感染ライブ at METRO (Kyoto)

この日はMETROで行われた感染ライブに行って来ました。METROに来たのはTokyo BOREDOM in Kyoto以来

感染ライブ at METRO

そのTokyo BOREDOM in Kyotoの時、長時間のMETROとフロア演奏が聴覚的に厳しいことは経験済みでしたので、忘れずイヤーピースを持って行きました。

機材はフロア中央、通路のある右手の柵に背を向け、バーカウンターと向かい合わせになるように設置され、バンドごとにその場でセットチェンジ、幕間はDJの演奏というスタイルで、演奏が30分前後、DJが15分ずつという進行でした。

長く続いているイベントということもあってか、タイムテーブルからはみ出すこと無くテンポよく進行していましたが、その安定感とは相反するように、フロアは終始カオスな雰囲気。演奏するバンドの前は人がひとりか二人通れる程度の狭さなので、お客さんは嫌が応にもバンドを真近くで取り囲むように見る状況で、プレーヤーとオーディエンスの境界線はありません。ステージとフロアと分けられた時に生じる、ある種の“他人事っぽさ”を排除した剥き出しの現場感、肉体性は、出演者もお客さんも巻き込んで、荒々しいリアリティを生み出していました。

この日は、今まで観たいと思っていたけどなかなか観る機会が無かったアーティストをまとめて観ることも出来たんですが、特に印象的だったのがVIDEOTAPEMUSIC。VHSデッキにミキサーやエフェクターを繋ぎ、映像とともに奏でられる異形のラウンジミュージックは、VHSの画質と昭和の香り漂うソースの枯れ具合が相俟って、ノスタルジックな雰囲気とむず痒さを伴うような心地良さに溢れていました。映像は、ドラびでおほど作為的ではないし、いわゆるVJのように映像のみで分離しておらず、映像内の音声も音楽の一部となっていて、独特のオリジナルな世界を生み出していました。演奏はビデオデッキにカセットを差し込んで再生するという今まで見たことの無い形態で、それに併せてピアニカを吹いたりラップを重ねたり、しかもそれをひとりでやっているんだから、「天は二物を与えず」なんて言葉は21世紀には通用しないんだなということを痛感します。

ボーイズヤングもこの日が初見でしたが、ブルーハーツから脈々と続く“青春パンク”そのものといった感じ。森雄大のギターはneco眠るでもAUTORAでもこのボーイズヤングでも、一聴してそれと分かる個性的なあの音で、他のメンバーもそれぞれのバンドでのサウンドを継承していて、実はスタイルこそ違えど、neco眠るも白い汽笛もチッツも根底のテーマは同じで、それをみんなで集まってうわーっと楽しくやったらボーイズヤングなんだ、ということに気付き、そんなところも聴いていて面白かったです。

演奏中、寺島タマミは天井からぶら下がってキーボードを弾いたり足で踏みつけたりとアクロバティックに暴れながら演奏していましたが、後半では暴れているうちにキーボードのアダプタのケーブルが根元から千切れて演奏不可能に。鍵盤も最初から白鍵が一個、変な具合に曲がってましたが、ちゃんと修復されるんでしょうか……。

どのバンドもこの日が初見でしたが、唯一何度か観た曽我部恵一は、それでもサニーデイを観た4年前以来。ソカバンが徐々に自分の好みと離れて行ったのを機にあまり聴かなくなりましたが、震災以降の展開がまた新たな方向に進んでいった感じがして気になり始めていたところでした。

この日の若く血気盛んなメンツの中で唯一、滋味深い渋さを漂わせていました。歌声の魅力、言葉の艶やかさはさすが。“青春狂走曲”“おとなになんかならないで”など、お馴染みの人気曲も多めでしたが、新しい曲をもっと聴きたかったかな。でも、最後にHi,how are you?と演奏した“夢見るようなくちびるに”は良かったです。

そのHi,how are you?がトリでしたが、いまいち響いてくるものが無かったので、数曲聴いてから帰路へ。

音響的な悪さは、耳栓をしていると意外に気にならなくて快適でしたが、喫煙フロアに6時間はやっぱり辛いものがありますね。翌日も上着から煙草の臭いが取れない感じ、久し振りでした。

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