JASRACが簡易裁判所に民事調停申し立て(1年ぶり2回目)

1年前が6月9日、今年が6月7日ということで、ほぼ1年ぶりの申し立てとなっておりまして、対象となった施設・事業者数も大差無いこともあり、「JASRAC 調停」でググると去年のことだか今年のことだか一目では分かりません。来年も同時期に申し立てを行えば、更に混乱を強めることになるでしょう。

JASRACがネット上で批判の対象になってしまうのは、技術の進歩が著作権に対する知識の増加と比例していないからでしょうね。これは私たちもJASRAC側も。昔のレコードを中古盤屋やヤフオクで買うと、帯の注意書きに「私的なコピーも禁止」と書かれてあって怖過ぎて卒倒しそうになりますが、ソフトも再生装置もあまりにも便利に進化してしまって、それに並行して都度著作権についての理解が進んでいったわけでもなく、代わりに私たちの神経は徐々に図太くなっていったのかも知れません。

例えばある美容院がJASRAC登録されたある音源を毎日かけていたとします。美容師さんがその音源をとても気に入っていて、来られたお客さんにもお勧めしたりして。中には気に入ったお客さんがアーティスト名聞いたりして。帰り道でCDショップに行って買っちゃったりして。これはアーティストにとっては作品が売れるし、JASRACにも著作権料が支払われるわけですから、誰も文句の無い理想的な例ですよね。

でもその美容師さんが気に入ったお客さんに対して「焼きましょうか」なんてことを口走ってしまい、お客さんも「あら嬉し」なんてこと言った日には、アーティストにとっては作品を売り損ねてしまう上に、JASRACとしては著作権管理していると言っておきながら違法コピーを許してしまっているわけですから、アーティスト側からお叱りを受けて然るべき状況です。僕も過去に撮影スタジオでカメラマンがかけているCDを聞いて「いいっすね」と言ったら「焼いたげよか」と返ってきたので「いや買います」とつっぱねて週末にタワレコで同じCDを買ったという経験があります。改めて家で聞いてみたら今いちだったということはどうでもいいとして、この時僕は「それアーティスト的にまずいだろ」という気持ちはあっても、JASRACの立場については特に何も考えていなかったように思います(JASRAC管理の音源だったかどうかの記憶も曖昧です)。

前者のような「美容院でかかってた曲を気に入って購入に至った」という実例がとても多くて売り上げの多くを占めることになっている、という調査結果でも出れば状況は変わるかも知れませんが、しかしもしそうだとしても「売れてるからええがな」が通用してしまうと、それは後々致命的な状況を呼び起こしてしまうかも知れません。JASRACはあくまでも楽曲の使用について管理する立場であって、売れる売れないについては関与しない立場でしょうから。まあシャア98%というからには影響力は絶大でしょうから、レコード会社に「もっと売れ、どんどん売れ」とかプレッシャーかけてるとしても不思議じゃないですが(だってメディアが広告代理店の名前を伏せるとか中小の代理店だったら完全にあり得ない話ですよ。って何の話でしたっけ)。

たとえ、JASRAC登録された音源をBGMとしてかけていて、誰も何一つ反応しない(僕は20年近く美容院には足を運んでいないのでなんとも言えませんが、美容師が自分で選んだ楽曲をかけていて、数時間お客さんとその場で対峙していたら、隣のオフィスが工事中で聴こえないとかお客さんが髪の毛に触れた途端爆睡するような人でない限り誰かの話題にはなると思うんですが)としても「勝手にかけちゃ駄目」なんだから、それは何らかの対応をしなければ当然問題あるわけですが。

初めに「対象となった施設・事業者数も大差無い」と書きましたが、これは要するに去年やったことが牽制にもなってないし浸透もしてないってことなんでしょうか。なんか相当説明が下手で、お店側が全然納得できていないんじゃないか、という気がします。我が家でも先日住宅メーカーにリフォームを頼んだ際に色々トラブルがあってまだ収束していないんですが、とにかく担当営業の説明が下手。理解不足と素人に分かりやすく説明するという考えの欠如が合わせ技になっているために何を言っているのかも何が言いたいのかも分からず、起こったトラブルに対しての説明も全く納得がいかない。技術系の方が来られてようやく納得がいく説明を受けられたんですが、やはりこちらが「何に対して納得していないか」「何に対して不審がっているか」「何に対して不安を抱いているか」を解消するには、噛み砕いたリーフレット一枚では解決せず、担当者が相手の気持ちを汲み取って直接話すことで解いていかなければいけないんじゃないかと思います。

だって簡単な話じゃないですか。EXILEがかけたいんだったらお金を払う、払いたくないなら音楽かけない。どうしてもかけたいんだったらJASRAC登録されてない楽曲をかける。仕事に対しての音楽の比重の程度によって選択肢は色々あるじゃないですか。

あ、そうそう、著作隣接権はJASRAC管理じゃないんですって

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