イントロを短くしてサビから始めることはいいことだろうか

短いことはいいことだ

J-POPのイントロが短くなってて、おまけに動画も短くなってる。という、因果関係があるのかないのか微妙な記事。

以前書いた「100均とかコンビニにいるかのように錯覚する音」の時に感じたことで言えば、「頭にサビが来てる」と、100均とかコンビニにいる気分になりますね。確かに、サビから始まる曲が増えている印象が強いです。要するに「先に結論を言う」という、「飽きさせないプレゼン術」みたいな作曲法になってきているということですか。

動画が短くなっているというのは既知の事実ですが、「映画館で2時間スマホ見られないのはキツい」ってのは初耳。なかなか深刻な病状だという気がします。しかし価値を認めたものにはいくらでも時間を費やせるのだそうで、今アニメ映画なんかでお客さんがガンガン大騒ぎするタイプのものにリピーターが続出してるのは、合理的に見れば凄まじい時間(と金)の無駄になるわけですが、勿論それは観に行く人にとってはそれだけの価値があると判断されているということですから、実に納得のいく話です。記事中にも触れられている通り、レコードブームの再燃についても筋が通っています。

可処分時間の取り合いなんて話は今更言うまでもないですが、最近特に実感させられます。

いくつか理由がありますが、ひとつはAmazonプライムビデオの契約。4,000円弱でお急ぎ便から音楽配信、写真アップロードサービスとてんこ盛りな上に、ビデオコンテンツは(最新作こそターミネーターとかジュラシックワールドとか評価が微妙な作品ばかりで安いだけあるわと思わせられますが)映画もドラマもテレビ番組も観始めたらきりがないほどの数。あれも観たいなぁ、これも観たいなぁ……とウォッチリストに入れはするものの、さて観る時間が無い。

最初、通勤時間に観ていたんですが、僕は通勤電車内時間が一番集中して本が読めるので、Fireタブレットも買ったんですが、もう使わなくなって2ヶ月ほど経ちます。ついでに言うと、Fire Stickも買いましたがほとんど立ち上げてもいません。ごくまれに子供にアニメなどを見せる時ぐらい。

その子供がまた忙しい。その忙しさがこちらにも跳ね返ってくる。小学校へ進学したことが主な原因です。小学校については割となめてかかってましたが、凄まじく面倒くさい上にストレスフル。集金袋が支払い締め切り日前々日に突然渡されたり、ド平日真っ昼間に水着の販売始まったり、集団登校の仕組みもないのに「子供をひとりで登下校させないでくれ」と釘刺されたり、毎月授業参観がある上に殆どが5時間目とかの授業だったり……「仕事か子供かどっちか選べ」と脅されてるんじゃないかと思うほどの圧力です。先月は家庭訪問、今月は緊急時の訓練だとお迎え下校、来月の予定を見たら「個人懇談」と書かれていましたが、詳細は全くもって不明。さて、仕方なく一駅となりの学校公認のスポーツ用品店で水着を買いましたが、名前を書く場所が分からない上、昨日娘が貰って返ってきたプリントにはプール授業に必要な持ち物が更に3つほど追加されていてお父さん大パニック。

加えて上記の新聞を購読するようになったのですが、この忙しい中で新聞を読もうと思えば仕事場の昼休みぐらいしか無いという状態。

朝は何をしているかというと、朝食の準備と娘のランドセルの中身チェックを行い、朝食後は娘の音読に付き合った後送り出し、その後、ハウスダストとダニのアレルギーがある娘のために部屋中を拭き掃除。で、出勤。

夜は帰宅後、夕食を摂ったら風呂に入って洗濯しながら風呂掃除して、その後就寝までに1時間ぐらいは余裕があるかな、という感じ。

さてこの1時間、今何に使っているかというと、YouTubeに大量に上がっているフル尺の「パペポTV」を観ることに使っています。いや驚いた、数年前、YouTubeでパペポの動画探してた頃には、10分前後の細切れ動画が数十本上がっているだけだったんですが、数日前に何気なく検索してみたら、オープニングからエンディングまでほぼノーカットで見られる映像が大量に上がっていました。一体どれぐらいの本数がアップされているのか全く分かりませんが、観終わる気がしませんし飽きる気もしません。

おまけに「粋な夜電波」のアーカイブも聴いてるんですが、これまた通勤時間にしか聴くタイミングがないので本を読むと聴けない。聴いてると本が読めない。あ、それと最近料理始めたので、休みの日はお弁当のおかず作ってることもあったり、あと金曜日には娘が学校から運動靴を持って帰るのと1週間遊び倒して靴が見事に汚れてるので休日にはこれを洗わなきゃならない。もひとつおまけにリフォームしたら業者とトラブルになってそれで毎週のように昼間に業者が来るので話を聞かなきゃならないし、それから買い物に行ってヨーグルトとバナナとふりかけと……。

ということで今月からiPhoneプリインストールのリマインダーを使うことにしました。正直スマホ見てる時間も無いですわ(そのわりにTumblrのリブログが少なくないのは何故でしょう)。

