Vi-code 8th Anniversary 八祭 Guru Guru vol.2 at Vi-code (Osaka)

この日は中津Vi-codeで行われた「Vi-code 8th Anniversary 八祭 Guru Guru vol.2」に行ってきました。

Vi-codeは初めてでした。広めのロビーにライブハウスらしい黒基調でスクエアなフロア。オーソドックスながらも、音はカッチリと適度に締まっていて音響的には結構好み。

構成は、トップバッターにキツネの嫁入り、その後Tam Tam、Ajaraとダブレゲエ系が続き、トリはシグナレス、そして舞台転換時にはguitar noiz orchestra、という流れ。非常にハンバーガーっぽい組み合わせなんですが、終わってみれば、一番美味しかったのはバンズだった、という結果でした。

Tam Tam、Ajaraはどちらも演奏も楽曲も良く出来ていたし、歌唱力も申し分無いパフォーマンスだったんですが、完全に予想通りというか、「こんな感じの音で、こんな感じに演奏するんだろうな」というイメージそのまんま過ぎて、飛び抜けた部分や新しい要素が見受けられませんでした。

guitar noiz orchestraも、ギターにカオスパッドやサンプラー、Macを使えばこんな音楽をやるんだろう、というイメージから逸脱したところがなく、幕間のBGMのようになってしまっていたのが非常に残念でした。

どちらも「手堅い」という印象があったんですが、そこはやはりドギツいくらい攻めて欲しい、と思うわけですが、その点、この日のキツネの嫁入りは、いつもながらの常温ムードを漂わせながらも、古い曲を排除し、現在進行中のレコーディングの熱気をぶち込んだような激しい自己主張とたぎるようなエネルギーが感じられる「攻め」のパフォーマンスだったと思います。元々ジャンル分けの出来ないワンアンドオンリーな音楽性でありながら、そのポジションに胡座をかかないアクティブさが素晴らしいです。あと、これまであまり音のタイトなライブハウスで観たことが無かったので、現在のドラムセットのある編成の演奏の中では一番クリアで厚みのある音が楽しめました。

木琴の出番が無く、曲も複雑な構成のものが多いこともあって若干シリアス過ぎる気もしましたが、現在制作中の新曲はシンプルなコード進行のオーソドックスなものになっているそうで、今もまた彼らにとっては通過点ということでしょうか。

そしてシグナレスは、恐らくこの名義になる前にボロフェスタか何かでチラッとは観ていたと思うんですが、ちゃんと観たのはこれが初めて。その頃はバンド編成だった気がするんですが、この日は池永正二=ラップトップ&ピアニカ、ゆーきゃん=歌、という二人編成。

一曲目、ラップトップのモニター意外は真っ暗なステージの上で、街中の音のサンプリングからの壮大な電子音の渦の中、「さよならアメリカ さよならニッポン」の歌詞がハイトーンボイスで繰り返された時点で既に心は鷲掴み。

幕が開くように照明が灯り、劇的なダブサウンドの響き渡る次曲がスタート。以降は四つ打ちをメインとした打ち込みビートに、音響的に届く歌声が乗りながら疾走するダンスチューンの連続。あら恋ともゆーきゃんとも違う、二人に備わった別の側面が、しかし二人の象徴的な個性のもとに組み合わさって、絶妙なねじれ方をしたダンスミュージックが生まれていました。

結局のところ、世の中に溢れ返って処理しきれないだけの数の音楽がある中で、過去にあったものの焼き直しや、昔聴いていたものを忠実に再現したもの、「このジャンルといえばこんなスタイル」といったクリシェによって組み上げられた音楽は、この日のように偶然耳にすることはあっても、意識的に観に行こう、聴きに行こうとは思えません。仕事や子育てに忙しく、お金にも余裕が無い中、せっかくライブ会場に足を運ぶなら、観たことの無いもの、聴いたことの無いもの、他に誰もやっていないものを聴きに行きたいのです。驚き、発見、謎にこそ魅力を感じるのです。

ノー・シグナル
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