今日は名古屋のダイアモンドホールにTHE CORNELIUS GROUPを観に行きました。CORNELIUSのライヴを観るのはこの日が初めて。
開演前には、ステージの前にスクリーンをかけ、テレビのカラーバーのように、青、白、黄色、赤の帯がプロジェクタからランダムに映し出され、それとシンクロしてウィンドチャイムの音が鳴るという仕掛け。まず、シンプルな4つの色を表示するだけでアルバムジャケットを連想させるデザインの完成度の高さに感服。完璧なブランディングですね。
そして、開演と同時に、この4つの色がメンバー4人と連動していることが分かる、という演出が実にシャープ。先ほどまでただランダムに表示されていたカラーバーは、各メンバーの演奏と連動し、スクリーンの向こう側で演奏するメンバーのシルエットを浮かび上がらせ、演出効果を際立たせるように入れ替わりに断片的な音を出していたのが、名古屋城の写真をバックにした「こ」「ん」「ば」「ん」「わ」の挨拶とともに、“SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW”の「幕」はきって落とされ、「Breezin’」でスタート。
ハコのせいかPAのせいか、始まった瞬間「音が悪い」と感じました。バンド全体の音もぼやけているし、中域で声もあまり張らない小山田氏の声も非常に聞き取りにくい。映像も楽器の音も歌も、全てが同期していることが大きなポイントとも言えるこのステージで、これはちょっと残念でした。
しかし演奏は素晴らしく、まるでクリックを聞いている気配も無いのに映像と完璧にシンクロしていることに驚いていると、そのうちそのあまりの自然さに、絵と音の境目が分からなくなり、まるで音に合わせて絵が次々と生まれていているような錯覚に陥りました。特に「Fit Song」の隙の無いプレイと、見るものを引き込まずにはいられない見事な映像には、ぽかんと口を開けたまま、しばし放心状態でした。
「Wataridori」での、空を飛び続ける映像とのシンクロも実に感動的で、まるで鳥の動きを制御しているようなギターの音色の美しさに、目頭が熱くなりました。
また、ステージ上にファインダーを客席に向けたビデオカメラ(照明つき)を設置し、たまに客席を映しては、その場でサンプラーか何かに取り込んでプレイする、という趣向が、あまりアドリブの余地が無いであろうステージ(客をステージに上げたりサンプラー叩かせたりはしていましたが)の中で、突出して「遊び」の感覚が強く、しかもお客さんとも共犯関係が築ける(アンコールでは、このカメラを使ってみんなで記念撮影もしてました)、非常に面白いアイデアだと思いました。
アンコールを含めても100分ぐらい。やや短めのショウでしたが、密度と完成度の高さが時間を凌駕していたように思います(というか、このテンションで2時間も3時間も演ったら、ツアーが終わったころには神経症でも患ってしまいそう)。
今や誰の模倣でもない、唯一無二の音楽を作り上げているCORNELIUS。無国籍なサウンドでありながら、しかし一つ一つの音からは、確かに「日本的」なものが(こぼれんばかりに)迸っている……こんなアーティスト、ちょっと他には存在しないのではないでしょうか。
Sensuous | |
Cornelius
ワーナーミュージック・ジャパン 2006-10-25 おすすめ平均 |
ほんと、おっしゃるとおり、すばらしいライヴでしたね。