この日はザ・シンフォニーホールで行われた、日本センチュリー交響楽団の定期演奏会を観に行きました。
演目は、マーラーの交響曲第9番。演奏時間90分に及ぶ大作を、休憩無しで。
この日は関西の楽団の公演が重なったらしく、2階、3階席はかなりの空席具合。しかし演奏の方は最後まで体力と集中力を持続させた素晴らしいものでした。
長くしつこく、終わりそうで終わらないマーラーの交響曲。始めの第1楽章、ラストの第4楽章が長い緩徐楽章で挟まれた9番は、そんなマーラーに存分に浸れる交響曲だと思いますが、第1楽章はその期待通り、ゆったりとした出だしから大きな盛り上がりを見せたと思ったら沈み込み、また長い時間をかけて高揚感のある展開を見せ、また沈む……を、穏やかで端正な音像、そして統制の取れた立ち上がりの鮮やかな盛り上がりでダイナミックなサウンドが表情豊かに描き出していました。客演奏者でマーラーしように増強したこの日の楽団がこの楽曲をしっかりと消化し、その上で一体となって演奏しているという安定感と力強さが伝わってくるようでした。
第2楽章の途中から、演奏に混ざって小さなサイン波のような音が聴こえていましたが、ステージ後ろの座席のどなたかだったようで、第2楽章終了後にスタッフの方が声掛けをして、ようやく止まりました。何だったんでしょうか、補聴器でしょうか。
第3楽章は出だしで音を外したものの、それ以外は切れの良い演奏で力強く進み、ラストは猛スピードで展開し、壮絶な締め括り。思わず拍手喝采してしまいたくなるような迫力でしたが、ここで静かに沈黙するクラシックのオーディエンスの抑制された興奮がまた、なんとも言えない愉悦を感じさせられます。
第4楽章ラストも、ゆっくり、じっくり、たっぷりと、引っ張って引っ張って引っ張って、何分もかけて最後の命の灯火を限界まで引き延ばしていくようなエンディングの空気感は見事。できれば、拍手はあともう1分ぐらい我慢してほしかった感じ。それぐらい、しばらくじっと浸りたくなるような余韻が生まれていました。