映画「SAVE THE CLUB NOON」 at 元・立誠小学校特設シアター (Kyoto)

この日は元・立誠小学校特設シアター「SAVE THE CLUB NOON」を観に行きました。

SAVE THE CLUB NOON at 元・立誠小学校特設シアター

場所は、元・立誠小学校の一室をロビーに、一室を劇場にしたもので、劇場内は暗幕で囲った部屋にひな壇を設置し、座椅子を並べた簡易な設備。しかしコンパクトなサイズも功を奏してか、音響的にも映像的にも一般的なミニシアターと比べて特に遜色無いクオリティでした。

映画は冒頭、NOONマネージャー・山本陽平、NOON代表・金光正年のコメントから始まり、風営法を取り扱うドキュメンタリーとしての重さを感じさせますが、一転、BLITZ AND SQUASH BRASS BANDの快活な演奏シーンで神妙な硬さが吹き飛びます。

この映画は、心斎橋オンジェムで2012年7月14日〜17日まで行われたイベント「SAVE THE NOON」を記録したもので、当日の演奏シーンと、出演者のインタビューを演奏の合間に収録したもののみを素材に編集された映画で、ナレーションは一切無く、言葉はインタビューイから発せられたもの、ステージ上のミュージシャンが発したものに限られ、テロップの類も、事実に沿ったものを淡々と乗せるのみ。

僕は鑑賞前、この映画を「CLUB NOON摘発を主軸に風営法とクラブカルチャーの問題について切り込むドキュメンタリー」だと思い込んでいました。多くの人がそうではないかと思います。しかし、これは半分正解ですが、半分は間違いで、この映画は「SAVE THE NOON」という音楽イベントを実録した音楽映画と言った方が正しいでしょう。

とにかく、ライブの演奏シーンがどれも格好良く、映像も音響も鳥肌もののクオリティ。前述のBLITZ AND SQUASH BRASS BANDの、フロアを練り歩きながらの演奏シーンも凄まじい迫力ですが、その後山本アキヲと高山純のインタビュー映像に続くAUTORAのライブの臨場感溢れる映像とサウンドは悶絶もの。

その他にもオシリペンペンズ、赤犬、いとうせいこう & DUB MASTER X、YOUR SONG IS GOOD……などなど、観応えたっぷりな演奏シーンが次から次へと登場し、どれも余りに格好良過ぎて座って観ているのが惜しくなるぐらいです。

インディペンデントな映画のような手作り感やチープさも一切無い高いクオリティで、各演奏シーンがそれぞれのアーティストのミュージックビデオに使われても良いのではないかと思えるほど(というか、この問題を浸透させるには、それっていい手段なのかも)。

オーディエンスにメッセージを伝えながら、熱い演奏を繰り広げるミュージシャンたち。音楽に身を揺らしながら、笑顔と楽しげな語らいが溢れるフロア……。映画を観終わった後、僕が連想したのはウッドストックの映画でした。

いわゆるドキュメンタリー映画に多い、シリアス一辺倒な重い映画にはなっていないので、ドキュメンタリー映画や風営法問題に興味が無い音楽ファンでも安心して最後まで楽しめる、しかも風営法についての理解も深まる内容になっています。この手のミュージシャンのライブ映像がまとめて観られるコンテンツとしても、内容・クオリティ、現場の生々しい空気感共に最高峰ではないかと思います。誰もが観終わった後、「ああ、ライブ行きたい」「ああ、クラブ行きたい」とうずうずすることでしょう。

どうしても風営法を主軸に据えているために、風営法問題に関心が無いとあまり観に行きたいと思えない映画かも知れませんが、風営法抜きにしても、音楽好きならライブシーンだけでも十分元が取れるだけの充実度です。そして、まるでフロアに紛れ込んだかのようなダイナミックでパワフルなサウンドは映画館のサウンドシステムならでは。

劇場で楽しむ価値あり、の映画です。

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