この日はCONPASSで行われたMERZBOWと下山の対バンイベント「音圧の向こう側」に行ってきました。
まずは下山。 以前観た時はアコースティックセットだったこともあってバンドの全容が分からなかったので、実質的に初見。
初っ端からメンバー全員が異常なハイテンションで、火を噴くような爆音プレイを展開。その演奏スタイルはハードコアなロックンロールといった感じで、個々の演奏力ではなく、メンバー一丸となって鳴らされる音のパワーでぶつかってくるところなどは、正に“ライブバンド”です。
印象としては、毎夜3時間強のライブでバンドパワーを鍛えまくっていた頃のソカバンやDMBQを彷彿とさせますが、ソカバンよりもバンドとしての一体感、音の塊が猛烈な破壊力でぶつかってくる圧倒的なエネルギーは遥かに勝っているし、DMBQのような70年代回帰的なノスタルジーは皆無です。
パワー一辺倒の初期衝動だけでゴリ押しするタイプかと思いきや、スローチューンではメロディの質の高さも伺えるし、やや芯の細いクセのある声による歌も非常に表現力に長けていて、聴き手を引き込む歌心も備わっています。テニスコーツと交流があるのも妙に納得させられます。今の時代、似たようなスタイルで演奏するバンドが数ある中、余計なギミック無しで独自の魅力をしっかりと見せつけてくれる、説得力のある楽曲と演奏は実に見事でした。
続いてMERZBOW。彼のライブでいつも目にしていたPowerbook G3がこの日のステージには見当たらず、PCレスでのパフォーマンスでした(とうとう壊れたんでしょうか……)。
しかし出てくる音には大きな変化はなく、全身がビリビリと震わされる大轟音は健在。テーブル上のエフェクター類の操作でダイレクトに音が変化するので、視覚的なライブ感は増していましたね。
約1時間の演奏が終わると、爆音に気圧されて拍手が起こらず、フロアがしばらく沈黙してしまっていました。
そして最後に下山とのセッション。前半は下山のドローンのような演奏に合わせるように、秋田氏も抑えめの音量で電子音を重ねていきます。
続いてスローでヘヴィな演奏に入ると、秋田氏は音圧を上げていきますが、いつもの他の音をかき消すような圧倒的な音圧ではなく、バンドの音を底上げするようなノイズでした。
曲間で、G&Voのマヒトゥ・ザ・ピーポーがギターで破壊的なノイズプレイをしていましたが、他のメンバーが入り切れず、やや置いてきぼり状態に。この辺りに、バンドとフロントマンとの間のポテンシャルの違いが垣間見れました。
アンコールではハードコアなファストチューンでノイズとともに爆走し、この日のプログラムは終了。両者の演奏もすごかったですが、Ear Peaceの、音量はあまり変わらないのに終演後一切耳鳴りがしなかったその効力にも感心した一夜でした。
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下山
SPACE SHOWER MUSIC 2012-12-11 |