SKATERS NITE 8 at ユニバース(Osaka)

この日はユニバースで行われた「SKATERS NITE 8」に行ってきました。

ユニバースへ来るのは初めてで、ジュンク堂に行く時にちらっと遠巻きに目にする程度だったんですが、実際に行ってみると地下鉄日本橋駅からものすごく近くてちょっと驚きました。STUDIO PARTITAと比べると、とっても近い。

しかしもっと驚いたのは、開場直前に会場に着くと、その駅まで続きそうな大行列が出来ていたこと。最後尾に並んで、開場入りできたのは約30分後。

今回PeaTiXというiPhoneアプリの電子チケットを購入してたので、入場で手間取ったら嫌だな、と思ってたら、利用者が少なかったからなのか、アプリでの認証もへったくれも無く、受付で名前を言って即入場。便利と言えば便利ですが、お金の直接の支払いもないし紙のチケットもないし、これほど味気ないチケットもないなという感じ。アプリ自体もあんまり使いやすくないし、今後使うことはないかな。

会場内は大行列が嘘のように余裕があり、強めに効いた空調は肌寒いほど。しかし、DJタイムが続く中、最初のバンドの開演が近づくに従って人の密度と気温は徐々に上がっていきます。

ユニバースは古くからあるキャバレーを、内装そのままに貸しスペースとして運営しているハコなので、設備がいかにもという感じのムードに溢れ、その当時のモダンさが表れた照明や装飾は、レトロフューチャーなサイケデリック感を醸し出しています。

フロアも、ステージ前方は升目のついたダンスフロアになっており、いわゆる「客席」はその一段下。当時、ステージでバックバンドが粛々と演奏をし、ダンスフロアではセクシーなダンサーたちが踊っていたという名残を愛でながら、ステージ上で回されるレコードの音に身体を揺らします。

この、嫌が応にもテンションが上がらずにいられない雰囲気の中、最初のバンド・neco眠るが登場。

現メンバーに固まってからのneco眠るを観るのは初めて。以前観た時に、練習不足もあったようで本来のタイトな演奏が出来ていなかったこと、今年森さんにお会いした時に聴いた新曲のライブ演奏が若干こなれていない印象があったこと、森さん自身による現状のバンドの演奏に関するつぶやきを聞いたことなどもあって色々心配していたんですが、全て杞憂でした。それどころか、活動休止以前より、確実に進化していました。

neco眠るは活動休止前にはほぼ毎回同じセットリストでの演奏になり、フロアはモッシュも起こるほど盛り上がるもののバンド自体はそれに釣り合った演奏が出来ていない時もある程士気の低下が垣間見えていましたが、この日の演奏は2枚のアルバムの狭間辺りの時期の、熟練度と新鮮さが互いに高まっていた頃を上回るほどの、タイトで前のめりで高揚感に溢れた、素晴らしいパフォーマンスでした。

新曲→旧曲というメドレー式の流れで、新たなバンドの最新形態のプレゼンテーションとリアレンジされたお馴染みの曲の魅力を再提示を行う構成が絶妙で、新曲はこれまでのnecoらしさを感じさせるもの、新境地を見せてくれるものがバランスよく配置されていて、今後の発展にワクワクせざるを得ないし、一方でそれら強力な新曲たちが聴き慣れたはずの楽曲の魅力を今まで以上に引き上げる役割も果たしていました。

勿論、前任者よりもフィルインの多彩さとスピード感のあるスネアのアタックが印象的なドラムスが、やはり旧曲の魅力を新たに引き出すキーマンなっているのは間違いないでしょうが、もうひとりの新メンバー・栗原ペダルのプレイが楽曲に更に彩りを加えるとともに、各メンバーのポジションや個性を明確にするトリガーにもなっているように思えました。

