「ピュアオーディオで聴こう! アナログレコード試聴会」を終えての雑感

「ピュアオーディオで聴こう! アナログレコード試聴会」、無事、終了いたしました。

来場者は過去最大の90名。0歳から80歳まで、ほぼ10年刻みで各世代が来て下さいましたが、10代がいらっしゃらなかったかな。そこは残念なところではありましたが、概ね楽しんでいただけたようで、本当に良かったです。

動員数も過去最大でしたが、アンケートの回答率も大変高く、半分以上の方が回答してくださいました。そちらに書いていただいた感想やご要望などを辿りながら、当日のことを振り返ってみたいと思います。

高級オーディオシステムで音楽を聴くという体験に縁遠い人が多く、「貴重な体験をさせていただいた」「真に迫る音だった」「生で聴いているようだった」というポジティブな感想が殆どで、それに加えて、いくつか意見を書き添えてくださる、というのが全体のアンケート結果の傾向でした。

まず、とても多かったのが、「せっかくレコードを持っていったのにかけてもらえなかったのが残念」というご意見。これは本当に申し訳なかったです。企画当初は、多分30人弱ぐらいがいいところだろうな、という想定で、そのうち数人が持ってきてくれればいいか、というぐらいの気持ちでいたんですが、実際には90人中半分近くが持ってきてくださったんじゃないかという数で、もうやり始めたらそれだけでも時間が足りないぐらいの数でした。加えて、お客さんの年齢層が高く、みなさんの目が「“音のいいレコードを”いい音で聴きたい」と訴えていて、三浦社長との相談の結果、「あまり無作為に、何でもかんでもかけるのも良くない」という結論に達し、数名に限らせていただくことになりました。

あと、「久々に本格的なオーディオの音を聴きました」「若い頃を思い出した」という、オーディオリタイア組の方も結構いらっしゃったので、そういう方々にはいいきっかけになったなぁ、ということと、そういう方も結構いらっしゃるんだろうな、ということ。今回、若い方の集客が難しく、その点は大きな課題だなと思ったんですが、逆にご年配型のニーズにも、まだまだ応えられていない部分が大きいのかもな、と思わされました。

「説明も音響も素晴らしい」と絶賛してくださる方もいらっしゃったんですが、意外に多かったのが、「レコードの歴史などをもっと説明してほしかった」というご意見。レジュメでレコード史を簡単にまとめたA4サイズの紙を配っていたのでその影響かも知れませんが、実は僕が自分用にまとめたレコード史のレジュメはその4倍ぐらいにまで膨らんでいて、レコードと再生機、音楽文化、アンプがどのように関わり合いながら変化し、今の形になっていったのかをより細かく書いていました。これは先の「“音のいいレコードを”いい音で聴きたい」に関わることなんですが、歴史を追って話そうと思うと、「音のいいレコード」ばかりかけるわけにはいかないんですね。初期はSP盤だったり、音楽の変遷でレコードの存在に大きな影響を及ぼしたものになると初期のダブ、ヒップホップは避けられず、90年代ならクラブミュージックだって持って来なきゃいけないわけですが、開演前に音のチェックも兼ねて「Blackboard Jungle Dub」をチラッとかけただけでも、もう空気が完全に違ってしまっていたので、全然無理でした。本来は、70年代の「Blackboard Jungle Dub」と90年代の「Dubnobasswithmyheadman」を比較するようなことも考えてましたが、2枚とも一切触れられませんでした。結局、蓄音機時代の話しは口頭だけで短く、あとソノシートについて簡単に触れて、真空管アンプについてもかなり端折りながらA&Mさんに説明いただき、レコードストアデイについてはなんとか概要は分かっていただける程度にお話しした、という程度で終わってしまいました(本当は第二次大戦前後のLP誕生についてとか、エジソン/ベルリナーのライバル関係とか、ボイジャーのゴールデンレコードのこととかも色々話したくて色々準備してたんですけどね)。この辺りは、お客さんによって相反するような要望がコンフリクトしてしまったので、次回やるとしたら、もう少しコンセプトを明確に絞って複数回やるか、何か1点だけをやるか、どちらかにしないといけないだろうなと思いました。個人的には、歴史を辿りながら2時間やりたかったんですけどね。というか、公民館の方からは「会場は18時まで使えます」と言われたので、いつもの僕なら喋りまくって延長しまくっても良かったんですが、「いつもの僕」でも無い上に、この日は全員忙しくて定時に終わらないとマズかったんです。誰か、お金と時間を下さい。

