シャムキャッツ×Turntable Films スプリット12inchアナログシングル リリースツアー at Shangri-La (Osaka)

この日はシャングリラで行われた「シャムキャッツ×Turntable Films スプリット12inchアナログシングル リリースツアー」に行って来ました。

一年ぶりのシャングリラだったので、道すがらの風景がグランフロント大阪の登場による激変ぶりにかなり戸惑いつつ、オープンカフェでお茶をしばいてる人々をスルーして地下通路へ向かうと、いつもの馴染みの風景。

開演10分前ぐらいに会場前に着くと、入場待ちの列と、当日券待ちの列が。この日のライブはシャムキャッツとTurntable Filmsによる12inchスプリット盤のレコ発だったんですが、チケットを通常版とそのアナログ盤付きのものと2種類販売していて、アナログ盤付きのチケットを購入した人は物販でアナログ盤と引き換えが出来るバッジのようなものを貰って入場。ライブ会場に行って物販で買い物しようと思っても、その時には大体手持ちが無いか、なんとなく買う気が失せてしまう僕にとってはこの発券方法は結構有り難いので、当然アナログ盤付きのチケットを購入しました。アナログ盤はプレス枚数も少ないし、気づいた時には入手困難ということも多いので、ライブのチケットに付けてしまうのはなかなかいい方法だと思ったんですが、こういうことは過去に例があったんでしょうか。

ステージ上先鋒はシャムキャッツ前回観た時から1年半近くぶりで、その間に2ndアルバム「たからじま」のリリースもあり、バンドの充実度はなかなかのものでは……という期待を抱きながら、シャングリラの高く、大きなステージを見上げながらバンドの登場を待っていました。

初っ端の出音から感じたのは、バンドとしての「成長」……というよりも「変化」でした。

リズム隊がタイトに楽曲を支えながら、レイドバックしたテンポで歌い、奏でられるサウンドは、1年半前に観た時のものよりも更に安定感と厚みを増し、しかもよく聴いていると曲の中でメラメラと燃えるような炎が揺らめいているような激しさも兼ね備えたような、より磨き上げられたグルーヴが生まれていたように思います。

それは、演目が「GUM」以降に絞られていたことと、サウンド的にもそれらの作品とあまり乖離しなくなってきていることも大きいでしょう。以前はスタジオ録音では収め切れない、衝動的なロックの爆発力とボーカル夏目氏のセクシーさが彼らのライブの魅力になっていたように思いますが、器楽面での成長によるものか(機材も大幅に入れ替えたらしいですが)、演奏が洗練されてゆき、デモ音源でのCD-Rリリース以降のアレンジ・録音を通して様々な要素が整理され、「シャムキャッツらしさ」が新たに組み上げられた、という感じがしました。

特にギター菅原氏のボーカルの導入は、飄々としながらも艶かしい夏目氏の甘い声と比べるとより素直で、郷愁すら感じさせる味わいがあり、同バンドの魅力により広がりが感じられ、それはバラエティ豊かでありながらシャムキャッツらしい濃度・密度を詰め込んだ「たからじま」の性質とも符合しています。夏目氏のボーカルが、昔の少年的な「甘い声」から、やや大人の香りも漂う甘さに「変声」していて、ライブにおける歌の表現力が増しているのも、バンドが強いエネルギーを持って変化していく推進力になっているのでしょう。

まるで見違えるような、とても新鮮なフィーリングに溢れたライブでした。これは昔のシャムキャッツにあまり興味がなかった人にも、ぜひ観てほしいな。

セットチェンジの合間に、物販でアナログ盤の引き取りついでに、シャムキャッツのスタジオライブ盤と夏目氏のソロ作を購入。本当は買うつもりでもなかったんですが、ライブが良かったのでどうしても欲しくなってしまいました。

後攻Turntable Filmsは初見。弾力感のあるシャムキャッツと比べると繊細に作曲・編曲された端正なサウンドがコントラストを生み出していたのが印象的でした。

カントリー、ラテンなどの要素を盛り込みながら、演奏と楽曲の完成度の高さで否応無しに聴かせる力強さはなかなかのもの。京都出身で、関西弁のMCで和ませる感じや眼鏡のルックスも含め、くるりの影響下にあることを感じずにはいられませんが、楽曲は全く違う話法で聴き手を引きつける魅力を発していますし、後半に向けての盛り上げ方の上手さなども含めて、10年代デビューのバンドとは思えない存在感がありました。

最後はアンコールでスプリット盤収録のシャムキャッツのカバー“BOYS DON’T CRY”を演奏した後、シャムキャッツのメンバーと合流してのBeatles“Tomorrow never knows”で終幕。ジョン・レノン風眼鏡をかけた夏目氏が最前列の女性客に自分が吹いていたカズーを差し出し、やや瞳孔開き気味・口半開きの表情で吹くように指示していたのがなんだか印象的でした。

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