BEST FRIENDS at CONPASS / Club STOMP / 島之内教会 (Osaka)

この日は日野浩志郎による、CONPASSClub STOMP島之内教会の3カ所で行われたサーキットイベント「BEST FRIENDS」を観に行きました。

BEST FRIENDSでのSOLMANIA+YPYのステージ写真

15時にスタートして22時まで、3会場でほぼ休み無く出続ける日野氏特選のエグいメンツたち。見所・聴き所満載で、根っからの貧乏性の僕は休む暇もなく3カ所をぐるぐると回っておりました。

ルートは以下。

SOLMANIA+YPY(CONPASS)→前田TYX$ON(STOMP)→MUKAI TAKAHIRO(STOMP・前半ちょっと)→DJ威力(島之内教会・後半ちょっと)→Buffalomckee(島之内教会)→OPQ(島之内教会)→DJ自炊(STOMP・ちょっと)→bonnounomukuro(島之内教会・後半半分くらい)→湿った犬(STOMP・ちょっと)→Greg Fox(CONPASS)→水内義人(島之内教会)→Bing(CONPASS・後半ちょっと)→suppa micro panchopp(CONPASS)→DJ置石(STOMP・後半ちょっと)→KUKNACKE(STOMP・前半ちょっと)→Shhhhh(CONPASS・後半ちょっと)→goat(CONPASS)

久々に観たSOLMANIAは、ギターがコンパクトになっていました。この日はYPY名義の日野氏を迎えてのトリオ演奏で、左右でSOLMANIAの二人がノイズをかき鳴らし、中央で日野氏がサンプラーかリズムボックスのようなものでノイズとビートを出して迎え撃つという体制。大野、菅原両氏と日野氏が拮抗するように互いの音をぶつけ合うようなアグレッシブなパフォーマンスでしたが、音圧ではYPY、攻撃力ではSOLMANIAに軍配が上がったという感じで、なかなか見応えのあるセッションでした。

島之内教会で観るDJ威力のエキゾチックなミックスは大変魅力的でしたが、続くBuffalomckeeの、映像やハプニングを交えたノイジーで不謹慎なパフォーマンスが、良い意味でぶちこわしていました。ステージ前にテントを組んで内側から映像を投影したり、Buffalomckeeの横でずっとマイクでアジっていたり、右手では付箋を使ったライブドローイングのようなことをしていたり、知らずに観たらドン引きしそうなドロップアウトぶり。ある種、この日のピークと言っても良いかも知れません。

bonnounomukuroは音源を聴いて以来ずっと観てみたかったんですが、期待通りのチルアウト感が教会の雰囲気にもマッチしていて格好良かったです。

Greg Foxによるドラムソロは、手数、重さ、スピード、グルーヴ感がギンギンに研ぎ澄まされていて、シンプルなドラム・セットを叩いているだけでも様々なハーモニーと展開を聴かせる凄まじい技術とセンス。20分ぐらいの演奏だったでしょうか。あともう1セット聴きたかったほどです。

湿った犬は、おそらくこの日STOMPに一番お客さんが入っていたんじゃないかという大入りで、同アクトへの人気・関心の高さが伺えました。

僕としてはちょっとビートのはっきり効いてる感じが今イチな気がしたので島之内教会に移動しましたが、観ようと思っていた森山ふとしは既に終了していて、水内義人がセッティング中でした。舞台上で、センサーのようなものを腕や脚に貼り付け、まるでモーションキャプチャを撮るための器具を付けているような格好でした。

口元にマイクの付いたガスマスクのようなものを付けて演奏スタート……と思いきや、マイク経由の「ふぅー、はぁー」という息の音以外は、延々と絡まったケーブルを引っ張り回すばかり。いつまでもやってるのでいい加減笑いがこみ上げてきたところで、突然鳴り響くサンプリングボイス。その言葉は、“インターネット”と“味噌ラーメン”の二語のみ。その二語が、どうやら身体に付いているセンサーの反応に合わせて鳴る仕組みのようですが、どうも水内氏が想定していたように鳴っていないらしく、意図しないタイミングでそのサンプリングボイスが途切れ途切れに繰り返され、水内氏もなんとか思い通りに出そうと身体をクネクネ動かして音を出そうとするんですが、お客さんから観ると、教会の壇上で変な動きをしている人がいて、“インターネット”と“味噌ラーメン”だけを不規則に繰り返しているだけという状況で、もうその馬鹿馬鹿しさと意味不明さに全員大爆笑。何が面白いのか、こればかりは現場にいない人にはどうにも伝えようが無いのですが、頭に浮かんだ言葉は「笑ってはいけない教会24時」。笑い過ぎて涙が止まりませんでした。この日のベスト・アクト。

suppa micro panchoppのポップでエグくて楽しいエレクトロで踊った後は、CONPASSとSTOMPを交互にうろうろしながら、この日最後のアクト・goatへ。

goatを観るのは昨年のレコ発以来でしたが、やはり彼らの演奏の緊迫感、ストイシズムが生み出す快楽は格別。繰り返し演奏を続ける中で、より楽曲が血肉化し、グルーヴ感が増していたように感じました。そして、この日感じたのは、彼らは「“無音”の時の“音質”」にかなり拘っているんじゃないだろうかということ。音が鳴っていない時、というのは言わずもがな音楽にとってものすごく大事な存在ですが、それがただ「演奏していない」だけではなく、その「演奏していない」時、どんな音が鳴っているのか、ドラムスだけが鳴っている時、その音は本当にドラムスだけの音なのか。彼らがPAに対してかなり綿密な要望を出すのは、それぞれの器楽音を際立たせる“無音”をどこまで突き詰められるか、ということが重要なポジションを占めているのではないか、そして彼らがホ―ムグラウンドのように演奏するCONPASSのデッドな音響は、彼らの求める“無音”に適した音響なのではないだろうか、というようなことを思いながら、贅肉の一切ない、引き締まったビートを聴きながら思いました。

約7時間、ほぼぶっ通しでオルタナティブな、それも異常に濃度の高いサウンドを浴びた、終始楽しい充実した一日でした。お客さんは大入り……というにはもう一息、といったところでしたが、内容のハードコアさからすればそれでも大健闘なのかも。ただ、お客さんの中に何となく見知った顔が多かったこともあり、もっと外側にいる人たちにも届けばいいのにな、とは思いました。goatなんて、出すところに出せばもっとオーバーグラウンドの、さらにはアートの文脈でも高く評価されたっておかしくないのにな、なんて思いますし(本人たちは望まないでしょうが)。

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