大阪フィルハーモニー交響楽団 第488回定期演奏会 at フェスティバルホ―ル (Osaka)

この日はフェスティバルホ―ルに、大阪フィルハーモニー交響楽団の第488回定期演奏会を観に行きました。

大阪フィルハーモニー交響楽団・第488回定期演奏会

指揮者は準・メルクル。この日のプログラムは以下。

幻想曲「花火」(ストラヴィンスキー)
バレエ音楽「カンマ」(ドビュッシー)

〜休憩〜

幻想交響曲(ベルリオーズ)

新しくなってからのフェスティバルホ―ルに行ったのはこの日が初めて。以前は駅構内から直通の通路がありましたが、今は一旦外に出て橋を渡って……と少し距離が出来ました。再来年の春にはバリアフリー工事を終えてまた直通となるようですね。

ホ―ル内は以前の面影を残しつつも最新鋭の設備に生まれ変わっていて、エントランスに向かうまでも、入場後、1階席へのフロアに向かう長大なエスカレーターを目にしても、そのスケール感とエレガンスに圧倒されてしまいました。

座席は前から3〜4列目、中央よりやや右寄り。ちょっと前過ぎました。

開演時間となり、1曲目「花火」で幕開け。距離が近かったのもあるでしょうが、フェスティバルホールの音の鮮明さに驚きました。前のフェスティバルホールではクラシックは聴きに来たことが無く、残響のキツい会場という印象しか無かったんですが、オーケストラの音が各楽器ごとにはっきりと聴こえ、それでいて音楽的な残響も感じ、アンサンブルが一体となるとガツンと鳴ってくるので、正にこれが生音の良さだなぁと聴き惚れてしまいます。ただ、「花火」は出だしからややばらけた印象で、音の分離の良さが裏目に出た感じでしたが。

「カンマ」は、かなり堅実な演奏になっていたように思いますが、元の曲もイントロのおどろおどろしいパート以降は結構地味な曲なので、夢現で聴いてしまいました。

そして休憩を挟んで、西洋音楽史最古・ドラッグ体験を曲にしたサイケ大作「幻想交響曲」。気づけば指揮台に譜面台が無く、この曲のみメルクルは譜面無しで振っていました。

第1楽章、繊細な冒頭から引きつけられます。恋の病に悶えるようなロマンティックな響きから激しく燃えるような展開。ここに来てフェスティバルホールの音の良さが発揮され、各楽器の聴かせどころを十二分に引き立てます。

第2楽章のワルツのリズムが流れ出した時、その華やかさと艶かしさに唸ってしまいました。第2楽章ってこんな官能的で心浮かれる曲だったのか……と胸を打たれ、後半に向かって盛り上がっていくに従って、全身から鳥肌が立ちました。もうこの時点で拍手喝采を上げたくなりました。

第3楽章、オーボエや左右ヴァイオリン群の掛け合いがホ―ルのスケール感を生き生きと使い切り、リアルなサラウンドの世界が全身を大きく包み込みます。

激しく盛り上がる第4楽章は、ラストの断頭台で首が転げ落ちるシーンが白熱し過ぎてややメリハリに欠けた感じがしましたが、聴き応えはありました。

そして最後の第5楽章。舞台裏からの鐘の音は案外自然にアンサンブルに混じっていましたが、驚いたのは大太鼓の低音。“ブーン”と建物の傍を大きな車両が通っていくような低音。他にもハープの音が急に遠くから飛び込んでくるような錯覚に陥ったり、チューバの太い振動に耳を奪われたりと、ホールと楽団の生み出す音響効果に終始驚きっぱなしでした。

怒濤のクライマックスで全楽章を走り抜け、会場からは盛大な拍手。プログラム前半が短かったのもあり、終演までの時間はアンコール無しで2時間弱。時間的にはもう少し聴かせてもらいたい気分でしたが、1時間近い交響曲をあれだけの密度で演奏した後ではそうもいかないですかね。何より、時間以上の満足感がありました。

その満足感に多大な貢献をしていたのがフェスティバルホ―ルの音響の良さ。今度はもう少し良い席でホ―ル全体の音を味わいに行きたいと思います。

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