地方自治体のプロポーザルに参加してた頃に読みたかった「地方自治体に営業に行こう!!」という本

「地方自治体に営業に行こう!!」という本が会社で回ってきたので読みました。読み終わるまでの時間は、通勤時間1時間の電車で、2日半という感じ。読書は遅い方だと思います。

4〜5年ほど前、地方自治体のプロポーザルに参加する機会が何度かあり、その前に出版されていて読んでたら色々見え方もやり方も違っただろうな、という内容でした。

例えば、ある自治体でウェブサイトを運営するプロポーザルの案件があった際、仕様書に、見たことも聞いたことも無いCMSの使用が条件として書かれていて、ググってみれば地方自治体に多く導入されているもののようでしたが、フリーウェアではないし仮にフリーだとしても今から触って覚える有余なんか無いし……ということでお手上げになったことがありました。本書を読めば、それが恐らく、先んじてその自治体に入り込んでいた制作会社が自分の得意とするCMSを参入障壁として仕様書に滑り込ませていたんだろうということ、もっと言えばそのCMSが自治体に導入事例を多く持っているということは……と、今になって思えば始めから勝ち目の無い勝負だと分かったわけで、当時この本があれば、仕様書の読み方も違ってたかも、と思い返すことがいくつも。そうかあの時のあれは、そういうことだったのか、と。

加えて、プロポーザルには参加したものの、それは言わば「受け身」のスタンスで、地方自治体に「営業をかける」ということではなく、まあそんなことやったって意味無いでしょ、勝手にお金使えるわけないだろうし、という思い込みは、先の例で言えば、「営業をかける」企業が先鞭打ったらプロポーザルの勝率がぐっと上がる可能性があるのよ、という種明かしによって、正に目から鱗が落ちました。

文章も軽妙で分かりやすく、要点を端的に解説してくれるので読みやすいんですが、その分、重要なエッセンスだけ凝縮すればほぼ読んだに等しいところまで行けるようなところもあり、僕も上司からこの本の魅力について数分話を聞いて「それは面白そうだから是非読みたい」と読んでみたら、その数分の中に面白いところは全部入っていたという、ある種の映画の予告編のような肩透かし感もありました。なので、他にも目から鱗が落ちるような、コロンブスの卵的なポイント、今後の戦略の参考になりそうなことも色々あったんですが、具体的には触れないでおきます。

あとは、本書の筆者が「地方自治体が大好き」とエモーショナルに語っているのはそれはそれで大変良いんですが、いつも悪者扱いされてる地方自治体だって大変なんだよ、というフォローに割いているページが、なんかあんまりフォローになってなかったり、先ほどの「参入障壁」に関する実例が、「いやそれって問題じゃないっすか。っていうか後々問題にならなかったんすか」と思えるような内容だったりして、随所に天然っぽいユルさが垣間見えるところが、面白いというか首傾げるというかほっとするというか。

ともあれ、地方自治体の仕事に関わるにしてもしないにしても、知ってるのと知らないのとでは大違いという意味でも大事なことが沢山書かれていて、逆に言うと自社の競合他社が全員これ読んでたとしたらかなりやりにくくなるぞ、という恐怖感にもかられる、読んでほしいような読んでほしくないような一冊(発売から1年以上経ってるんだから、こんな記事書いたら逆効果だわな……)。

実業之日本社

¥1,209

(2015年12月04日現在)

Amazonで詳しく見る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください