この日はシアター・ドラマシティに、AGAPEstore最終公演「残念なお知らせ」を観に行きました。
会場に入ると、ロビーの物販ではパンフレットと過去公演のDVD(BIZシリーズは並んでませんでしたが)を販売。最終公演らしいスペシャルなものがあるわけでもなく、相変わらずの雰囲気。パンフレット内には、超老伝出演陣による対談はあるものの、松尾貴史、G2の最終公演に向けてのコメントは「まあそのうちまたやりますから」的なお気楽な内容。まあ、そんなもんでしょう。
キッチュによる開演前の場内アナウンスで軽く笑わせ、間もなく客電が落ち、開演。
冒頭からステージ上に漂うのは、何とも言えない「ユルさ」でした。セットとして組まれたホテルの一室がまるで実在していて、客席から覗き見してるような自然な空気。それはセリフの内容自体ではなく、役者同士の間の取り方やテンポ、立ち居振る舞いからにじみ出ているように思いました。
登場人物は皆、話したくないような話したいような過去や、腹黒い一面を持つ者ばかりですが、それらが何とも憎みきれず、共感すらしてしまいたくなります。劇中のキッチュのセリフに「人間なんてそんなもんだよ」とありましたが、まさにそんな等身大のキャラクターたちに、「BIZシリーズ」以来の愛着を感じさせる人間ドラマになっていました。
コメディとしてのドタバタ要素を中心に置きながら、サスペンス的な展開も置き、後半でジーンと来てしまいながらも、最後は不意打ちのような後味の悪い不時着をしてエンディングを迎える、という、最終公演らしからぬ、しかしAGAPEの最終公演としては申し分のない、素晴らしい舞台だったと言えるでしょう。
「完成度の高い」というわけでも「爆笑の渦」というわけでもない、でもクセになる魅力を強烈に放つ最終公演は、久々にDVDでリピートしたくなるAGAPE公演でした。
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