Google HomeやAmazon Echoで広告っていよいよ「個告」になるのかどうか

先月発表されたGoogle Assistantのインパクトはかなりのものでしたが、しかし心のどこかで「なんかまた凄そーなこと言ってるけど今ちょうどGoogle Glassのこと思い出した」と他人事っぽく捉えていたんですが、「あ、そういうことなのか」と腑に落ちたのは、新聞記事にあった「これまでは、多数の民生機器や他社サービスと連携しコントロールする役割は、スマホが担うと思われてきた」というくだり。あっそうか、タッチパネルも限界だなと思って幾星霜、こういう形で音声ナビゲーションと置き換わるってことなのか、と得心しました。Siriについて「さしたる利用法の提案もなかった」についても同感。SNSに笑いのネタを提供する飛び道具というポジションのまま誰も便利さを伝えられないことは、今のアップルを象徴しているように思います。

同記事で、ダークホ―スだったアマゾンが投入したEchoが業界を焚き付けたように書いていますが、何せEchoは日本向けには販売されていないので、これまたGoogle Glass的なものとしか見ていませんでした。

そうこう言ってるうちに出てきたGoogle Homeですが、プロモーションビデオを見た時最初に思ったのは「これでロボットブームも終わりかな」ということ。最近その手の製品の映像制作に関わったこともあり、ホームユースのロボットに関するプロモーションビデオを大量に見ていたんですが、それらの映像内で語られているベネフィットって、ほぼGoogle Homeでできそう……っていうか、故障リスクがあるサーボモーターによる無駄な稼動が無い分合理的だし、恐らく安いんじゃないでしょうかロボホン20万。

でも日本人で「正直一番ヤバいと思った」のは、Alloなんじゃないかと思うんですが、「Googleの新メッセージアプリで、人は感情を失う」「スノーデン氏、グーグルの新メッセージアプリ「Allo」を「危険」と批判」と早速センセーショナルな記事も出ていて、ビビりつつもちょっとやってみたいというアンビバレンツな欲求に板挟みにされている人が続出してるんじゃないでしょうか。

閑話休題。「「Google Assistant」の衝撃。ネットショップは終わるかも!?」という煽りタイトルのまとめ記事でも、Google Assistantとの会話の流れで、買い物はもとよりレストランや映画の予約ができるということで、ネットショップ最大のピンチなのかも的なニュアンスで綴られていますが、これが現状のネット検索の次世代スタイルなんだとすると、ここに広告が入り込んでくる可能性が高いということですよね。キーノートで見せた事例というのは、単純に「上映中の映画リストを見せる」だけですが、まさかそれだけに留まるわけないですよね。GoogleにはビッグデータもAIのノウハウもぎっしり詰まってるわけですから。そうなると会話のバリエーションとすれば、「全然客が入ってないすっげーマイナーなんだけど実はものすごく面白い映画ってやってないかな」と問いかけたら、Google Assistantは広大なネットの中からガラガラの劇場で無名の映画を見て猛烈に感動して100,000字くらいの熱烈なレビュー記事を見つけ出して、その映画をレコメンドしてくれるかも知れません。逆にGoogle Assistantの方から「こんな映画がやってますよ。ちなみに○○という映画がお薦めです」なんてことを言ってくることも容易に考えられますよね。広告の入札順序に従って。

というか、最初Google Homeを見た時のイメージは、こうやってユーザーと受け答えできるようなコミュニケーションが構築できるなら、もう従来型の広告ってのは駆逐されて、ユーザーの望むもの、ユーザーに必要なものだけが提供される、最小単位までターゲットがセグメントされた広告、一時期Webが旧来型の一方向からのコンテンツ提供ではなくなったころにうっすらと流行った(んじゃなかったかなと思いますが記憶はあやふや)「個告」というものに、遂に、本当になってしまうんじゃないかな、という気がして、それが本記事のタイトルとなっているわけですが、冷静に考えてみれば、姿形は目の前にいる個たる存在だったとしても、そいつのバックには広大なネットワークと凄まじいスケールのビッグデータの海が控えているわけで、まさか家主様のことだけを一途に考えてくれる従順で牧歌的な存在であるわけが無いですよね。昨今「アドブロック問題」については国内外問わず話題に上らない日はないというぐらいああだこうだと言われており、各メディアが試行錯誤を日々繰り返している様子ですが、もしかするとこれが答えか、と思ったのも束の間、そうか次は音声検索連動型広告対アドブロックというネクストステージが始まるだけなのか、と一人で勝手に盛り上がり、一人で勝手に落胆してしまいました。

しかしこれから先も広告無しには人間社会が回っていかないにしても、セグメントがますます小さくなること、今までの形態からは大きく変わっていくだろうことは察しがつきます。Google Assistantはユーザーからの質問を蓄積・分析し、その傾向・頻度などからユーザーに発信する広告を選ぶわけですが、ロジックはブラウザ上の広告配信と同じ仕組みでも、音声で伝えられる(しかもGoogle Assistantの声やボキャブラリーに置き換えられる)のだとすれば考え方は変わるでしょうし、プロモーションビデオにあるようなテレビに映像を映し出す機能によってCMが流せるのなら、そのシチュエーションを考慮した上で尺も内容も大きく変わっていくことでしょう。あ、なんだか面白くなりそう。

どこまで現実化するのかよく分かりませんが、あの芳香剤のような筐体がもっと熟れてくる頃には、日本でもアーリーアダプター層はこんな体験をしているのかな、という気がします。

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