SHOCK CITY!!!!!!! at 京都河村能舞台 (Kyoto)

この日は京都河村能舞台で行われた「SHOCK CITY!!!!!!!」に行ってきました。

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京都河村能舞台はその名の通り普段は能が行われている会場。土足は厳禁、傷もつけてはいけないということで、舞台上を赤い布で覆って保護していました。そんな厳かな舞台にタブラやシタール、アンプ、モニタースピーカーなどが松の絵をバックに並んでいる姿はそれだけで壮観で、実に絵になります。それにしても、西部講堂といい法然院といい元立誠小学校といい、毎度p-hourのハコ選びのセンスは本当に素晴らしいですね。

音響的には、舞台は当然能楽を行うためにできており、ある意味舞台自体が楽器そのものと言えるような構造ということで、PAを入れての音づくりはかなり大変だったらしいです。しかし、気になるハウリングがあったわけでもなく、楽器ごとの音量が歪になることもない、絶妙なバランスかつ力強いサウンドに仕上がっていました。

開演時間になり、まずはSAICOBABAの面々が登場。音源だけは10年以上前から聴いていましたが、ライブはこの日が初見。エレクトリック・シタールとタブラ、それにボーカルという編成で奏でられる音楽は、インド音楽的な感触がかなり薄められ、アンビエント・ミュージックのような抽象的で耳に優しい即興演奏でした。

そこに、The Floating Guitar Borchestra Of Boredomsがゆっくりと音を重ねていきますが、こちらもエレキギターのみのアンサンブルながらバイオリンのストリングスのように柔らかな音をシタールと溶け合うように響き渡っていました。

美しくミニマルな即興の音の波は強烈な陶酔感があり、前日の忘年会疲れと睡眠不足も手伝って、夢の世界と現実の世界を、シームレスに行ったり来たりしてしまうという、演奏者としてはどうなのか分かりませんが、こちらとしてはたまらない極楽気分。

しばしのセットチェンジの後、OOIOOに濱元智行、川村亘平斎という二名のガムラン楽器の奏者を迎えての演奏。こちらは前者とはうって変わって、近作での肉体的でプリミティブなリズムを基調としたナンバーを、曲間をほとんど空けずにプレイ。

ガムランサウンドの導入が、取って付けたようなイージーなものだったらつまらないな……という若干の懸念もありましたが、さすがは今年前半から繰り返し共演しているだけあって、結果は予想を裏切る素晴らしいコラボレーションとなっていました。

単なるゲストとして参加したような借り物の雰囲気はまるで無く、ガムラン楽器を操る二人はガッツリと楽曲に絡み、完全にOOIOOのメンバーとなって金属的なガムラン・サウンド(と一部ボーカル)を響かせ、曲自体も、まるで始めからガムランの導入を想定していたかのように、この異国のエキゾチックサウンドを自身のものとして取り込んで一体化していました。

OOIOOへのガムランの融合は、彼女たちの音楽にある民族音楽的なアプローチの要素をより際立たせることになっており、それがロックバンドの楽器編成で行われているという事実の再認識にも繋がっていたように思います。

中央にガムラン奏者二人が着座し、それを取り囲むようにOOIOOのメンバーが向かい合って椅子に座るというセッティングは、アイコンタクトで音を合わせたり、時に笑顔を見せたりと、緊張感のある演奏の中でも楽しんでいるのが伝わってきて、舞台上にとてもいい空気が溢れていました。そして、メンバーが増えてなおバンドとしてのグルーヴ感も増しているようなライブバンドとしての結束感・安定感(しかし、適度な“ゆらぎ”もあるところが、単に“タイトなバンド”として完結してしまわないOOIOOの良さでしょう)も伝わってきて、約1時間のセットは、中だるみも無く、心地良い高揚感を持続しながらラストまでエネルギッシュに(そしてどこか軽妙に)疾走していました。

元はジャンル不確定なオルタナ・バンドだった彼女らが、近作では安定したメンバーでトライバルなサウンドを作り上げ、そこに来ての今年のガムランサウンドの導入は、ある種無軌道で実験的だったこのバンドの明確な方向付けにも思え、この編成による次の作品のリリースに期待せざるを得ません。

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