音の城 音の海 SOUND to MUSIC at 第七藝術劇場 (Osaka)

この日は第七藝術劇場「音の城 音の海 SOUND to MUSIC」を観に行きました。

まず印象的なのは、昨今のインディペンデントなドキュメンタリーとは一線を画した美しい映像。サイレント映画のように合間に挿入される説明文以外はナレーションもなく、静かに見守るカメラのポジションは大変心地よく、ひとつひとつのシーンを丁寧に、鮮やかに描いています。

そして、映画のストーリーは所々時系列が混ざり合ったりしているし、状況の展開を説明するようなナレーションもなく、劇中、出演者が語られる言葉に酔っても明確には示されません。逆に、ひとつひとつの言葉から拾い上げられる意味やストーリーは多く、まるで映画全体がひとつのフリーインプロヴィゼーションの成果であるかのよう。

しかし内容自体は小難しいことは何もなく、ただただ楽しい音の数々が、愉快な子どもたち・大人たち・音楽家たちによって奏でられている最高の音楽映画です。ただその音楽が、これほど「人間らしさ」に溢れたコミュニケーションから立ち上がっていく姿のスリル、リアリティは、他のどんな音楽映画にも生み出し得ないのではないでしょうか。

さて、僕が音遊びの会を初めて観たのが3年前で、その時に感じたインパクトとともに、音遊びの会をくくる「障害者」という言葉と、舞台上で生まれる音楽の面白さに、何か言い知れない違和感をずっと抱えています。
根源にある音楽療法という側面と、一般観衆に向けられる音楽という側面。
現場で起こるハプニングにうろたえたり笑ったり感動しながらも、それが「障害者」というフィルタ抜きで観たとき、自分がどう感じるのか。

この映画には、それに対する明快な解答はありませんでした。しかし、この映画には何に対しても明快な解答はなく、映画は「音の海」の終了とともにあっけなく終了します。
何も答えはないし、正解も間違いもない。そうか、音遊びの会って、そういうことなのかな。自分の中のモヤモヤを解消するものではなくて、いろんなモヤモヤを抱えながら、誰にも結論づけることの出来ない音を奏でる楽団。
映画を観ながら自分の子どもの将来を思ったり、劇中の可愛い子どもたちの未来を気にかけたり、そんな雑念も含めて「音遊びの会を観る」ということなんだろう、と思いました。

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