RAINBOW!! at KOBE-ZINK (Hyogo)

この日はKOBE-ZINKで行われたイベント「RAINBOW!!」に行ってきました。

ZINKは初めて行ったハコでしたが、物流倉庫ばかりのロケーションの中に、倉庫を改良して設営してあるというシチュエーションも、ビリヤード台や卓球台などが置かれた内装も、アングラな怪しさ満点でかなり良い雰囲気。ただ、京都からだとアクセスが結構面倒なんですが。

駅近くのモスバーガーで夕食を摂り、開演5分後ぐらいに入場。平成女性の演奏中でした。キュートな声の女性ボーカルでポップなメロディを歌う、という感じで、僕にはいまいちツボじゃなかったです。

フロアは閑散とした様子。そのうち人が増えるかと思いきや、最後までそれほど変わらず。あまり気にしなくていいように、前の方で観ることに。

続いてのヨダレサゴは、金切り声で歌うボーカルに、高速ビートを刻むドラムス、ゴリゴリと複雑なフレーズを弾きまくるベース、といういわゆるハードコアなスタイルですが、奇天烈さやポップさが感じられるギターと、変拍子も交えた複雑な曲構成によって、単に暴れるためだけの音楽ではなく、リスニングにも耐えうる強度を持ったバンドアンサンブルに仕上がっていて、しっかりとした聴き応えがありました。

この日唯一、単独での出演となった中林キララは、なんと弾き語りによる昔の歌謡曲のカバー。弾き慣れていないことが分かるギタープレイはちょっといただけない感じでしたが、歌はなかなか素敵な雰囲気。いい声してらっしゃる。最後には、アルバート・アイラーの「Ghosts」をカバー。こちらはインストで、キララ節も全開。ラストで本領発揮、と言ったところでしょうか。あの有名なテーマが、ギターのソロ演奏だとスタイリッシュなジャズっぽい曲に響くのも新鮮でした(ソロパートではフリーフォームで弾きまくってましたが)。

ラメの入った派手な衣装にマスクを付けて、フロアのテーブルと灰皿置きになっているドラム缶のレイアウトを大幅に変え(フロアの真ん中にあったテーブルをステージの真ん前に、フロア前方に点在していたドラム缶をステージ中央に縦一直線に)てから登場した飯飯猫娘娘は、サンプラー操作に徹するDODDODOと、インプロ的なドラムプレイに徹するピカチュウという、普段のそれぞれのポジションではあまりお目にかかれない組み合わせでのジャム・セッション的な演奏。DODDODOの音に反応して叩きまくるピカチュウのドラムプレイがとにかく凄まじく、音の力強さもフィルインの切れ味も緩急のバランスも見事。

後半ではステージから降り、フロアに並んだドラム缶をガンガン叩き、叩きながら自らを囲うようにドラム缶を並べ替え、回転しながらの連打、連打。こちらの興奮もいや増して高まります。

……と、そこまでのヒートアップに水を差すように、突然「わたしたちの作ったダンスを見てください」と、四つ打ちループに乗せて、脱臼ダンスを披露。続けて意味不明なミニコントをインサートして、完全に空気が変わったところで、爆音ノイズと高速ドラムでフィニッシュ。

音楽的な破壊力が圧倒的なのに、わざわざ阿呆なことをやって聴き手を煙に巻いてしまうところがあふりらんぽ的ですが、演奏がシリアスな分、その落差が半端無く、インパクトはあふりらんぽ以上。久々に「すごいものを観た」という充足感を味わいました。

続いての六万体は、クラリネット、バリトンサックス、ドラムスという異色のトリオ。それぞれのパートが一定の役割だけを担当しない、自由度の高い構成で演奏するスタイル。クラリネットはソロも吹けばリフも吹く、バリトンは時にソロとリズムの境界線を曖昧にし、ドラムスは終始緊迫感のある展開を重ね続けます。演奏技術が生み出す心地良い緊張感と適度なポップセンスが絶妙な、見応えのあるステージでした。特に、ベース音を担当しながらもメロディアスに動き回るバリトンの響きは本当に格好良かったです。

そしてトリのBOGULTAは、まず砂十島NANIがお客さん全員に卓球のラケットを配り、四つ打ちのビートに合わせてドラム缶をラケットでバンバン叩いてみせると、その勢いでフロアを煽りながらドラムセットに陣取り、「卓球で心をひとつに」という意味不明なMCでスタート。

爆音同士がぶつかって何をやってるのか半分くらいしか分からないのにとにかくすごい迫力、というサウンドは相変わらず。ヨシカワショウゴ脱退が近づいている、ということを全く感じさせない演奏ですが、観る側はどうしても意識してしまうもの。ただ、僕はヨシカワ氏の脱退をあまりネガティブに捉えていないので、「このベースの音が無くなるのか」などとぼんやり考える程度でしたが。

お客さんが少なかったせいか、いつも以上によく喋るNANI氏は、ラストの曲前のMCで滑りまくり、それに追い討ちをかけるように喋り続けてまた滑り、「ここでやったら毎回こんな感じ」とオチをつけてみたり。

そのうち、ヨシカワショウゴ脱退の話になり、「ZUINOSIN結成」から「ヨシカワ氏脱退以降の活動について」まで、「誰もインタビューしてくれへんから」と、こと細かに喋っていました。ZUINOSINはメンバーが抜けた時点で解散だった、という話は初耳(NANI氏としては、バンドのメンバーが変わっても同じバンド名で続ける、というのが嫌なので、カコイヨシハル脱退の時点で「やめじゃあっ」となってBOGULTAを作ったそうです)。

さらにヨシカワ氏も珍しく口を開き、「家族問題が理由ですか、とか、タワレコの人にめっちゃ聞かれたわ」など、NANI氏との掛け合いトークを展開。お客さんが少ないイベントだと、こういうオマケが付いてくることがあるんですね。かなり面白かったです(一時は一人でBOGULTAを続けると言っていたNANI氏、やっぱりBOGULTAはバンドで演奏するための曲を作ってる、ということで、メンバー加えるそうです)。

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