前回は前半に大熊さんが芝居がかった喋りで進行していましたが、今回はいつもの大熊さん(地中山脈の時に突然芝居がかった喋りをしようとして失敗したりしてましたが)。
選曲は、前回のセットリスト+新曲という感じで、「HERAKLION」で始まり、「スカラベマーチ」や「道化師」のようなお馴染みの曲に、昨年初披露の曲、京都初演の曲を交えながら、「ちぎれ雲のバラード」(後半にかけてドラマティックに展開していくところがとにかく圧巻。シカラムータの新たなスタンダードですね)が今回の本編ラスト。
ということで、一曲目とラストは昨年と同じながら、新曲がふんだんに盛り込まれ、この日も聴き応えたっぷり。
「Stara Planina」のブレイクのパートでは、大熊さんは吉田さんを凌駕する暴走ぶりを見せ、ひとり奇声を発する表情をメンバー含め全員で口をあんぐりさせながら眺めるという見事なシチュエーションが作り上げられていました。
吉田さんのドラムは、今年は日本の新音楽やサンヘドリンで観ていたので、「変拍子の限界に挑む」ような、目にも止まらぬ無呼吸ドラミングと比べると随分大人しく聞こえるな、とも思いましたが、逆に言えば、これだけきっちりと曲の構成が固まっている曲を叩く、ということが珍しい人なので、それだけでも見応えがあるし、何しろ、決まったリズムやテンポの中で、手と足でポリリズムを繰り出したり、わざと拍をずらしてアンサンブル全体を揺さぶったりと、終始ドラムセットからアイデアが飛び出してくるんですから、聴いていて唸るやらニヤつくやら、もう楽しくてたまりません。
メンバー紹介の時に大熊さんに「ほんと、怪物ですよね」と言われて、「えぁ。……うん」と言っていたのが面白かったです。まあ、あそこまで到達してると、そりゃ怪物の自覚ぐらいあるだろうな、と。
前回、迫力のチューバパフォーマンスを見せてくれた関島さんは今回不在で、先週の渋さにも出ていた(先週の渋さには川口さんも北さんも出ていて、この日いなかった太田さんもいたという……)ギデオン・ジュークスが参加。関島さんの太くうねる重低音と比べると、やや軽妙でメロディアスな感じを受けました。彼が紹介したというバルカンナンバーもプレイしていて、今のシカラムータにとっては要のメンバーとなっているんでしょうか。是非来年は関西でもツイン・チューバを。
アンコールではお馴染みアイラーメドレー、2度目のアンコールでは「生き生きと幸せに」を快活に演奏(記憶が曖昧なので分からないが、おそらくシカラムータがこの曲を演奏するのを聴いたのは、というか、コンポステラのCD以外でこの曲を聞いたのは初めて)し、この日のライブは終了。
来年は15周年、ということですので、是非、久々の新譜を15周年記念盤として作っていただいて、それを携えて、また来てほしいです。
生蝉★CICALA-MVTA★LIVE!2006 | |
CICALA-MVTA
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