STAFF BENDA BILILI at 堂島リバーフォーラム (Osaka)

この日は堂島リバーフォーラムSTAFF BENDA BILILIを観に行きました。

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少し遅れて会場に着くと、既にサカキマンゴー&Limba Train Sound Systemの演奏中。以前同じ場所で見た渋さ知らズの時とは違い、椅子が並べられた客席で、皆さんまったりと鑑賞していました。後方スペースがスタンディングエリアだったので、そこで鑑賞。観るのは初めてでしたが、20分足らずのステージで、最後の5分ほどしか観れず残念。

続いてソウル・フラワー・モノノケ・サミットの登場。磔磔で観て以来だったので、1年半以上ぶり。「お富さん」「がんばろう」などなど、お馴染みの定番曲で盛り上げ、最後の「インターナショナル」では立ち上がって踊り始める人もちらほら。中川敬もちょっと緊張気味に見えるMCでしたが、緊張というより、興奮だったのかもしれませんね。

30分ほどの演奏後、15分休憩を挿んでいよいよBENDA BILILIの登場。呼び込みのMCにはサカキマンゴーが再び登場し、自作のサトンゲ(空き缶にギターの弦一本を張った楽器)を披露し、「これ簡単に作れるんですよ」と言いながら弾いてみると全然鳴らない。作るのは簡単でも、弾きこなすにはかなりの鍛錬が必要なようです。

お客さんの“STAFF BENDA BILILI TRES TRES FORT”のかけ声に誘われるようにステージに現れるメンバー達。お客さんも次々と立ち上がり始め、おもむろに演奏が始まるや否や、僕も前方へ。

天井の高いフロアに熱が回らないような、どこか常温感のある中始まったパフォーマンスはじわじわと熱を帯び始め、CDバージョンよりもアップテンポな「Je T`aime」で客席も含めて一気にヒートアップ。

曲はそれぞれ単体として演奏されながらも、曲同士が連携しながら持続的にボルテージを上げ、会場全体の高揚感を上げてゆきます。

ダンス衝動を確実に刺激するタイトかつ軽快な演奏は、速い曲ではCDよりも速く、ゆったりな曲はCDよりも情感たっぷりに。そしてCD未収録の曲は、駄曲の一切無いCDと比肩する名曲ばかりでした。

メンバーのほとんどが高い歌唱力を兼ね備えており、カリビアンやファンク、レゲエなどを混ぜ込んだ演奏の秀逸さは勿論のこと、ボーカルグループとしてのコーラスワークや早口に単語を刻みながらオーディエンスを煽るボイスパフォーマンスも特筆もの。

中でも、サトンゲ担当・メンバー中最年少のロジェは、CDで聴いていると誰がどのパートを歌っているのか分からなかったんですが、彼が童顔に似合わず太く甘い歌声だったことにびっくり。マイクを持ってフロントに立って歌う姿は歌唱力共々十分な貫禄でした。

そんなロジェは演奏中ステージ上を踊り回り、メンバーを煽ったり客席に飛び込んだりと、若さはじけるパフォーマンスでメンバーとオーディエンスをグイグイと引っ張っていました。少しやんちゃが過ぎる彼に、リーダーのリッキーが鋭い目つきで指示を出すような瞬間も。

ステージ背後のスクリーンには、曲ごとに曲名と曲の解説などが映し出され、彼らの歌に込められた、時に悲痛な、しかし力強く、未来への希望に満ちあふれたメッセージの数々と、会場中を満たすピースフルな多幸感に、目頭が熱くなりました。

8人のメンバーのうち、サトンゲ、ベース、ドラムス以外は全員車椅子で前列に並び、終始座りながらのパフォーマンス。座ったまま踊りつつも、時には車椅子で走り回り、時には車椅子から降りて前列のお客さんとコミュニケーションをとったりと、サービス精神というよりも本人達が楽しくて仕方が無いというようなはしゃぎっぷりと満面の笑みは、確実にオーディエンスにも伝搬していました。

終始笑いながら夢中になって踊っているうちに、2時間弱のステージは終了。いやぁ、心底楽しかったです。特に去年から待ち望んでいた来日だっただけに、感無量でした。

彼らの音楽を語る上で、障害のことや生活のことを外すわけにはいきませんし、客席に障害を持っている人や車椅子の人が多かったことも、それと無関係ではないでしょう。やはり、そういう人達の前で彼らが「人間に「再起不能」なんてことは絶対ない」「人生に「遅すぎる」なんてことは絶対ない」と歌っていること、その歌に、みんなが笑顔で応えて踊っていること。その事実がとても重要だし、全ての言葉を凌駕するほどにかけがえの無い瞬間、つまり、それが“音楽”の凄さなんだろう、と、顔に張り付いた笑顔をほぐしながら、帰路で反芻していました。

音楽とは突き詰めればパーソナリティを吐露することで、本来は“共有”されにくいもの。だからこそ、されにくければされにくいほど、それが“共有”された時に爆発的なエネルギーを生み出す。そんなダイナミズムを感じた夜でした。

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