SOUL FLOWER UNION at Shangri-La (Osaka)

この日はShangri-Laで行われたソウル・フラワー・ユニオンのイベント「闇鍋音楽祭 2012」に行ってきました。ソウル・フラワーのライブは2年ぶり、フルボリュームのロングセットは3年ぶり、そして闇鍋は4年ぶりのご無沙汰。

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向井秀徳は今までZAZEN BOYSでしか観てなかったので、この日初めてソロで観ました。

一時期ZAZEN BOYSは夢中になって聴いていたことがあり、アルバムもライブ盤含めて買い集め、ライブにもそれなりに通ったりしていましたが、ライブにもしばらく行かなくなり、普段聴くこともなくなってから彼の歌を聴いてみると、果たしてこの音楽が真っ新な気持ちで聴く人にどれだけ届くのだろうかという疑問が湧き上がります。

実に個性的で、彼にしかできないような弾き語りのスタイルを確立しているな、とは感じましたが、どうも彼の音楽をよく知っているお客さんとの共犯関係を前提として成立しているように聴こえて仕方がありませんでした。

ソウル・フラワー・ユニオンは久々に観ましたが、やはりというかもちろんというか、相変わらずの楽しさ、素晴らしさ。そしてもちろん、ソウルフラワーにとっての「変わらない」は「ずっと変わり続けている」と同意であり、特に震災後初めてだったこともあり、その「必然的な」変化の数々に、ファンとしては大きく頷く限り。「うたは自由を目指す!」「平和に生きる権利」「極東戦線異常なし!?」では歌詞の一部が変えられていましたし、そのままの歌詞で歌われながら意味の刷新を感じざるを得ない「ビッグ・アップル」、短いインストながら強く印象に残る「不屈の民」と、東北に向けて、原発に向けて強いエネルギーを発しているのがあらゆるところから垣間見え、それはお客さんが着ているソウルフラワーのTシャツに描かれた「NO NUKE」がフロアに溢れているという、その情景の変化にも表れていました。

それでいて、中川敬は「今日は阿呆になろうや」と満面の笑みで楽しそうに歌い、MCでは奥野との相変わらずの悪態の付き合いや馬鹿話(ソウルフラワー基金の話もしていましたが)。もちろん新曲も披露し、その曲のタイトルがそのまま次のツアータイトルに冠されているというのもいつも通り。そこには「続けること」を大事にする彼らの強い意気込みを感じますし、その日常の積み重ねの上に被災地への道があるのだということが改めて理解できたような気がします。

なにより再認識させられたのは、楽曲の「強さ」でした。何度もクライマックスが訪れるような名曲の数々の連発に興奮と感動で胸を熱くさせられつつ、前述したような歌詞の変更や楽曲の持つ強い政治的メッセージはそこかしこに容赦なく盛り込まれ、楽しいながらも現実に目を向けさせる力に手加減はありません。にも関わらず、音楽としての楽しさ、ダンスミュージック、ロックミュージックとしての魅力には一切の支障がありません。はっきり言って、この日も音響面はかなり悪く、楽器ごとのバランスもセンターボーカルばかり全面に出てくる歪なもので、上村美保子のコーラスと高木克のギターはものすごく聴こえづらい状況でしたが、それを全て凌駕するほどの「歌」の力。この問答無用の強度の高さが、日々社会にコミットメントし続けたことによって育まれているということを強く感じることができました。

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