いずみシンフォニエッタ大阪 第34回定期演奏会 at いずみホール (Osaka)

この日はいずみホールに、いずみシンフォニエッタ大阪の第34回定期演奏会を観に行きました。

いずみシンフォニエッタ大阪 第34回定期演奏会 at いずみホール

客層は、あらゆる世代にバラけたようなごちゃ混ぜ具合。勿論年配の方が目立ちましたが、男女含めて40以下ぐらいの人も多く目にしました。客の入りは7割ぐらいでしょうか。

演目は以下。

〜ロビープレコンサート〜
ヴァイオリンのための二重奏曲(ミヨー)
4つのシュピーゲル・カノン より(モーツァルト)
ピアノソナタ第11番第3楽章(モーツァルト)

アパラチアの春(コープランド)
シャクティ(ロタル)
〜休憩〜
ピアノ協奏曲(リゲティ)
世界の創造(ミヨー)

いつもだとプレコンサートはオマケ程度であまり記憶にも残らないんですが、この日のヴァイオリン二人による演奏は結構楽しめました。中でも存在は知っていましたが(演奏する当人たちも、この曲が4つもあることを知らなかったそうです)生で聴くのは初めてだったモーツァルトのシュピーゲル・カノンはなかなか興味深かったです。ひとつの譜面を向かい合わせになって二人で上下から弾くとちゃんと調和された曲になるという冗談みたいな(実際、内輪で遊ぶために冗談で作ったっぽいですが)この曲を、水平に置いた譜面を上下から二人で挟むようにして弾いていましたが、まるで普通にヴァイオリンが二段になっている譜面を弾いているようにしか聴こえず、あまりの精巧さに思わず笑いが込み上げてきました。関西弁で調子良く話すMCも、クラシックコンサートによくある上滑り気味のお寒い内容にならない軽さと間の良さに笑いつつも感心。モーツァルトのシュピーゲル・カノンでは「譜面が一枚しかないので(奏者二人のうち)どっちかがさらえてません」と冗談まじりに言ってましたが、どうしてコピーを取らないのかしら。

ホ―ルに戻り、プレトーク(こちらは若干、“上滑り気味のお寒い内容”でした)に続いていよいよ本編。“アパラチアの春”は出だしから見事な優美さでうっとりと引き込まれ、ついつい舟を漕いでしまっていたら、気がつくとこれまた美しいエンディングを迎えていました。ほぼ丸々1曲眠ってしまっていたという……。

続いての“シャクティ”はこの日一番の観どころ・聴きどころでした。導入は、西本淳によるリードを外したソプラノ・サックスの音。管に直接空気を送り込まれる“ぶぉう”という音と、弦楽器が高域で奏でる持続音が混ざり合うと、まるで“ノヴェンバー・ステップス”での尺八を聴いているような気にさせられます。その後、一気呵成のフォルテッシモやクレッシェンドが複雑に交差する中、様々なパーカッションやフリーキーにブロウするサックスなどが飛び交い、それらが互いに一本の手綱を押し引きするように絡み合う緊張感溢れる演奏が繰り広げられます。中でも驚いたのは、サックスがダブのようなディレイを響かせた時。一瞬サックスにエフェクターでもつないでるのかと思いましたが、マイクが無いどころかアンプもPAも無い完全生音なのにエフェクターなど使っているわけがありません。よく見ると、西本氏のサックスの後に続くように他の管楽器奏者が語尾のフレーズを追っかけて吹くことで人力でディレイ効果を生み出しているようでした。

チューバ奏者が巨大なミュートをはめるところがあったり、視覚的にも面白い曲でしたが、楽曲自体もスリリングで最後まで聴き手を捉えて離さない力強さがありました。曲の構造もメロディも、いわゆる無調の現代音楽に見られるスタイルの曲という感じでしたが、レコードで聴くと“いかにも”と枠にはまったように聴こえてしまいかねない音も、生で、肉体を駆使して再現されると実に鮮やかで娯楽性高く響くものだなぁと思いました。やはり現代音楽は生で聴くべきかもしれませんね。

休憩をはさみ、リゲティのピアノ協奏曲へ。ソリストに福間洸太朗を迎えての演奏は、全体的にやや取っ散らかったような印象。冒頭から複雑なポリリズムが続きますが、互いのリズムが噛み合って一体感を……とはならず、なんだか関節が外れてがくがくと軋みながらぎこちなく行進しているような感じ。各奏者は白熱した演奏をしていたように思いますが、それがひとつの音楽の響きにまとまるには至っていないように感じました。

最後は“世界の創造”。ガーシュインの“ラプソディ・イン・ブルー”のようなジャズテイストを含んだ曲ですが、“ラプソディ・イン・ブルー”よりも若干早く作曲されたようです。幾つかの主題が鮮やかに繋がり、艶やかな世界を生み出すガーシュインと比べると、ややぎくしゃくして、短調/長調の絡み合いもやや歪に感じますが、リゲティでぎくしゃくしていた楽団は、意外にもこの曲ではリズムの不安定さをしっかりと乗りこなした、どっしりとした安定感を見せていました。先ほどとはうってかわって安心して聴くことができ、この曲の不思議な魅力を、落ち着いて味わうことができました。

モーツァルトの珍曲から21世紀のフレッシュな楽曲まで、興味深く楽しめる演奏会でした。というか、初めて聴いたその2曲が一番面白かった、ということも含めて非常に面白かったです。

モーツァルト : ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331「トルコ行進曲付」
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