「The Peanuts Movie」から46年遡ると「A Boy Named Charlie Brown」に辿り着きます

「The Peanuts Movie」の公開が間近に迫ってきましたね。

昨年、初頭に公開されたティーザー映像で、3Dモデリングされたチャーリー・ブラウンとスヌーピーが、原作の味わいを見事に活かし、実に生き生きと動き回る姿に興奮させられました。

その後も様々なバージョン違いの予告編でピーナッツ・ギャングたちによるお馴染みの場面が絶妙な質感で可愛く再現されている様子に期待値は日に日に高まるばかり。

公式テーマ曲のリリックビデオなんてのも上がってて、これまたクオリティの高さに興奮してしまいます。

チャーリー、サリー、ライナスのインタビュー映像なんてのも。

メイキングも見応えあります。

先週、ようやく前売りチケットを購入しました。

「The Peanuts Movie」のチケットと特典フィギュア

最近は前売り券もこんなカードになってるんですね。特典フィギュアが映画本編のフォルムを再現してくれてたらもっと良かったんですけど……。

娘(6歳5ヶ月)と予告編を観ながら公開の日を指折り数える日々ですが、僕がPeanutsを知ったのは、そんな娘がもっと小さかったころにスヌーピーのぬいぐるみに興味を持ち始めたことがきっかけでした。今は娘のためといいながら自分も見たくて本やDVDを購入しています。何しろ、子供が主役でキャラも可愛いけど本来は新聞四コマが原作なので、内容は結構ビターでシニカル。言葉遣いも大人びてたり哲学的だったりして、子供越しに大人まで貫いてしまうパンチラインがあちこちに登場します。

殊更に盛り上げたり感動させようと力こぶを作るのではなく、脱力した何気ない軽いひと言に、心の奥の方でグッと来ちゃう、というのがPeanutsの魅力かなと思うんですが、初期の長編映画「A Boy Named Charlie Brown」は、最後正にそんな感じで締め括られ、エンドロールを観ているうちに、思わず涙がこぼれそうになります。

日本では「スヌーピー」で最も知られるPeanutsも、本来の主役はスヌーピーの飼い主であるチャーリー・ブラウン。彼は、お人好しだけど何をやっても上手くいかない不器用な男の子。1969年に公開された「A Boy Named Charlie Brown」では、いつも周りから笑い者ににされているチャーリーが一念発起、友達連中を見返すような大活躍を見せます。

しかし、最後は肝心なところで大失敗。それも、「なんでそんなところで……」という間抜けな形で。みんなにも愛想を尽かされ、とことん惨めな気持ちになり、すっかり打ちのめされたチャーリーは、もう誰とも会いたくないし、話したくもないと家の中に引きこもり、学校も休んでしまいます。

そこへ、チャーリーの一番の親友、ライナスがやってきます。真っ暗な部屋で、ベッドの中から出ようとしないチャーリーに、彼の気持ちを理解した上で、「でも……」と、こう語りかけます。

“The world didn’t come to an end.”

このひと言に、自分の中の世界が全世界だと思い込み、独りで勝手に絶望的になっていたチャーリーは、そんな凝り固まった気持ちがふと和らぎ、ベッドから起き上がり、外へ出ます。

何気ない、いつも通りの変わらない日常がそこにありました。ビー玉や縄跳びをして遊ぶ友人たち。

学校で辛い思いをして、それが世界の全てだと思い込み、自分を責めたり、生きているのすら嫌になった少年時代の記憶が蘇るようです。のみならず、仕事上で起こったトラブルで悲惨な気持ちになり、気持ちのやり場が無くなったあの時。ライナスのひと言が、そんな小さな殻を破り、現実を見せてくれます。それは、生き辛く苦しみに溢れた現実ではなく、寛大で、どこにだって行けるような大らかな現実です。自分の小さな世界に押し込められて苦しんでいるとき、自分の外の世界は、実に優しく迎え入れてくれます。

(でもこの台詞、今売ってるDVDを日本語字幕で観ると「苦あれば楽あり」って訳されてて、ちょっと残念な気分になります)

チャーリーが歩いていると、ライナスの姉、ルーシーの後ろ姿が見えます。ルーシーは気が短くて怒りん坊。今回の失敗も一番口汚く罵っていたのは彼女です。いつもチャーリーを馬鹿にしていて、ルーシーがアメフトのボールを持ってチャーリーにプレースキックをさせようとするも、チャーリーが蹴る寸前にボールを引っ込めてチャーリーが転ぶ、というパターンはPeanutsでのお馴染みの光景です。

この時もルーシーはボールを持っていました。チャーリーはルーシーに気づかれないよう、後ろからこっそりと忍び寄り、今日こそはプレースキックを決めようとルーシーに向かって猛ダッシュ。しかし蹴る寸前、やはりボールは彼の視界から消え、その場にひっくり返ります。

仰向けになったチャーリーを得意げに見下ろしてひと言。

“Welcome home, Charlie Brown.”

ルーシーのキャラクターや、チャーリーとの丁々発止(ルーシーはチャーリーの精神カウンセラーだったり、チャーリーの野球チームのメンバーだったりもします)を知っていると尚更沁みるこのセリフで「A Boy Named Charlie Brown」は幕を閉じます。

初の長編映画だったからか、本編中のアニメーションの演出も多彩で実験的、キャラクターの動きも細かなところまでこだわりを感じさせられます。更にサウンドトラックも素晴らしく、スタッフ全員の気迫が感じられる見事な完成度で、長編作品の中では最高傑作と言えるのではないでしょうか。

まだご覧になったことのない方も、昔観たことがあるという方も、Peanutsの長編映画の原点として、新作映画の前に鑑賞しておくのも(または観終わった後に改めて観てみるのも)良いんじゃないかと思います。

新作では、一体どんな展開が待ってるんでしょうね。ピーナッツ・ギャングたちの活躍を想像して、またもやワクワクが止まりません。

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン¥ 1,000

(2015年11月24日現在)

5つ星のうち4.7
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