この日はepokで行われた「shining 2」に行ってきました。
オープニングは枡本航太。しゃがれた歌声と、アコースティックギターやピアノによる弾き語り。とは言え、歌わずひたすら指先だけが音を紡いでいたり、つぶやくような、遠吠えのような声を重ねたりと、単なる弾き語りでは収まらない演奏でしたが、歌もギターもいまいち心まで響いて来ず、ピアノが少し擦ったかな、というところで留まっていました。なんか面白そうなんだけど、その輪郭がぼやけてていまいち伝わって来ない、という感じ。多分、過去には色んな形態での音楽をやって来ている人なので、それをふまえて聴くと伝わり方も違うのかも知れませんが、知らずに聴くとそんな印象でした。
続いては穂高亜希子。昨今の弾き語り系女性シンガーソングライター(って、今もそんな言い方するのかな。死語っぽいけど)の多さには辟易としてて、余程のインパクトがない限り聴く気になれないんですが、この人もそんな感じでした。悪くはないけど、わざわざ聴くほどのものが感じ取れないまま、声が出きらず、喉の奥がプルプルと音を立てているところや歌い間違いばかりが気になり、最後、歌詞が飛んだからとピアノの前にじっと座って思い出している間に眠ってしまいました。
最後はとうめいロボ。最後に観たのは約4年前。当時のライブでの印象など、記憶がほぼ薄れて来ているところで久々に生で聴いたら、その圧倒的な声の力と存在感に胸が詰まる思いがしました。まだ若く固さもあったアルバムでの声は、適度なエージングで丸みと厚みを帯び、囁くような声から胸が張り裂けんばかりの絶唱までを自在にコントロールし、感情の起伏や言葉のニュアンスを見事に表現していました。言葉のひとつひとつもより説得力が増しており、普段歌を聴いていても歌詞の単語が頭に入って来ない僕の心の中にもするりと入り込んでくるような感触がありました。
長らく作品のリリースがありませんが、今のこの声で録られた新しい曲が聴いてみたいです。
とうめいなじかん | |
とうめいロボ
Pヴァイン・レコード 2009-02-06 |