とにかく褒め言葉しか思い浮かばない彼らの演奏は、お約束の“Engawa De Dancehall”で締めくくられましたが、こちらもガッチリ固めたフォーメーションで疾走し、前任者とは全く違うスタイルで演奏された間奏のドラムソロはエンディングにふさわしく、ブレイクでポーズを決める伊藤コーポレーションに、おっとりしたテンポで近づいてiPhoneで写真を撮る森さんによる緊張の緩和も心地良い笑いを生み、大盛り上がりの中終了。お客さんも出だしから全力で盛り上がっていて、僕もこの日のオープニングながらすっかり満足してしまい、もう後はいつ帰ってもいいやという気分になってしまいました。

この日の音響は、想像通り高音がキンキンして低音がやたらブーストしてるような音でしたが、軽く耳栓をはめて上下の悪い要素がそぎ落とされると意外に楽器同士のバランスは良く、演奏中は浅めに耳栓をしていました。

セットチェンジの間は、客席後方でスポンサー商品をかけた自転車レースのゲームをしていましたが、体力に自身があるはずも無い上、あまりに人が多くて移動する気にもなれずその場で次のバンドを待つことに。

続いては、じゃがたらの“クニナマシェ”に導かれて登場したcero。以前観たのは旧グでのホープ軒で、特に関西ではほぼ全くの無名だった当時と違い、今や引く手数多の人気アクトです。新譜があまりに素晴らしかったので、改めて観たいと思っていたんですが、大阪でもレコ発が完売してたんですよね。ホープ軒の頃は片想いも出てたけど結構なガラガラ具合だったのに。

MC.sirafu、あだち麗三郎という「歌える」サポートメンバーに加え、メンバー全員歌えるという豪華なコーラスグループは、その新譜を中心にしたセットリストでの演奏。丹念に作り込まれたスタジオ盤での完成度の高さをアクティブなライブ仕様にリアレンジし、引き続きテンション上がりっ放しなお客さんと共に歌い踊る、ドラマティックで力強いパフォーマンスを披露してくれました。

楽曲の強度が尋常ではないので、1曲ごとにとにかく盛り上がる、終始ピークタイムのような状況が続くんですが、それを支えるメンバーの、楽器を取っ替え引っ替えしながらの息の合った演奏もお見事。

40分という短い演奏時間ながら、緩急巧みに展開し、ラストの“Contemporary Tokyo Cruise”が終わった頃には1本のお芝居を観終わった後のような充実感に満たされ、押し寄せてくる大団円感に、またもや後はいつ帰ってもいいやという気分になってしまいました。

この後トイレに行こうと思うも、前も後ろも右も左も人、人、人。身動きを取りかねているところで杉本くん夫妻に遭遇。トイレの場所を聞いて一目散に向かいましたが、ダンスフロアの出入り口で全く動かなくなり、後はじりじりと前進するのを待ちながらトイレの方へ。トイレも行列が出来ており、あまりの人口密度に、用を足して帰ってくるだけで酸欠を起こしそうになりました。一体何人ぐらいお客さん入ってたんでしょうか。2,000人ぐらいいたんじゃないかという印象ですが。

ステージ上にタブラとディジュリドゥが並び、まずはU-zhaanの登場。しばらくU-zhaanによるタブラのチューニング(と、「ものすごいアウェイ感があるんだけど」「GOMAちゃんに“チューニングする間ステージの上で待ってて”って言ったら“やだ”って言われた」「“あまちゃん”じゃないよ。うちら“GOMAちゃんあまちゃん”とかじゃないから」といったようなMC)が続き、彼の呼び込みでGOMAの登場。

演奏は、U-zhaanのリズムにべったりと貼り付くようにGOMAが低音を重ねるようなスタイルで、タブラを巧みに操りながら音を足し引きしていく様子はまるでミニマルテクノ。

ソロ演奏でのGOMAのプレイは強烈にトリップ感があり、Jungle Rhythm Sectionの時は激しいトライバルダンスミュージックという感じですが、この二人のセッションはより温度が低くより機械的で、出自の全く違う民族楽器同士でソリッドな人力テクノを演奏しているような感じ。

