今日は、名古屋ブルーノートに菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールを観に行きました。
名古屋のブルーノートは初めてでしたが,店内のレイアウトも飲食メニューも大阪と全然違うんですね。とてもお上品な松茸ご飯とジントニックを頂きました。
場内が暗転し,ステージに登場するペペ・トルメント・アスカラールの皆様。リズミカルに刻まれるパーカッションに、菊地成孔が華麗なタクトでハープ、バンドネオン、ストリングスの音を重ねては消し,重ねては,消し……と、DCPRGでもクインテット・ライヴ・ダブでもお馴染みのタクトを見せているうちに、やがて南博が、これ以上無いほど繊細で美しいタッチを響かせると,バンドは「京マチ子の夜」をスタート。溜め息の出るような演奏にうっとりしていると,曲間を空けず,菊地成孔が独りでテナーソロを披露し,身悶えするような「You Don’t Know What Love Is」ヘ。もうこの時点で,完全に心を奪われていました。
ゲストのカヒミ・カリィは、大阪で観た時と同じポエトリー・リーディングと「The Look of Love」、アンコールで「Crazy He Calls Me」に参加していましたが,この日は,カヒミ・カリィよりも菊地成孔の声の方が「濡れていた」ように聴こえましたが,病み上がりだったからでしょうか。
ペペ・トルメント・アスカラールも初見でしたが,クインテットよりもメンバーの多い分,タクトが非常にダイナミックに機能していて,サウンドのON/OFFがDCPRG以上に効果的だったように感じました。
本編ラスト「ルペ・ベレスの葬儀」をドラマチックに披露。アンコールで戻ってきた菊地成孔に、ファンが一輪の白いバラを手渡すと,「僕はバラの香りを,香水で台無しにしちゃうのが好きなんです」と、「Crazy He Calls Me」を歌うカヒミ・カリィの横で,バラに香水をかけまくり(前方のテーブルで観ていた僕の鼻孔を強く刺激するほど),何度も鼻に押し付けていました。やがて、それまで演奏中はポーカーフェイスだったのがふいにニヤけたかと思うと,花びらを左手の中で揉みしだき、弄び,一枚ずつ引っ張り上げては引きちぎり,はらり、と、足下に落としていました。それがあまりにも卑猥で,美しく,官能的だったので,虐め,愛撫されるバラを見ながら,両手にじっとりと,汗をかいていました。
白バラのように美しく,媚薬のように官能的な一夜でした。これは大阪にも是非来ていただかねば。
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南米のエリザベス・テーラー 菊地成孔 イーストワークスエンタテインメント 2005-05-02 |