unbeltipo at ネガポジ (Kyoto)

この日はネガポジunbeltipoを観に行きました。この日の京都公演がライブDVDの発売記念ツアーの初日ということでした。

unbeltipo at ネガポジ

僕にとって今堀恒雄という人は、「井上陽水のバンドでクールにギターを弾いてる人」であり、氏がTipographicaのリーダーだったことを知った(というか気付いた)のは随分後でした。

そんなわけでTipographica解散からほどなくしてunbeltipoを始めていたこともぼんやりとしか理解しておらず、関西でも結構ライブをしていて、この日京都でライブがあることも数日前に気付き、ネガポジがTipographica時代からの贔屓のハコらしいということは後日知ったというぐらい予備知識もままならぬまま会場へ。

ネガポジは初めて来ましたが、ほぼ居酒屋と言っても差し支えない内装と営業スタイルで、開演20分前に来ると、テーブルにビール瓶が立ち並び、居酒屋にしては静かではありましたが、既にいい感じに飲み食いしてますよ、という雰囲気が出来上がっていました。小さな店内は、開演までに全ての席が埋まっている様子でした。

開演時間となり、メンバー三人が登場。ナスノミツルがチューナーに入れる電池をパッケージから出せず、前列のお客さんにお願いするなどユルい雰囲気で始まりました。

当然ながら演奏に入ればそんなユルさは単なる息抜きだと分かる緊張感に溢れていましたが、それにしても息つく暇が無いとはこのことかと言うほど、三人は長尺の曲の中で間断なく音を紡いでいきます。

曲は捕らえ所無く軟体動物のようにリズムや曲調が切り替わりながら進んでいき、ナスノ氏がリズムキープする中、今堀恒雄は切れ目無くギターを弾き続け、佐野康夫は曲がたわんだり縮んだりする錯覚をもたらすようなポリリズムを交えながら正確無比に叩き続けます。曲の最初の印象が消え失せるほどに変形し、時間感覚が狂い切った頃に楽曲は終了。ステージは前・後半に分けられていましたが、共に演奏曲は3曲。

めまぐるしい展開に耳を奪われながら、一体何が起こっているのかと三人の動きを追っていましたが、何せ三人とも休む間もなくプレイし続けているので、誰かを見ていると誰かが新しい動きをし、そちらに意識が行くと今度は別のメンバーが……といった具合に終始アクロバティックに走りっぱなしなので、全容がほとんど把握出来ず。今堀氏がツアー初日で久々にやる曲も多かったのでミスも多かった、と言っていましたが当然どこがミスなのかも分からず。

おそらく録音物と聴き比べると、どこまで作曲されていて、どの辺りがアドリブなのかもなんとなく見えてくるのかもしれませんが、佐野氏が「昔の曲は殆ど覚えてなくて、譜面を見ても思い出せない」と言っていたり、その昔の曲が作品としてリリースされたものなのか、その際なんというタイトルが付いたものなのかをメンバーの誰も覚えていなかったところを見るとそれも怪しいかもしれません。

また佐野氏がその時のMCで「普段は譜面見ながら演奏しないけど、このバンドは無理」と言っていたところからして、かなり緻密に作曲されているであろうことは計り知れます。確かに構造としてはTipographicaでやっていたこととあまり変わらないように聴こえましたが、小編成でやっている分、多人数で折り込まれる全体像と比べて隙間が多く、曲全体の像がより不定形で柔軟になっている印象がありました。

曲間のMCはわりと長めでした(さすがに複雑極まりない楽曲を10分強演奏し続けると休憩を取らないと保たないのでしょうか)が、今堀氏も佐野氏もかなり口下手な感じで、ナスノ氏も是巨人で観た時の躁状態の勢いはどこへやら……というぐらいの大人しさで、出来たばかりでまだ誰も観ていないため、ライブDVDの話に触れても芯を食わず、結構空振り状態でした。Tipographica時代に文章も曲名もMCも菊地成孔に一任していたのがよく分かりました。

とは言え、演奏に関しては一度観ただけては分かった気にも到底なれず、音源すら買う気になれなかったので、近いうちにまた観に行きたいです。

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