この日はHEP HALLに、福田転球×平田敦子÷千葉雅子「つゆ男」を観に行きました。
漁師の福田転球と、海女の平田敦子。哀しくも愛おしい、夫婦の物語です。無闇にインサートされる転球お得意のダンス・シーン(しかもBGMは稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」)、なぜか強制的にやらされるモノマネ、平田敦子の、性別を超越した変わり身、足漕ぎ舟……と、見所は満載。笑いどころも満載。そして、ラスト・シーンは、涙、涙……。
とにかく、二人の演技の素晴らしさに圧倒されました。
転球は、情けなく頼りなく、それでも妻をがむしゃらに愛する夫を演じながら、それはまぎれもなく「福田転球」そのもの。しかし、間違いなく漁村のひなびた村で素朴に生きる40前のオヤジそのものです。
平田敦子は、時には転球の妻、時には弁護士、妻の友人の女、転球の兄などを見事に演じ分け、あまりに個性的なその風貌がキャラクターを押し付けることなく、役柄や心境によって強くなったり弱くなったり、たくましくなったり可愛くなったりする表現力。
二人とも、これまではコントや決まりきった定番のキャラクターでしかあまり芝居を見ることが無かったんですが、「二人芝居」という、研ぎ澄まされた空間で、その真価をまざまざと見せつけられたように思いました。
やはり、こういう素晴らしい役者さんのお芝居を、小さなハコで、間近で観ることが出来るというのは、本当に贅沢なことだなぁ、と、改めて感じました。
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クリスマスキャロルの頃には2002 Li-ZELL 清水信之 秋元康 ユニバーサルJ 2002-11-27 |