この日は旧グッゲンハイム邸で行われた「天辺から爪先までvol.11」に行ってきました。
この日の旧グはアリさんが東京でのライブのため不在でしたが、ご子息の恩ちゃんは超ご機嫌で、敷地内の全ての人に懐きまくり、可愛い笑顔を振りまいていました。
オープニングのムーズムズは観るたびに印象が違うんですが、この日はバンドアンサンブルとボーカルが一体となってタイトな演奏を繰り広げており、かなりの好感触。イルリメに通じるやや甲高く芯の抜けたような声も、楽器のひとつとして上手く機能していたように思います。
以降はどのバンドも初見。
惑星のかぞえかたは、女性のアコギ弾き語りに男性のアコギを加えたフォーキーなデュオ。と落ち着いたまろやかな声と穏やかに絡み合う二本のギター、ゆったり自然と身体に沁み入るような曲のテンポ、楽曲のシンプルかつ味わいのある魅力が絶妙に絡み合っていて、なんとも言えない心地良さの中に、シンプルで穏やかだからこそ生まれるスリルに、じわじわと気持ちが高ぶってくる感覚がありました。それはちょうど、何気ない日常生活の中でふと幸せに心動かされ、胸がいっぱいになるような感覚に近いかも知れません。
QURAGEはギター/ボーカルとドラムスのデュオ。楽曲はオーソドックスなロック/ポップスという感じで悪くはなかったんですが、演奏にそつがない分やや面白味に欠けるかなぁ、といったところ。
ラストのOCTAVIOは、ギターやジャンベ、鉄琴など、異文化の楽器を織り交ぜての無国籍サウンドを奏でる四人編成のバンド。最小限の楽器編成ながら大陸的な広がりを感じさせるスケール感が圧倒的で、何故この編成でアメリカのだだっ広い原野を想起させるようなプリミティブなダイナミズムを感じさせてくれるのか不思議なほど。それによるものか、いわゆるトライバルなサウンドを模倣した演奏や懐古的なサウンドにはならず、しかも安易にトランシーなダンスミュージックに陥らず、祝祭性に溢れながら冷静に音と対話をしているようなクレバーさも感じられるところがまた魅力的。
以上でイベントは終了。会場には知人や久し振りにお会いする人も結構いて、旧グの居心地の良さも手伝って長居したくなりましたが、後ろ髪引かれる思いでそそくさと帰路へ。
この日はOCTAVIOも素晴らしかったですが、ベストアクトは惑星のかぞえかた。また観たいです。