あと、かけていた曲についての説明(アーティスト名、アルバム名、曲名)もちゃんとしてほしいというご意見もいくつか。これは申し訳ないです。毎回おざなりになってしまうところです。もうちょっと時間に余裕があれば良かったんですが、今回は特に駆け足気味に進めてしまったので、じっくり説明する時間が取れなかったんです(まあ、お客さんの持ってきてくださったボブ・ディランのレコードがあったので、「ウィ・アー・ザ・ワールド」のドキュメンタリーで、アーティストが全員でベラフォンテの「バナナ・ボート」を歌う中、ノリきれずにムスッとしたまま時々ニヤリとしてるディランが可愛い、という、どうでもいい話も色々してましたが)。

曲を色々かけようと思うと説明の時間が無くなるし、ゆっくり説明していると曲をかける時間が無くなる、という問題もあって、説明途中ですぐ針を落としたり(これはオペレーションの問題で、僕はもっと説明したかったんですが、時間的には正しい方法でした)、詳しい話しは省いてレコードをどんどんかけるようにしましたが、結果的には「色んなジャンルの音楽が聴けて楽しかった」というご意見もいくつか頂き、良かったのかなと思っています。僕が持っていったレコードからはMETAFIVEと小玉さんの新譜「ひまわり」をかけたんですが、「どの曲が一番良かったですか」という項目に、どちらの盤についても書いてくださってる方がいらっしゃったのは嬉しかったです。特に「ひまわり」は試聴会の数日前に発売され、当日3日前ぐらいで手に入ったのを平日の出勤前に慌てて聴いて「おっ、いい音だ」と思ってレコードバッグに詰め込んだので、終演後に「さっきのレゲエのレコードはなんて名前ですか」と聴いてくださる男性がいてくれたのは意外でもあり個人的には一番の成果でした。元曲が懐かしいものだったのも功を奏したみたいですね(ちなみに一番人気はやはり、冒頭でかけたハンプトンの「スターダスト」でした)。

ご意見の中で、「ジャンルを絞った方がいい」「ハイレゾの試聴会も」「機材の聴き比べをしてほしい」というものがありましたが、いずれも、僕が関わる試聴会では、多分やらないと思います。ジャンルを絞るのは、ジャズなりクラシックなりに特化することになると思うんですが、それをやるとしたら「HOPKEN試聴会」です。つまり、全年齢対象ではなく、特に若い方にそのジャンルの魅力を啓蒙したい、というモチベーションがあればやるんですが、「クラシックが聴きたい」という人にクラシックばかり聴いていただくのは、多分お客さんとオーディオシステムだけあれば完結するので、僕のやることではないということです。ハイレゾについては、まず三浦社長がやるつもりがない、という前提があることを別にしても、僕も今はまだハイレゾに殆ど手を染めていないし(あ、そうそう、過去にDSD試聴会をやって痛い目にあった、という心の傷は癒えました)今は中古レコード漁りに明け暮れているので、少なくとも今のところはあり得ないですね。機材の聴き比べは、実は僕には興味のあることなんですが、これって音楽よりも機材にスポットがあたるんですよね。つまりオーディオ機器が“道具”でレコードが“目的”のはずなのに、それが逆転してしまうわけです。以前、CDとレコードの聴き比べをA&Mの試聴会でやりましたが、三浦社長はいい顔をしませんでした。アンプメーカーでありながら、アンプはあくまでも脇役であるということを絶対に忘れてはいけない、と考えているからだと思うんです。

「またやってください」と書いてくださった方も沢山いらして、中には「毎月やってください」ぐらいの方もいらっしゃいました。もう本当に有り難いお話です。毎月は無理ですが、毎年恒例に出来たらいいですね。その際は、今回のご意見なども踏まえて、もう少し内容を練り込みたいと思います。

個人的には、現場に入り、ある程度お客さんが入って空気が決まってきたぐらいから、想定していた内容ではまず進められないな、というところから始まり、三浦社長と「どうしましょうか」「かなりうまくやらないとむずかしいだろうな」「まずあまり前置きに時間をかけずに早めにレコードかけましょう」と相談しながら手探りで立ち上げていき、曲がかかっている間は「次どうしよう」と毎回考えながら現場で組み上げていたので、とにかく疲れました。進むに連れて緊張も若干解けていくんですが、それでも進行表も何も無いまま時計と睨み合いながらずっと悩み続けなければいけなかったので、相当タイトロープでした。今回の試聴会は、「鍛えられたなぁ」という感じがしました。1年半振りぐらいに試聴会をして、人前で喋ったわりには頑張れたんじゃないかな、とは思いますが、(とりあえず記録用に録音はしてましたが)しばらくは聴き返したくない気分です。

多分、岸和田市での試聴会は、公民館の皆さんにもご好評でしたし、またいつかやることになるんじゃないかと思いますが、他の自治体さん、あと、個人的には学校ですね。学生さんに聴いていただく。音大とか特に。そういう、色んな場所でやれたらいいなと思ってます。

というわけで、ご依頼お待ちしております。

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