結局それだけ時間に余裕がなくても、週末には家でレコードに針を落としたり、古いテレビ番組のアップロード動画をダラダラ1時間観たりしているわけで、つまりは「価値を認めたものにはいくらでも時間を費やせる」というわけですね。

「動画が短くなっている」という話に戻りますが、これってよく考えてみるとそんなひと言で言い表せるのかしら、という複雑な状況ですよね。Instagramの動画は15秒から60秒に延長されました。YouTubeは元々10分弱の動画しかアップできなかったはずですが、今やヴェクサシオンがノーカットでアップできるようになっております。そもそも「イントロが短くてサビから始まる」潮流ってJ-POPにおけるものだと思うんですが、Vineって日本でそんなに使われているのかしら。動画広告が短いのは、集中力の問題じゃなくて「ネット広告が嫌われてるから」だと思います。そう言えば昨日テレビでマルコメの長編CMを観ました。多分1社提供の短い番組の中だったと思いますが(そう言えば同じような短い番組で、創価学会が提供してる番組がありますが、あれ最後にCM流れて終わるまで創価のその字も出していないところに狡猾さが現れてるなと思いました)。多分これYouTubeなり上記サイトで観るよりテレビで観る方がすんなり90秒観られると思うんですね。秒数が出ないから、ということと、そもそも受け身だから、という二つの理由で。

AbemaTVについての藤田氏の発言が腑に落ちたんですが、

「1ユーザーとしても、オンデマンドにだんだん疲れてきていました。それは(自社の音楽配信サービス)『AWA(アワ)』をやって、決定的に感じたことです。曲を探しに行くこと自体が面倒で、伸び悩んでいった」
「動画もフェイスブックやツイッターで埋め込み表示されるようになり、受け身で見るようになったことが大きい。AbemaTVは、何かやることがなくなって惰性で見るサービスであってほしい。手がスマホ中毒になっている人が勢いで開けているという(笑)」
「広告の効果は受け身でないと良くないんです。例えばヤフーのトップページは広告効果が高い。でも天気を見ようとか株価を見ようとか目的を持った瞬間、広告は邪魔なものに変わる。だから受け身で見させるメディアが必要だった」

という発言。マルコメの長編CMは夕食中にテレビを“ながら見”している時に目にしたんですが、惰性で見るメディア、判断を委ねて見るメディアとしてのテレビの発信力というか浸透力というか、とにかく届く力が凄く強いなと、日々時間に追われていると改めて感じます。1時間でも2時間でも余裕で見れてしまう上に、ながら見してても結構すんなりと頭に入ってきてしまう。

そう言えば、テレビ番組の「オープニング」ってのも無くなってきましたね。気がつくとさっきの番組は終わってもう次の番組が始まっちゃってる。これも「頭にサビが来てる」のと同じ理屈でしょうね。

多分このことにしてもJ-POPのサビにしても5秒動画にしても、ニーズよりも作る側の意図の方がウェイトが高いと思うんです。やや先回りしてるという。それはまあ「漁港のスピーカー」と一緒でマーケティング上では成功の秘訣みたいなところではあるんですけど、そこに調査データまでくっつけて「集中力は金魚以下」って言っちゃうのもなんか暴力的というか失礼千万というか。

記事中にもあるし可処分時間の話になるといつも言われる「限られた時間でできるだけ多くの情報を得たい」というユーザー像ですが、みんなそんなこと無いんじゃないかなと思うんです。別に忙しいから数秒で判断してるんじゃなくて、「見たいものしか見たくない」から数秒で判断してるんじゃないですかね。それは時間の問題じゃなくて「品質」の問題じゃないかと。昔みたいに一定以上の品質の保たれたコンテンツばかりが目に飛び込んでくるわけじゃなくて、全世界から海のものとも山のものとも知れない連中含めて膨大なコンテンツがあって、その品質は見てみなきゃ判断できないけど、数秒見たらそれが自分にとって見たいか見たくないかぐらい分かる、っていう、そういうことなんじゃないかなぁ、と。そういう意味でも、テレビはコンテンツのクオリティの平均値がとても高いので、安心してながら見ができるメディアだということで、見る人の受け入れ態勢がネットとは全然違うんだろうと思います。「人々は動画を見るためにスマホを横向きに持ち帰る時間さえ惜しいと感じている」とか書いてますけど、これだって秒数の問題じゃなくて利便性の問題ですよね。時間が惜しいのと手間が惜しいのは似て非なるものではないでしょうか。

色々先回りしないと行けない商売だから仕方のないところもあるかも知れませんが、「あなた忙しいでしょ時間無いでしょ」って煽るのは、なんか悪いやり方だなぁ、という気がします。

ちなみに、モーツァルトの“恋とはどんなものかしら”は以下のバージョンで17秒。

シューベルトの“ます”は、以下のバージョンが約8秒。

ヘンデルの“ハレルヤ”が以下のバージョンは7秒くらいですね。

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