宝塚市立手塚治虫記念館に行って来ました

手塚治虫の誕生日・11月3日に、娘(6歳4ヶ月)を連れて宝塚市立手塚治虫記念館に行って来ました。

娘が着色したピノコのイラスト

ラッピング列車を期待してたんですが、行きも帰りも巡り会わず。

宝塚駅は初めて降りた気がしますが、周囲はこぢんまりした商店街があるのどかな駅。しかしやはり宝塚歌劇のメッカなだけあり、駅を出るとすぐにタカラジェンヌの銅像があり(行きのタイミングでは丁度ミニコンサートのようなものが行われていてよく見れませんでしたが)、宝塚大劇場を横切り手塚治虫記念館まで続く「花のみち」と呼ばれる歩道には途中歌劇の演目になぞらえた銅像がいくつか建っていました。それも殊更に目立った存在ではなく、周囲に植えられた木々や建物と溶け合うように存在していて、大劇場も過剰に華美なものではなく、街全体の景観と調和するような、それでいて清潔感と品の良さが伝わってくるような雰囲気でした。

他にも美しくチャーミングな時計台など、宝塚歌劇を全面的に意識した街路かと思いきや、たまに足下を見ると手塚キャラの描かれたタイルが貼られていて、ここが手塚治虫、引いてはマンガ・アニメにとってのメッカでもあることも忘れさせません。

感心するのは、いずれも長年使われ続けているであろうはずなのに傷んだり汚れたりした様子が見えないことで、両巨頭のイメージを損なわないように市として清掃・メンテナンスを怠らない姿勢なんだろうな、ということを感じさせられました。

「花のみち」をいい気分で歩いていると、やがて目の前に見えてくる、これまた街の景観を崩さず、しかし確固たる個性を放つ建物、手塚治虫記念館が見えてきます。外壁にはアトムやブラック・ジャックのレリーフ、エントランス横には2メートル強の火の鳥の見事なオブジェ。嫌が応にも気持ちが昂ります。

チケットは自動発券機で購入。大人は700円、子供は未修学児だと無料。発券機すぐ横の受付でチケットを見せると、館内案内の短冊形片観音のパンフレットを頂いて入館。「スタンプカードはお作りしますか」と訊かれたのでお願いしました。3回来ると1回の入館料が無料になるというもので、有効期限は無し。

入って右手にアトムとサファイアの像、中央に手塚治虫の略歴を短い動画で見せるモニターの付いたオブジェ、左手にはビンテージな手塚グッズがショーケースの中にずらりと並び、その合間に記念スタンプと台紙がありました。このスタンプ、可愛い絵柄なんですが、しっかり押さないとアトムの目が欠けたりブラック・ジャックの髪の毛が薄くなったりしてちょっと悔しいです。

その左手の奥の通路を進むと、手塚治虫の肖像と挨拶文がお出迎え。肖像の下に花束が置かれていて、そこに「11月3日は手塚治虫の誕生日です」と書かれていました。実はこの日、誕生日を狙って来館したのではなく、この時初めて誕生日だということを知りました。

奥に入り、展示された作品や年表を胸を高鳴らせながら見ていると、間もなく館内にある小さな映画館でアニメの上映が始まるということで娘と一緒に観ました。この日上映された作品は「オサムとムサシ」。手塚マンガでお馴染み、戦時中・少年時代の手塚本人と、彼が掴まえた虫との交流からファンタジックな冒険へと広がっていくという作品で、セリフや擬音が無く、オーケストラによる音楽で動きの演出がされていて、そのシンクロ具合もアニメと音楽のクオリティもストーリーも実に素晴らしかったです。それもそのはず、原作が手塚眞、監督がりんたろう、そして音楽は冨田勲という贅沢ぶり。

映画を見終わった後、上の階へ。階段を上がった真正面に企画展を行うギャラリーがあり、今は「ヤング ブラック・ジャック」の展示。絵柄といい設定といい、どうにも受け付けないので、病院の受付を模した部屋で上映されていたアニメに釘付けになっている娘を放置して更に奥へ。

ギャラリーの出口そばに「おえかきコーナー」という、手塚キャラのイラストに塗り絵ができるコーナーがあり、娘はピノコ、僕はワンダー3を塗って遊びました。絵は他にも写楽保介などもあったみたいですが、僕が見た時には他にヤング ブラック・ジャックのものしかありませんでした。

ギャラリーを抜けるとグッズ売り場、その奥に膨大な手塚作品が読み放題のスペース、そこに併設されたカフェと、中央に手塚作品のデータベースやアニメが閲覧できるパソコンが数台ありました。

……と、そこから下の階を見下ろすと、エントランスで何かの演奏会が始まっていたので1階へ。音楽大学の学生さんたちによる、手塚治虫にまつわる音楽の演奏会でした。“海のトリトン”、“ふしぎなメルモ”、“ジャングル大帝”などお馴染みのもの(と言っても演奏している本人たちは20代前半なのであまりお馴染みではないかも知れませんが)は勿論、手塚治虫が執心したディズニーアニメの有名曲等も披露。ジャズを基調としたピアノとパーカッションの伴奏とクラシックを基調とした歌の組み合わせでしたが、思いのほか聴き応えがあり、かなり楽しめました。モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」から“恋とはどんなものかしら”を歌っていたんですが、この曲を歌うケルビーノという登場人物がいわゆる“ズボン役”という、若い男性を女性が演じていることが「リボンの騎士」のサファイアのキャラクター作りにインスピレーションを与えていた、という話は、初耳ながらクラシック好きだった手塚治虫らしさが出ていて印象的でした。

最後はきっとアトム歌うんだろうなぁ……と思った辺りで娘の集中力が切れたので、背後からそれが間違いなかったことを気配で感じながら地下へ移動。こちらはアニメ工房のようになっていて、アニメ制作の体験ができる設備が満席状態。壁にはゾエトロープなど古典的なアニメーションの仕組みを体験できる仕掛けやアニメの歴史を辿る年表などがありました。ブラック・ジャックの像が立っていたので、娘と記念写真を撮りました。館内は他にも手塚キャラの精巧な像や切り抜きパネルなどがあちこちに配置されていて、手塚作品好きにはもう夢の国というか、終始うっとりするか興奮するかしてないと仕方が無いという雰囲気です。

最後にまた2階へ上って(エレベーターを使ったんですが、円柱形のガラス張りで1階、2階と吹き抜けになっているので、これに乗るだけでもワクワク感がありました)、本を読んだり動画を見たりしてるうちにあっという間に閉館の時間に。昼食後に出かけたので約3時間の滞在でしたが、少なくともあと2時間ぐらいは欲しかったな、という感じでした。

帰路、宝塚駅で電車の出発を待っていたら、向かい側のホームの電車の出発の際、構内に流れるメロディが「鉄腕アトム」のテーマだったので、嬉しいやら名残惜しくなるやら。今度は、午前中から宝塚に乗り込みたいと思います。そして、次こそラッピング列車に乗りたいです。

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(2015年11月04日現在)
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