P-hour presents “with frogs” at 法然院 (Kyoto)

この日は法然院で行われたイベント「with frogs」に行って来ました。

前半は大友良英のアコースティックギターによるソロ。庭から聞こえる鹿威しの音やヒグラシ、蛙の鳴き声と溶け合うギターのフレーズは、そんな自然界の音を引き立たせるかのように、静かに、言葉少なに淡々と流れていました。まるで計ったかのようなタイミングで風が庭の木々をざわざわと揺らす瞬間の立体的な音響やギターとの対比でサイン波のように聞こえるセミの鳴き声などがうっとりするほど心地良く、緊張感よりも自然に身を委ねるような心地良さに満ちた演奏でした。

続いての二階堂和美は、PAに縛られないことを活かし、お客さんに背を向けて庭に向かって歌ったり、ステージとなっている廊下から降りて襖の向こう側まで行ったかと思えば寝転がって歌ったり……と、自由といえばこれ以上ないくらい自由なんですが、その姿は法然院の自然たちと全身全霊で格闘しているようにも見え、大友氏とは違う強烈な緊張感すら感じました。

最後は二人でセッション。事前に打ち合わせをしていない完全な即興で、お互い相手の出方を探りながらの演奏は、法然院とのトリプルセッションの様相。二人は環境音(と蚊取り線香の匂いと飛び交う小さな虫たち)と戯れながら、心地良い緊張感を満喫しているようでした。

PAを排することで、聴き手もプレーヤーも普通のコンサート会場では使わないような神経を駆使することが要求されるこの贅沢なイベント。アクセスの不自由さを考えると、頻繁に足を運ぼうという気にはならないですが、年に一度、この時期には見ておきたいですね。大友氏のワンマンとか……。

Harmonies
Harmonies 二階堂和美, さや, 植野隆司, 元宮正吾

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