西院ミュージックフェスティバル at 春日神社他(Kyoto)

この日は、西院駅周辺で行われた音楽イベント・「西院ミュージックフェスティバル」に行って来ました。

西院フェスは、確かまだ娘が0歳の時に家族で春日神社へ遊びに行ったことがありましたが、それ以来。あの日はずっと雨で、まだ歩き始めぐらいの小さな女の子が傘もささずに水たまりで遊んでいたのを覚えています。

お昼頃、自宅から西院駅まで阪急電車に揺られて移動。車内には楽器を持った人や、譜面に熱心に朱入れをしている人がいて、単に「“西院”で音楽イベントをやっている」ということだけではない、周りに染み渡るような繋がりや広がりをほのかに感じました。

午後から雨との天気予報にも関わらず傘を忘れてしまったので、駅近くのダイソーで折り畳み傘を購入してから春日神社へ。晴れ渡った空から降り注ぐ強い日差しの下、心地良いスカのリズムが聴こえてきます。

京都のスカ・バンド、THREE SEVENの演奏は、青空にぴったりな夏フェス感全開の爽快さ。京都にこんなイカしたスカ・バンドがいたとは知りませんでした。素晴らしい。後半に、元メンバーというトロンボーン奏者が参加し、そのトロンボーンがまたとても心地良い吹きっぷりで最高でした。

じりじりと太陽が照りつける中、ゆーきゃん feat. エマーソン北村の登場。バンド編成で詩情あふれる歌声を響かせていましたが、白眉はPeter, Paul and Maryのカバー“500 Miles”。彼の声が持つ宿命的とも言えるほどの叙情性が、曲の持つ穏やかな郷愁と相俟って、胸を打つほどに美しく煌めいていました。

あまりの暑さに疲れてきたのと、THREE SEVENが良かったのとで、同バンドでトロンボーンを吹いていた津本弘樹率いるTunga Ringを観にOOH-LA-LAへ。今の場所に移ってからは初めてでしたが、よりこぢんまりした印象で、バーカウンターもステージもお客さんも密な関係で、津本氏のMCにツッコむお客さんのガヤも含め、とても和やかで楽しい雰囲気で、すごく盛り上がっていました。

さすがに煙草の煙が辛くなって、終わるや否やそそくさと退場し、再び春日神社へ戻ります。

春日神社先ほどよりも人が一気に増えた感じに。他の複数の会場がそろそろ終わりに近づいていたのもあったのでしょう。他のフェスに比べても子連れ客、特に赤ちゃん連れが多くて、抱っこされてもぞもぞしてたり、お父さんの肩車できゃっきゃ言ってたりと、ステージに目がいかないほどの可愛さを振りまいていました。

ステージでは既にバンバンバザールが演奏中で客席もノリノリ……と思いきや、それはまだリハーサルで、空気も暖まった中、間もなく本編へ。

元々ジャグバンドだったことを匂わせる、終始陽気で楽しいリズミカルな演奏が、会場を盛り上げます。やや力技で引っ張っている感じはありましたが、力技でも引っ張ることができるのが地力の強さなのでしょう。

続いてのLittle Fats & Swingin’ Hot Shot Partyはバンジョーやヴァイオリン、ウォッシュボードを擁した真正ジャグバンド。トラディショナルなジャズを高速で演奏する痛快なパフォーマンスもユーモアセンスも申し分無し。踊らせ笑わせ、ひたすら楽しませてくれる最高のステージでした。

Little Fats & Swingin’ Hot Shot Partyの終わり頃から若干ぱらつき始めた雨が徐々に強くなり、お客さんの多くは屋根のあるところに避難。僕はダイソーで買った傘を開いて前の方へ。

雨の中“雨上がり”で始めたリクオの弾き語り。観るのは四年ぶりでしたが、ボ・ガンボス“魚ごっこ”のカバーで難なくお客さんと掛け合いをしたり、相変わらずの巻き込み力。

「別れと、新しい出会いを歌ったラブソング」との前振りで始めたのは、“アリガトウ サヨウナラ 原子力発電所”。今までの彼のイメージに無かったストレートで堂々とした歌詞とメロディ、歌声にこみ上げるものがあり、胸も目頭も熱くなりました。

僕はミュージシャンがこの手の話題に触れない、政治や社会に向き合うことを避けることに疑問があり、3.11以降、ミュージシャンも音楽ファンも向き合い、口に出し、明確に表現するようになってきていることをとても肯定的に捉えています。決して簡単なことではないようですが、それでも歌い続けてほしいと思います。

雨がほぼ止みかけたところで“ミラクルマン”、“アイノウタ”で一気に盛り上げて終了。

しかし、終わるとともにまた雨足は強まり、次のTHE TWINSの間はずっと雨。片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティが始まる頃には上がりましたが、地面も濡れ、腰を下ろすところも無くなってしまったので(あと、こういうバリバリのロックだと音響がキャパオーバーなのか平坦な潰れた音になってしまっていて耳に痛かったのもあって)、休憩も兼ねて隣の春日幼稚園へ。

春日幼稚園では入れ替わり立ち替わりでアマチュアのジャズ・ビッグ・バンドが演奏を繰り広げていたんですが、僕は元来ビッグバンド好きなので、すっかりお尻に根が生えてしまいました。

神社に戻るとザッハトルテが後半戦へ向かっているところ。さすがの安定感と完成度、そして遊び心。

そして、この日の僕の最大の目当てだった吉田省念と植田良太。完全に上がっていた雨も、彼らが演奏を始めようとすると、この日最大の大雨に。

以前の彼らからすると随分落ち着いた雰囲気の、ややアダルトな曲を歌い、奏でる二人。

僕が最後に三日月スープを観たのは3年半前。僕は吉田省念とファンファンがくるりに加入した経緯も、くるりでどんな活躍をしていたのかも全く知らず、ただただ、彼らの音楽を観られる機会を奪われたという寂しい思いでいっぱいだっただけなんですが、くるりを脱退した今の彼が、加入以前と(世間からの見え方も)変わったのであろうことは、その歌からも感じました。

後半では、ザッハからウエッコがゲストで参加。そしてそこからは、“メロディ”、“フラガール”、“リラックス”とお馴染みのレパートリーで畳み掛けます。アレンジも加えられ、以前よりも若干ハードな演奏になった印象はありましたが、それはまぎれも無い、僕が大好きで恋い焦がれてきた吉田省念の音楽でした。

僕にとってのアイドルの帰還の喜びを胸に、(まだ最後にひとバンド控えていましたが)降り止まぬ雨から逃げるように帰路につきました。神社の入り口の道を彩っていた輝く風鈴がとても美しかったです。

前半の暑さ攻めと後半の雨攻めで結構疲れましたが、初めて長時間滞在した西院フェスはとても楽しくて、来年は二日とも遊びに行こうかな、と思いました。同じ京都で言えば、ひとつの会場で完結している長岡京ソングラインの居心地の良さにはかなわないですが、演目の数とバリエーションは、ライブハウスもある分充実していて楽しいですね。

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