今日はシアターBRAVA!に「地獄八景‥浮世百景」を観に行きました。
以前にAGAPE Storeとして「地獄八景亡者戯」は上演していたのですが、いかんせん、「地獄八景」という噺自体が現代的な笑いのクオリティを保っているとは言いがたい上に、ストーリーは初めから分かっているために、今ひとつ盛り上がりに欠けた印象があったので少し不安もあったんですが、蓋を開けてみれば、何とも見事な傑作に仕上がっていました。
平たく言ってしまえば「落語のマッシュアップ」で、「2 Many Dj’sが落語のCDでDJしたようなもの」。「立ち切れ線香」の若旦那が「崇徳院」の若旦那が思いを寄せる女性を捜すわ、「立ち切れ線香」の若旦那が思いを寄せる小糸は「天狗裁き」の夢を見るわ「算段の平兵衛」は「宿屋仇」の伊八の宿で大騒ぎするわ……という、落語好きにはたまらない大スペクタクルな展開。
さらに合間合間にも数限りなく落語のシーンがさり気なくインサートされており(セリフの中のたったひとフレーズだけだったり)、ネタ元を探っているだけでもたまらない面白さがあるんですが、やはりストーリーの主軸となるを上手く最後までひっぱったことが功を奏し、全体の輪郭が変にブレることがなく、ひとつの「噺」としての新たな魅力をしっかりと作り上げていました。
一件荒唐無稽な「落語のマッシュアップ」が、すべて見事に必然性を持ってラストシーンへとなだれ込むエネルギー、数百年の歴史を生き抜いてきた「笑い」の原石たちが集まり、視覚化されることで生み出される「新しい笑い」。それは、脚本家、演出家、舞台役者、そして観衆としてクレジットされている桂米朝のバックアップがすべて一丸となることで初めて到達することのできる、極めて豪華な「落語会」と言えるのかも知れません。
いやぁ、ほんとお見事。素晴らしいです。
早くDVDで「元ネタ探し」にじっくりと浸りたいなぁ。
特選!!米朝落語全集 第十集(「地獄八景亡者戯」収録) | |
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桂米朝
東芝EMI 2002-10-17 おすすめ平均 |
特選!!米朝落語全集 第三集(「立ち切れ線香」収録) | |
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桂米朝
東芝EMI 2002-10-17 おすすめ平均 |