデオ含めたくさん手に入りますが、リリース当時はコンサートに行かない限り知ることはできず、僕が初めて本作を聴いた90年台中頃であれば、コンサートは既に観ることができず、ビデオソフトは80年代以降のものばかりで、彼らの演奏が最も熱かったこの時代のものは観ることができませんでした。

僕は本作が本当に大好きで、購入当時すごく興奮&感動して何度も何度も繰り返し聴いていましたが、それでもちょっと辛いな、と思ったのは、”Now I’m Here”でのコール&レスポンス、”Brighton Rock”でのギター・ソロでした。どちらも長い。無駄に長い。前者などはフレディのお客さんとの掛け合いなのでそれなりに楽しめなくもないですが、その前後にディレイで飛ばした演出が入っていて、こことかどうでもいい。後者のギターソロは、最後の最後までフレディの休憩&着替えタイムとして演奏されてましたが、毎回つまらない。ディレイで重ねる演出も、別に面白くない。昔のロックバンドはコンサートの中でギター・ソロやドラム・ソロの時間を割いていることが多くて、大体トイレタイムだったという話ですが、まあそりゃ今時のバンドはやらないですよね。ということで、この冗長さがなければもっと良かったのに……というか、僕が”Now I’m Here”や”Brighton Rock”、ひいては「Sheer Heart Attack」というアルバムが当時あまり好きじゃなかったのって、このライブでの心象が強すぎるからなんだ、ということに最近気づきました。

あともう一つの問題は、音の悪さです。曲によってはオーディエンス録音かと思うほどのものまでありますが、とにかく全編通してスピーカーの向こうの方で演奏してる感じがして、肉薄するような生々しさが全くありません。特に、2000年以降にリリースされた80年代初期のライブ作品や、「Live at the Rainbow ’74」の音が結構ちゃんとしてただけに、その悪さはより強調されてしまいます。

それでも愛着のある作品ですし、演奏自体は素晴らしい(前述の”Keep Yourself Alive”なんて、未だにこのテイクが一番好きです)ので、本作を推したい気持ちはあるんですが、ではデアゴスティーニ盤を買う価値があるのかと言えば、「別にない」と言わざるを得ません。リマスタリングもハーフスピードマスタリングも屁のつっぱりで、むしろレコードで聴く方が音の悪さが誇張されるようで、4面全部聴こうという気力すら萎えてしまいます。

これぞコレクターズアイテム。な上に、コレクターなら、2枚がそれぞれ赤と緑のカラーヴァイナルになっている中古盤を手に入れるのがよろしいかと存じます。

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