ラストには「みんなドラムンベースは好きかな」というU-zhaanのMCとともに、タブラによる高速ブレイクビーツで盛り上げて終了。

続いては奇妙礼太郎トラベルスイング楽団

奇妙礼太郎自体はアニメーションズも含め過去に観ていたので知っていましたが、そのアニメーションズにしても、すごくいいバンドだけど頭ひとつ抜けない、決定打に欠ける……という印象がずっとあったので、トラベルスイング楽団というビッグバンドを率いて東京でブレイクし始めた、という話を耳にした時は驚きましたし、一体何が起こっているんだろう、という感覚でした。

そしてこの日初めてそのトラベルスイング楽団を擁する彼のパフォーマンスをじっくりと目にすることが出来ました(実は過去にちらっとだけ観たことがあるんですが、それはもう終わりかけの一瞬だけでした)。

観れば納得も得心もする、掛け値無く素晴らしいパフォーマンス。そうか、奇妙礼太郎という人の才能は、こういうダイナミックで豪華で自由な場があれば、こんなに生き生きと開花するんだ。と、ブラス/ホーンのきらびやかな演奏をバックに飛び跳ねながら全身で歌う奇妙氏の姿を観て、あまりに楽しくて止まらない笑顔とご機嫌過ぎるビートに止まらない身体を動かしながら思いました。電飾ピッカピカのローファイなセットとも相性ぴったり。

勢いのあるバンドアンサンブルもお客さんをガンガンにノセまくる歌も、大バコ映えするスターの貫禄たっぷりでしたが、MCに入れば「フェラーリ買いたいな。みんな100円ずつちょうだい」「ちんこ、ちんこ」と見事なリアルスケールぶり。

「覚せい剤最高ーっ。覚せい剤の歌歌います」とどこまでも自由なトークから“オー・シャンゼリゼ”に合わせて“夢の中へ”を歌って笑いを誘い、“オー・シャンゼリゼ”に戻った後、後半では“ドレミのうた”でお客さんと掛け合いをしながらピークまで盛り上げていくその力技たるや。1曲の間に、“夢の中へ”で笑わせて“ドレミのうた”で感動させられるとは夢にも思いませんでした。

ここまでの全アクトどのバンドが大トリを務めてもバッチリという最高の演奏に盛り上がり感動しまくり、もうこのまま帰っても何の後悔もないという満足感に浸りながら、ラストはEGO-WRAPPIN’ AND THE GOSSIP OF JAXX

尺の短いイベントではテンション高めの楽曲でセットを固めてくる傾向が強い彼らですが、ド頭“サイコアナルシス”で始めるなど、この日も冒頭から攻めまくり。

しかし2曲目“love scene”で機材トラブルが発生し、スピーカーから全く音が出なくなってしまいます。ところがこの日のお客さんは、オープニングからここに至るまで一度もテンションが下がること無くポジティブでハッピーなエネルギーを出しまくっていて、生音で演奏するバンドをバックに手拍子&大合唱。

PAの問題を克服したこの後も、旧曲から新しい曲まで重心低めのアップビートな曲が続き、攻撃的なEGOサウンドに会場中が揺れます。この日の出演者はどれも最高でしたが、音の太さで言えば、彼らが抜きん出ていました。

ラストの“Go Action”で終演予定時間の22時30分を過ぎていましたが、ここまで来てアンコール無しでは治まらない。ということで最後は“くちばしにチェリー”で、6時間に及ぶ長丁場のイベントは終了。

本当に、最初のneco眠るから最後のEGO-WRAPPIN’まで、どのバンドで終わってたとしても大満足だったような素晴らしい演奏ばかりで、ただ良いバンドばかりを集めただけではこうはならないはずで、僕の興味やタイミングとちょうどマッチしてたんだろうとは思いますが、加えてお客さんの盛り上がりぶりが半端無く、どのアクトでも前のめりで盛り上がっていたのが大きく後押ししていたように思います(オシャレで可愛くて若い男の子と女の子が沢山いたので若干アウェイ感ありましたが)。芋の子を洗うような混み具合でしたが、EGOの時に、落とした男性の眼鏡を周囲の数人で輪になって探し、見つけてくれた人と固い握手を交わしていたりして、ほんとナイスピープルだなぁと。

やっぱり、お客さんは大事ですね。

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