この日は、東京厚生年金会館にキース・エマーソンを観に行きました。
実は、三年前の公演を収めたライヴ・アルバム「ヴィヴァシタス~ライヴ・アット・グラスゴー 2002」での、かなり強烈なモタりとミスタッチの嵐に少々不安を引き摺っていたんですが、あれほど酷くは無く、完璧ではないにしてもかなり安定していて、ソロ・パートなども、さすが、と思わず唸ってしまうようなフレーズが連発していました。
結構嬉しかったのが、「Bitches Crystal」や「Living Sin」といった、「大作の中の小曲」を聴けたことで、長大な曲よりも、こういう「小粒でピリリと辛い」曲の方が好きだという人、意外と多いんじゃないでしょうか。
それにしても、今時、ツアーの機材はコンパクトにまとめることの多い中、要塞のような巨大なモーグ・シンセをわざわざ用意したり、キーボードを反対向けに演奏したり、板状のシンセを擦ったり振り回したり、という、キースにファンが求めているアトラクション的なパフォーマンスで楽しませながらも、数多有る代表曲を残しながら、唐突にLed Zeppelinの「Black Dog」をフルで演奏する(しかもそこから、エンディングでのキーボードのロングトーンから「Fanfare For The Common Man」への繋ぎ方の、何と格好の良いこと)など、自分達が楽しむことも忘れない(グレッグ・レイク似のボーカルを聴かせてくれたデイヴ・キルミンスターが、結構ハイトーンが苦しそうなんだ、これが)その姿勢には、「うぉう、オッサン、やりよるなぁ」と感嘆せずに入られませんでした。
昔夢中になって聴いていた「Tarkus」や「Ladies And Gentlemen」の頃のような、若さ爆発の凄まじいエネルギーは当然のことながら後退していたものの、当時の「お馬鹿」なテイストや「キース・エマーソン印」のキーボード・サウンドは健在でした。
ヴィヴァシタス~ライヴ・アット・グラスゴー 2002 | |
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キース・エマーソン&ザ・ナイス
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