この日は貸本喫茶ちょうちょぼっこに、夏のあくび企画「貸本喫茶の午後」・吉田省念と三日月スープを観に行きました。
さらさ花遊小路の2階をさらに縮小したような縦長の店内は、色んな本に囲まれて、背表紙を見てるだけでも楽しい雰囲気。お店には開演10分前ぐらいに着き、すでにお客さんで一杯だったんですが、一席空いていた最前列に着席。演奏するスペースには、ギターとウッドベースが立てかけているだけで、マイクやアンプは一切無し。完全に生音の演奏です。
開演時間になり、メンバー三人(鈴木ちひろは産休)が登場。その場で立ち位置を相談し、周囲の本に目移りしながらの雑談の後、PA無しの生音セット&客席と密着した独特の雰囲気に若干戸惑いながらスタート。それもお馴染みの音曲漫才風の挨拶から「Cow & Dog」という展開で盛り上げると、一気に店内は三日月スープ一色。
その後、ほんわかムードの「黄色い風船」から、「Blue Bird Rag」(直前のMCで、お店に向かう電車内で植田良太が、チュッパチャップスを加えた女子三人組に「ウッベやん!」と笑われたという話をしたせいか、そのウッベの出だしで失敗し、やり直すという場面も)、「庭仕事」(「外の雨の音と曲の雰囲気が合ってて……」と言ったものの、よく聞くと雨の音かと思ってたのが換気扇の音だったという……)、「春の事」と、のどかなナンバーが続きます。演奏も、いつもと比べてゆったりめのテンポで、本に囲まれた店内のほっこりした雰囲気にもマッチしていました。
音のバランスが奏者の動きに合わせて揺らぐのもPA無しライブの醍醐味。トランペットのミュートの使い分けによる音色の変化や弦の響きの微妙なコントロールなどがダイレクトに感じられたのも面白かったです。
「妖怪にご用心」の前に、吉田省念が中山千夏の説明をしていると、ファンファンが本棚から
「男たちよ!」を発見するというウルトラCが……って、実はお店の人が「妖怪にご用心」を演ることを見越して、見つけやすいところに仕込んでたりして。
出だしでややフラついた「フラガール」で再び盛り上げ、「メロディ」で本編終了。アンコールには、小気味良い四拍子のリズムにアレンジした「Lucy in the Sky with Diamonds」を演奏。三日月スープのオリジナルかと言うほどにぴったりのアレンジ。声はハマるだろうなとは思ってましたが、ここまで「彼らの曲」になってしまうとは、驚きです。
その後、メンバー紹介の流れでファンファンが客席の中へ移動しての変則ポジションで「Till there was you」がスタート。ご陽気な笑える展開なのに、何故かじいんと来るフィナーレ。
これでアンコールも終了……と思いきや、客席からの「リラックスは?」のリクエストに「レコーディングした途端やりたくなくなった」からとセットリストに入れていないらしい「リラックス」を、ややつまずきながら演奏し、予定時間を30分ぐらいオーバーして、17時前に終了。子供に離乳食を食べさせる時間が迫っていたので、大急ぎで帰路につきました(子供の昼ご飯&授乳が終わってから家を出て、帰って来て一緒に夕食が食べられるので、今は休日にライブ行くならこれぐらいのタイムスケジュールがベストやなぁ……って、他ではなかなか無いやろうけど)。
動きが取りづらく、メンバーの音も聞き取りづらそうで、バンドにとって決して演奏しやすい環境ではなかったと思いますが、夕刻前のまどろむような時間帯に聴くにいはちょうど良い感じの選曲も、そんなまどろみを歌で表現するようなまったりとした演奏も、店内の居心地の良いムードにふさわしいものになっていたのではないかと思います。
楽しい休日のひとときを過ごさせていただきました。
<セットリスト>
Cow & Dog
黄色い風船
Blue Bird Rag
庭仕事
春の事
小さな恋のものがたり
妖怪にご用心
北から南
祭りの後
フラガール
メロディ
Lucy in the Sky with Diamonds
Till there was you
リラックス
The Beatles In Mono | |
The Beatles
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