バッハ・オルガン作品全曲演奏会 vol.7「バッハ好みのロ短調」 at いずみホール (Osaka)

この日はいずみホールに、バッハのオルガン作品を全曲演奏するというシリーズ企画の第7回を観に行きました。

いずみホールにて、バッハ・オルガン演奏会途中休憩時の様子

バッハが作曲した228曲のオルガン作品を、年2回・全14回という7年がかりで演奏するというプロジェクト。

いずみホールの音楽監督であり、バッハに関する研究・著書でも知られる礒山雅が各回のナビゲーターを勤めますが、演奏者は毎回異なり、この日の演奏者はオ・チャギョンという韓国の女性オルガニストでした。

この日のプログラムは以下。

プレリュードとフーガ ホ長調 BWV566
“キリストは死の縄目につながれたり” BWV718
トリオ・ソナタ 第4番 ホ短調 BWV528
“輝く曙の明星のいと美わしきかな” BWV739
プレリュードと模倣曲 ロ短調 BWV563  

〜休憩〜

アラ・ブレーヴェ ニ長調 BWV589
“われ汝に別れを告げん” BWV736
“われとともに神の慈しみを讃えよ” BWV613
“古き年は過ぎ去りぬ” BWV614
“汝にこそ喜びあり” BWV615
“イエスよ、わが命の命” BWV1107
“いと尊きイエスよ、われらはここに集いて”BWV634, 706, 731
“心よりわれこがれ望む” BWV727
プレリュードとフーガ ロ短調 BWV544

〜アンコール〜

“神のみわざは善きかな” BWV1116

客層は、若い人は片手で数えられそうな数しかいない感じ(ゴスロリ風の若い女性もいらっしゃいました)。女性が多めでした。お客さんの入りは7〜8割でしょうか。

この日の朝にドイツから帰ってきたという礒山氏のトークで幕開け。先頃話題になったバッハの肖像画が帰還したというライプツィヒで件の肖像画も拝見された氏は、現地で行われていたバッハの演奏会を鑑賞し、数々の名演に耳を傾ける中、オルガン音楽に特に感動し、「やはりバッハの神髄はオルガン音楽だ」と改めて思うに至った、という土産話で、会場に集まったお客さんの気持ちをバッハの世界へとグッと引き込みました。

この日のプログラム、特に前半の概要について簡単に説明すると、氏も客席へ。パイプオルガンの生演奏を目の当たりにするのは初めてだったので、普段閉じられている正面の鍵盤が表に出ている状態も、演奏者が2階下手奥から登場する様子も、ストップの切り替えの度に起こる「がしゃん」という音も、何もかも新鮮でした。

中でもやはり、生のパイプオルガンの響きには驚きました。耳を聾するというような爆音ではなく、それでいてホールのアンビエンスと溶け合い、一体化するような壮大な響き。オルガンから音が出ている、という距離感が一切無く、オルガンすら離れてホールの空間から音が発しているような不思議な感じ。パイプオルガンは、ホールも含めてひとつの楽器なんですね。

今までパイプオルガンの音と言えばこんな音……という単純なイメージしか持っていませんでしたが、曲ごとにストップを変えることで生み出される音は、時に荘厳であったり、時に穏やかであったり、大胆であったり繊細であったり……と様々な表情を見せ、録音されたものを聴くだけでは感じられなかった表現の豊かさを思い知らされました。

更に、この日のバッハのプログラムも、プレリュードとフーガ、コラール、トリオソナタ、アラ・ブレーヴェ……とバラエティに富んだ選曲で、それぞれの演奏の違いを楽しみながら聴くことができ(ステージ上には、左右に縦長の電子表示板が立てられ、今何を演奏しているのかが分かるように曲が始まる前に曲名が表示されていました。)、今までどちらかと言うと退屈に感じていたバッハのオルガン音楽の面白さを無理無く堪能でき、僅かながら、楽しみ方も少し分かったような気がします。

後半の初めには、磯山氏によるオ氏へのインタビューがあり、韓国のクラシックやバッハ、古楽演奏事情の話など、近いわりには殆ど見えない話題に触れられ、興味深かったです。オ氏が韓国で弾いているオルガンが日本人設計者のものだということで、こんなところでも日韓の文化交流があったんですね。

荘厳な“プレリュードとフーガ ロ短調”で堂々たるエンディングを迎えた後、アンコールには“神のみわざは善きかな”で、優しく穏やかな、温かい演奏で終演。

正直なところ、2時間オルガン独奏を聴き続けて眠気に勝てるのかどうか不安がありましたが、眠くなるどころか聴くほどに冴えてくるような高揚感がありました。帰路、電車に揺られながら「良かったなぁ……」とじわじわ来る余韻にしばらく浸るような感じ。

演奏中に咳き込む人や立って歩く人、飴の包み紙か何かをガサガサする人……とマナーはイマイチでしたが、オルガン演奏だと音の存在感が揺るぎないせいか、普段の演奏会と比べるとあまり神経質に苛立つことは無く、気楽に聞き流せる感じでした。座席も恐らくどこから聴いても普段ほどの大差はなさそうで、そういう意味でも、内容のハードさほど気張って聴かなくても良かったりします。今回、公演の1ヶ月ほど前になってチケットを取りました(座席は中央よりやや後ろ、上手寄りでした)が、次回も自分のスケジュールの様子を見ながら、行けそうだったら行く、というのんびりした感じで構えていようと思います。

講談社

¥ 1,188

(2015年06月22日現在)

5つ星のうち4.8
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