TERRY BOZZIO at JACK LION (Osaka)

この日はJACK LIONテリー・ボジオを観に行きました。

テリー・ボジオのドラムセット

JACK LIONはいかにも“ロック”な感じのハコ。茨木市ということで、阪急沿線の京都市手前に住んでる身としては近所だな、という感じで思っていましたが、場所はほぼ摂津市。初めて阪急摂津市駅で降りましたが、一件スーパーがある以外は何も無いようなところで、そのわりに会場までは信号が多かったり片側しか歩道が無かったりでいちいち歩きにくい道。加えて摂津市駅は鈍行しか停まらないのもあり、距離に反比例して無駄な時間を食わされる羽目になりました。まあ多分、ハコのカラーからしても今後行くことは無いと思いますが。

フロアには、テーブルと椅子が並べられており、前方は椅子のみ2〜2列並べられている感じ。磔磔ぐらいの小さなフロアでしたが、後方は結構余裕がありそうな客入り。前から2列目に座りました。開演前、ステージは暗幕がかけられてドラムセットは観られない状態。

開演時間が近づくと、店長が前説に現れ、諸注意の後、暗幕を開けると、例の巨大なドラムセットが。組むだけで優に3時間かかるんだとか。

テリーは拳大の金色の鈴が複数付いたものをぶら下げて登場すると、ドラムセットに吊り下げられた鳴りものに擦り付けたりぶつけたりして音を鳴らしながらセットの中へ入って行きます。

両手にスティックを持つと、両足で一定のリズムを刻みながら、大量に敷き詰められたタムを駆使してメロディを奏でます。ドラムキットはシンセと連動しているようですが、どこまでが人力の音でどこからが加工された音かは、視野に入らないところにも打楽器やペダルがやたらと仕込まれていて判別できませんでした。

様々な打楽器を駆使して生み出されるメロディは、ガムランのような質感を持って響いていましたが、楽器の制約が無い分、ジャンルの特定は不可能。シンセパッドの音を流しながら、コードに合わせたメロディをタムで鳴らすなど、超絶技巧を駆使した演奏は、凡百のドラマーのドラムソロとは全く別物でありながら、ドラムセットのインパクトから連想されかねない大道芸的なパフォーマンスとも一線を画していて、50年のキャリアで積み重ねてきた様々な要素を血肉化した上で新たな表現を追求した結果だということが窺い知れます。

途中、ドラムセットから離れ、カホンと脚にはめた鈴だけで息を飲む演奏を繰り広げたり、電子パーカッション(多分これ)一台でめくるめくドラムソロを聴かせたりと、様々な緩急を付けながら、途中休憩を挟み、前半後半それぞれ約45分ほどのセットを、緊張感を維持しながら披露しました。今年64歳になるとは思えない音のキレとリズム感も凄いですが、ルックスも60過ぎてるとは思えない若々しさで、70年代のザッパバンド時代の映像で見せるハの字眉毛でタム回しする表情も同じ、ドラムスティックを落としてお茶目におどけてみせるチャーミングな笑顔も変わりません。

ただやはり、ドラムでメロディが叩けるとは言え、曲として聴かせるというところまでに至ってはおらず、少し抽象的な、もやっとしたパフォーマンスに聴こえてしまうのも正直なところ。まあそこでみんなお馴染みの曲なんてのを演奏すると途端に大道芸的になってしまうので、それを避けたのかも知れませんが。ステージも低く、至近距離で非常に面白いものを観させてもらいましたが、今度はバンドで演奏する彼のドラムが聴きたいなと思います(Brecker Brothers Reunionが東京のみなのはつくづく残念……)。

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