QUEEN + Paul Rodgers at 横浜アリーナ (Kanagawa)

今日は、横浜アリーナQUEEN + Paul Rodgersを観に行きました。
QUEENに思い入れがある人なら、誰もが葛藤を感じるであろう「再結成」、しかもジョン・ディーコンもいないわけで、恐らく期待と不安がないまぜだったのは、僕だけではなかったと思います。

始まった瞬間、まず感じたのは、ロジャー・テイラーのドラムがかなり衰えを感じさせるという事と、ポール・ロジャースの歌が、笑っちゃうほどうまいという事。ポール・ロジャースは、とにかくひたすら上手い。年を経るごとに艶を増し、衰える事を知りません。フレディのようなマッチョでカリスマティックなパフォーマンスが無い分、思わず唸ってしまうほどの声の表現力で補っていたという感じでした。
そう、この日のコンサートは、フレディのいない分、メンバーが自分達の手駒を余すところ無く使い切り、エンタテインメントとして、QUEENの名に恥じぬものを一生懸命作り上げたものだ、と言えるでしょう。
FREEやBAD COMPANYの名曲も披露してくれたポール、アコースティックのコーナーでは、あのか細く美しい声で泣かせてくれ(「手をとりあって」には、マジ泣きしました。……いいじゃないか、ベタな曲で泣いたって)、ギターソロでは、あの人懐っこいような音色で、昔のままの、ディレイをかけたフレージングを聴かせてくれたブライアン、そして、ドラム・プレイこそ昔の勢いが感じられないものの、その分、「RADIO GA GA」や「I Was Born To Love You」で、渋みを増したあのハスキーボイスで見事なリード・ボーカルを聴かせてくれたロジャー。

本編のラスト、「Bohemian Rhapsody」では、オープニングのピアノパートから、フレディのライヴテイクを使用し、スクリーンには、ピアノを弾きながら歌い上げるフレディ。そのまま、有名なオペラティックなパートに入ると、スクリーンには、在りし日のフレディの姿が、次から次へと映し出され、感極まったところで、バンドが入ってきてハード・ロック・パートへ……涙が溢れ出てきました。
誰よりもフレディの事を愛し、フレディがどれだけ偉大な存在で、そして誰よりも、フレディ無しではQUEENは成立しない、というのを自覚しているのは、ステージで全身全霊を傾けてプレイしている彼らでした。それでもバンドを率いてツアーをしている事に抵抗を感じないわけではありませんが、それでも、「みんながフレディの代わりに歌って」と「Love Of My Life」を一緒に歌った時のブライアンの気持ちは本当だと思うし、「I Was Born To Love You」が、QUEENの曲ではなく、フレディのソロ曲だという事を思えば、ならば逆に、あの曲をロジャーとブライアンがアコースティックで演っている姿を見て、天国のフレディはきっとあの大らかな笑顔で拍手してくれているに違いない、と、そんな風に思えてなりません。

このバンドは、名実共に「QUEEN」でありません。断言できます。しかし、今まで何百回とコンサート会場に足を運んで来た中で、涙を流すほど感動したコンサートは初めてでした。

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