アサヒステレオセンターで、うつくしきひかり/キツネの嫁入りの新譜を聴いてきました

この日は、MASONNAを観に行く前にアサヒステレオセンタ―に遊びに行って来ました。うつくしきひかりキツネの嫁入りの新譜を聴かせてもらいに。

うつくしきひかりを持って行ったのは、epokの視聴会で初めて聴いて「あんま良い音じゃないなー」と思った後で、mapupnewsのこの記事を読んだので、改めて「ちゃんと聴いてみたい」と思ったので。

視聴会ではハコ自体がオーディオ向けではないこと、僕自身が司会進行をする都合上、スピーカーの横から聴いていたことなどベストな環境とは言えなかったので、改めてアサヒステレオのハイファイなシステムで、真正面から聴きました。

感想としては……うーん、なんだろう、この低位しない感じ、音のディテールを際立たせない感じ……。

一体なんなんだろうこの音は、と思っていたら、アサヒステレオ辰巳さんから、

「昔の良い思い出を夢の中で回想しているような……」

という言葉があり、何となく自分の中でピントが合ったような気がしました。

暖かな日曜日の昼下がり、公園の芝生から立ち上る草の匂いを嗅ぎながらうとうととし始め、微かに夢に落ちそうな淵のところで、小さい頃の自分が芝生の上を駆け回っている情景を重ね合わせたような、夢でもない、リアルでもない、そんな世界。

帰宅後、改めてSHUREのイヤホンで聴き返してみました。すると、ハイファイなシステムでは紗のかかったドリーミーな世界だったものが一気に現実味を帯び、旧グッゲンハイム邸の部屋鳴り、床の軋みが音の隙間から漏れ聴こえ、スピーカーの間をゆらゆら行き来していたピアノとパンの音は、両耳を包み込むように響き渡りました。

どうやらこの日聴かせてもらったスピーカーがマグネパンという平面スピーカーだったことが、音の定位や押し出しよりも音源の世界観を表現する方に作用する方に働き、結果的にepokでの音とも違う不思議な世界を生み出していたようです。

単純にハイファイなシステムで聴いたからと言って良い音で聴けるわけではなく、結構相性がある。そして、ドリーミーなサウンドを求めるなら平面スピーカー、旧グの空気感も味わいたいならイヤホンとの相性は良さそう。というのが今のところの結論です。

一方のキツネの嫁入りの新譜は、イヤホンや安物スピーカーで聴くだけでは聴こえて来ない立体感と、丹念にオーバーダビングを重ねた多種多様な音がつぶさに捉えられるところからして、ライブとは違うレコード芸術としての力作ぶりが伺える鳴り方をしていました。

辰巳さん曰く、ボーカルのレンジが狭いということでしたが、僕程度の耳であれば、これだけ各楽器のディテールも楽器の定位も全体のバランスもしっかり録れていれば、もうこれ以上求めるものは無いかな、といった感じ。ドラムスがやや引っ込んで聴こえたのはマグネパンの特性かも知れませんので、ハイファイなシステムなら普通のスピーカーの方が向いているのかも。少なくとも、キツネファンには一度それなりのオーディオシステムで聴いてみることをお勧めします。

うつくしきひかり
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