HOP KEN(3月33日、白い汽笛、グラタンカーニバル) at millibar (Osaka)

この日はmillibarで行われたHOP KENに行ってきました。

HOP KEN at millibar

millibarには以前杉本くんのイベントの打ち上げにお邪魔させていただく形で来た事はありましたが、音楽イベントで来たのは初めて。広いお店ではないですが、PAも出演バンドも小さな音だったからか、後方に座って観ていると、かなり控えめにな音量でした。UrBANGUILDや旧グに相通じる、リストランテでの音楽鑑賞の寛いだ雰囲気は、この日のようなプログラムにはとてもマッチしていて大変心地良かったです。

先発は初見だった光永惟行率いるグラタンカーニバル。光永氏のたたずまいそのままの、頼りなげでセンシティブ、そしてピッチの揺れた歌声は、今にも破綻しそうな脆さを漂わせていますが、彼の奏でる音から醸し出される哀愁が、それを優しく受け入れるように包み込んでいます。ギターを爪弾いてもサックスを吹いても、一つ一つの音から宿命的に溢れ出るペーソス。決して饒舌でなく、控えめに見えるからこそより引き立つその音の強さにやられて、ウーロン茶一杯で初っ端からすっかりいい気分になってしまいました。

ラストは、この日の出演者総出でジョン・レノン“Happy Xmas (War Is Over)”を、全員が順番にボーカルを取る形で演奏。エンディング感満載で思わず苦笑してしまいそうでしたが、一方で今が戦争前夜なんだということを思い知らされるような気分になり、少しシリアスな心持ちにもなりました。

続いては白い汽笛。試聴会では何度も聴きながらも、レコ発含めなかなか観に行けず、結構久しぶりに観ました。バンドはますます安定感を増し、より磨き上げられたバンドサウンドに乗せて歌われた新曲には、新境地へのステップアップも感じられました。バンドの充実度が、安定しながらも前へ進むための推進力にもなっているな、と思わせるパフォーマンスでしたが、もう少し冒険してもいいのかも、と思わなくもないかな。

最後は3月33日。この日はゲストにみやけをしんいち、不動翔子、元山ツトム、カメイナホコの4名を迎えての“7月77日”としての演奏(うち一曲、小倉向がボーカルを取り、“8月88日”に)。これがもう言葉にならないくらいの素晴らしさで、最後までうっとりしながら聴き惚れてしまいました。

ゲストメンバーの演奏は、楽曲本来の魅力を引き立たせるための理想的な音を重ね、3人のポテンシャルを最大限に引き出すバックアップをし、それによって歌は鮮やかな彩りを見せ、それまで3人の元でやや内省的に響いていたものが、外へ向かって大きく翼を広げ、圧倒的なスケールで眼前に立ち現れました。

どんな大舞台にかけても遜色が無いであろう、凄みすら感じさせる強固な存在感とクオリティ。それは、3人のセンシティブな歌声と同居する振り幅の広いコンポージングのセンスと確かな演奏力、あらゆる要素を全て加算して積み重ねることのできる確かな構築力あってのものでしょう。

この日は三者共素晴らしい演奏でしたが、3月33日だけは、この会場に収まり切らない、なんだかとてつもなく大きなものが突然目の前に現れたような、そんなインパクトがありました。初めて観た時から印象の強かったバンドですが、思っていた以上に底知れぬものを秘めているようです。このバンドは、すごい。

ミソラシロ
ミソラシロ 3月33日

ソラレコード 2012-05-13
売り上げランキング : 431088

Amazonで詳しく見る by G-Tools

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください