いずみホール ランチタイム・コンサート vol.97 ”関西弦四”を名乗る最初の四人組” at いずみホール (Osaka)

この日はいずみホールで行われたランチタイム・コンサートに行ってきました。

lunchtimeconcert

いずみホールのランチタイム・コンサートはいつも平日の昼間にやっているので普段は観に来ることが出来ないんですが、この日は偶然夏期休暇をとっていたので、この機会に観に行くことにしました。チケット代が2,000円と安めで、演奏時間も少し短めと、昼食前に楽しむにはお手頃サイズ。台風が近づいているということで雨風の強まりそうな中、会場入り。ビルが工事中なのか、外観がおかしなことになってました。

客層は、想像どおり大半が妙齢の女性客で、友人同士誘い合って来られているという雰囲気。客席は2階席を除くとほぼ満席で、こういった形態のプログラムに一定の需要があることを思い知らされました。まあ、だからこそ97回も続けられているんでしょうけど。

この日の出演者は、関西弦楽四重奏団という、2012年に結成された楽団。

この日の演目は以下。

5つのノヴェレッテより“スペイン風”(グラズノフ)
弦楽四重奏曲第2番 ニ長調より第3楽章“夜想曲”(ボロディン)

〜休憩〜

弦楽四重奏曲第9番「ラズモフスキー第3番」(ベートーヴェン)

〜アンコール〜

八木節

前半はグラズノフ、ボロディンの曲を演奏。弦楽四重奏は録音されたものは耳にしていてもいまいちピンと来ないところがありましたが、生で聴くと奏者同士の掛け合いや瑞々しい音の響きはなかなか魅力的。とは言え、前半を聴くだけではアルバムを買おうというところまでには至りませんでした(前半のプログラムは今年出た最初のアルバムに収録されているものでした)。

演奏後、ランチタイム・コンサートの企画・構成も行っている評論家の日下部吉彦によるインタビューコーナーと相成りましたが、何せ80も後半に差し掛かるご高齢、話のテンポは悠々とし、若い演奏家陣と噛み合ないこともしばしば。それでも最終的には音楽の芯を捉えた力強い音楽論にまとまっていくところは年の功といったところでしょうか。

後半のベート―ヴェンは、集中力と緊張感が伝わってくるような力強い演奏。四重奏ながらも壮大なスケールを感じさせる曲の構成もさることながら、それを受け止め、全力で打ち返す四重奏団の真摯な音に、とても強固なエネルギーを感じました。

そして第4楽章後半の怒濤の展開は、息を飲む高速で激しい旋律の応酬。それがただ技巧的でエネルギッシュなだけではなく、そこにベートーヴェンのメッセージがあり、伝えるべきことがあるからこそ言葉数が増え、だからこそ全ての音に必然性がある、という説得力を持った響きだからこそ、音の洪水に翻弄されながらただひたすら圧倒され、演奏が終わった途端に深く深呼吸をしたのでした。

これだけの演奏を聴かされては、よもや余力など微塵もなかろうと思いきや、最後にアンコール曲として民謡の八木節を四重奏向けにアレンジして披露。これが意外にも違和感無く四重奏の魅力とマッチしていたんですが、連想したのはダンスリーによる“The End of Asia”。つまり日本のエキゾティシズムとクラシックは相性が良いということでしょうか。かなりクセになる音でした。

ということで、後半のプログラムが録音されたら音源買いたいな。と、雨風強まった大阪ビジネスパークを必死の形相で歩きながら思いました。

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