渚にて at Namba BEARS (Osaka)

この日はNamba BEARS渚にてを観に行きました。

渚にて at 難波ベアーズ

6年ぶりの新譜「遠泳」のレコ発ということもあって、チケットはソールドアウト。遅めに会場に着くと、既に視界は半分以上隠れてしまうほどの賑わい(といっても皆さん静かでしたが)。年齢も人種もごちゃ混ぜの客層に、渚にての普遍性を感じます。

この日のメンバーは、ベースの山田隆司、キーボードの吉田正幸というお馴染みのメンバーに加え、ギターの頭士奈生樹も参加して、レコーディングメンバー勢揃いのスペシャルコンボ。5人編成での生演奏は初めてとのこと。

2年ほど前から同じベアーズで年2回というペースで活動を再開し、その中で披露されてきた楽曲が詰め込まれた待望の新作は、渚にてのサウンドを、彼らの音楽同様、まるで時間が止まっていたかのように悠々と、6年前からシームレスに続いているかのように鳴らしていました。細かな変化はありますが、誰がどう聴いても渚にてとしか言いようの無い歌、ギター、ドラム……。そんな中で、ギターソロやコード進行に、これまで以上に彼らのバックグラウンドでもあるPINK FLOYDの影響を強く感じさせられるところもありました。

ライブは、そんな新譜の中で最もPINK FLOYDに接近していると感じた“けものみち”で幕を開けます。角が丸く、立体的に響くアルバムのサウンドと比べると、ベアーズの音はエッジが立っている分全体にフラットで、全ての楽器が横並びに聴こえてしまいますが、音の分離は明瞭で、各メンバーの動きが、人垣の向こうから手に取るように伝わってきます。

スタジオ録音での精密で完璧な演奏を見事に再現しながら、柴山伸二の、大きく呼吸するような振り幅の大きい“ゆらぎ”がアンサンブルをより有機的に響かせ、静かに、しかし熱く滾るようなエネルギーを発しながら、濃密な演奏が繰り広げられます。前回も全身から熱を発していた柴山氏、この日も途中のMCで「もしかして暖房入ってますか。ステージが暑過ぎるんで」と終始涼しい顔でドラムを叩く竹田雅子と好対照。

ツインギターになった分、柴山氏のギターと歌に余裕が生まれたこともあってか、全体の音もいつも以上に伸びやかに響いていたように感じました。歌いながらリズムを刻む上に頭士氏が音を重ねることで、楽曲の厚みと彩りが増していました。そのギターのフレーズも、柴山氏の太く歪んだ音と対照的な浮遊感とサイケデリックな叙情性を持った音でありながら、渚にてのイメージそのもののように響いていました。それは他のメンバーも同じで、メンバーそれぞれが強い個性を出しながらも、それが一切エゴイスティックにならず、むしろ渚にての世界観を具現化するために奉仕しているかのように聴こえるほどでした。

その秘密は、やはり楽曲の持つ魔力によるものだろうと思います。この日の演目も新作からの曲、古い曲、そして新曲を織り交ぜながらも時間の境目無く一貫したサウンドを生み出しており、それだけの強度と完成度を誇る楽曲が演奏者のポテンシャルを引き出しながらもそれすら飲み込んでしまうような底知れぬ深さを持っているからではないかと思います。渚にての音楽には、そう思わずにいられない魅力があり、彼らの演奏を聴いていると、もうこれ以上に完璧な音楽はあり得ないような、無人島に持って行くならこれ以外考えられないような、ロックミュージックの究極のサウンドを聴いているような感覚に襲われます。柴山ご夫婦が、育児に専念し、しばらくギターを触らなかったほどのブランクを挟みながらも(竹田氏は「よすが」の時点で既に休息に入り、レコ発で山本精一がドラムを叩いていたのは忘れられません)、そのクオリティを今もなお漏れなく形にすることが出来たことは、彼らのファンとして幸福という他ありません。

そしてこの日も経済的理由で終演後の物販はパス。次回までには物販貯蓄でもしないと……。

遠泳
遠泳 渚にて

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