バッハアカデミー関西「第42回 教会暦によるカンタータシリーズ」 at 島之内教会 (Osaka)

この日は島之内教会で行われた、バッハアカデミー関西によるバッハの教会カンタータの演奏会に行って来ました。

「第42回 教会暦によるカンタータシリーズ」 at 島之内教会

正直なところ、バッハの声楽曲はあんまり馴染みがなく、しかも演奏機会の少ないものを取り上げるプログラムということで若干悩みましたが、結果的に入って本当によかったです。

プログラムは以下。

カンタータ第97番「わがなす すべての業に」
カンタータ第150番 「主よ、われ汝をあおぎ望む」

〜休憩〜

モテット第6番「主を頌めまつれ、もろもろの異邦人よ」
カンタータ第100番「神なしたもう御業こそ いと善けれ」

島之内教会と言えば昨年のBEST FRIENDSでの悶絶パフォーマンスを思い出してしまいますが、今回は教会らしい演目で、客席もご年配の紳士とご婦人ばかり。

プログラムと共に歌詞と和訳、そしてそれぞれの曲の楽器構成も記されたものが挟み込まれていたので、それを眺めながらの鑑賞。小さく質素な教会に器楽隊とチェンバロ、オルガンが並ぶと客席との距離は殆ど無いぐらいで、後ろに30人もの合唱団が並ぶとかなりの密度感。その御陰もあってか、演奏はかなりデッドながらも心地良い親密度があり、後ろの方の席でしたが、合唱の迫力も十分。音の分離やバランスを凌駕する説得力を感じました。

第150番では、本番前に各パートごとにどういった構成になっているか、どこが特徴かなどを、さわりを演奏しながら解説してくれたので、それによって、これまで聴き慣れなかった教会カンタータ自体がより聴きやすく、親しみやすくなったような気がします。

どれも基本的には合唱、アリア、レチタティーヴォ、コラールの組み合わせによるシンプルな構成ですが、その中で楽器の編成が様々に変化したり、アリアも二重唱、三重唱が織り交ぜられたりと、次々と起こる新たな展開に(予備知識が全くないだけに)ワクワクしっぱなしでした。

そして、それぞれの歌詞が、別々のことを歌っていながらも終始神への全幅の信頼と限りない愛に裏付けられた絶対的な安定感に満たされていて、本来の目的である信仰心をより高める力を圧倒的なまでに有していて、信仰心の無い僕でも、声の持つ抗いようの無いほどの求心力と圧倒的な演奏による音楽に、実際は溜息と共にのけぞりながらも、心の中でひれ伏してしまいたくなるような心持ちになりました。

後半のモテットでは、繰り返される合唱の下で通奏低音の楽器が休み無く高速フレーズを弾き続けていて、コントラバスの激しい運指に目も耳も奪われっぱなし。続いての第100番、「神がなされることは、善き事です」と全ての曲の冒頭で繰り返されながら合唱に挟まれたアリアが続く構成の中、曲ごとの鮮やかな変化と華やかさに胸を高鳴らせながら、心地良い高揚感の中、エンディングを迎えました。

これまで、バッハの器楽曲ばかり聴いていて、声楽曲は言葉も分からないし良さが分からない……と思っていましたが、密接な距離感で素晴らしい演奏を耳にし、徐々に面白くなってきました。次回のカンタータシリーズまでに、少しずつ聴き込んでおこうと思います。

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