カスミトリオ/似非浪漫/waterfai/工藤冬里 at Namba BEARS (Osaka)

この日はNamba BEARSにカスミトリオ、似非浪漫、waterfai、工藤冬里を観に行きました。

Photo 1月 16, 10 13 58

開演時間直前に会場入りすると、工藤冬里がまだリハーサル中。トランペット、バスーン、ドラムスというメンバーを従え、本番直前とは思えない未完成な演奏をしばらく続けると、リハーサルを終え、本番へ。

工藤冬里はこの日が初見。訥々とシンプルなリズムを重ねるバンドアンサンブルにねじ込むように入ってくる、調子の外れた歌と、つまずくギター。一歩間違えればへたくそな学祭バンドのような音……というか、瞬間的にはそんな状態になりながらも、その音の外し方に備わる必然性、メロディの秀逸さに次第に心が奪われていきます。セロニアス・モンクの弾くピアノに無駄な音は一音も無い、と評した人がいましたが、正にそんな感じ。「まだ時間大丈夫?もう終わろうか」と一曲ごとに訊きながら続けていましたが、いつまでも聴いていたくなるような、素晴らしい歌の数々でした。

続いてのwaterfaiも、以前から気になりながらも、観られたのはこの日が初めて。ツインギターにキーボードのいる5人編成で、トランシーなリズムを重ねる演奏は、プログレ系ダンスミュージックといった感じですが、衣装も含めて「女性らしい」柔らかく優しい音を意識的に出しているところが個性になっていて、芯の太さを覆い隠すように、轟音すら羽根がついて空に浮かんでいるようなチャーミングなサウンドは、非常に好感が持てました。

似非浪漫はシャングリラ開店当時に観て以来(約6年ぶり……)でしたが、当時感じた荒削りさが全く無く、タイトでマッシブな変拍子サウンドは破壊力抜群。ここまで説得力のある音が出せるバンドになっていたんですね。強烈でした。
最後のカスミトリオは、メンバー全員がステージ奥から客席まで一列に並び(奥から高橋幾郎、道下慎介、植野隆司、梅田哲也の順)、一番前の梅田はフロアに飛び出した状態での演奏。

有名曲などを織り交ぜての植野のアコースティックギターに、高橋がリズムを絡め、道下はエレキギターで時にフリーキーに、時にドローンや美しいメロディを重ね(途中でカエルのパペットの楽器を使っていましたが、ケロミンではなさそうでした。あれ何でしょう。可愛かった)、梅田はお馴染みの自作の機材を使ってのノイズ演奏を切れ目無く続けていました。

面白いのは面白いんですが、見た目以上の発見が無いというか、想像の範疇でしかない音だったので、逆にこのユニットである必然性があまり感じられず、強力なメンツなだけにそれが少し残念。

演奏終了後、挨拶をして楽屋に戻ろうとする植野を引き止め、「お払いせな」と梅田が笹の葉を取り出し、「全然意味分からん」と苦笑いする植野の前で祈祷の真似事をし、この日の演目は全て終了。

インパクトで言えば、この日は似非浪漫が一番強かったですね。waterfaiもまた観に行きたいですが、終演後、しばらく経っても心に“さりげなく”残り続けるのは工藤冬里でした。

C’est la Dernière Chanson tour [DVD]
C'est la Dernière Chanson tour [DVD]
YOUTH 2010-01-20
売り上げランキング : 108189

Amazonで詳しく見る by G-Tools

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください