DCPRG at umeda AKASO (Osaka)

この日はumeda AKASODCPRGを観に行きました。

dcprg

再結成後、そしてDCPRGに改名してから観るのも初めて(クアトロでのラストステージ以来)なら、バナナホール閉店後のこのハコに来たのも初めて(曽我部恵一独り会以来)。ということで、どちらも6年振りでした。

AKASOの内装はバナナホール時代そのまんまという感じですね。ステージ左上の出窓のようなところを見上げながら、ちょっと懐かしい気分になりました。

開演15分前に入場しましたが、フロアのお客さんの入りは5、6割程度でしょうか。関西での集客力は相変わらずのようでした。会場内BGMは当然のごとく、発売間もないJAZZDOMMUNISTERS

冒頭、菊地成孔が短いMCで久々の来阪の挨拶を入れ、CD-Jでアミリ・バラカのポエトリーを擦りながら“ジャングルクルーズにうってつけの日”で3時間のステージが開幕。芯を食うようにドスッとド真ん中に来ない、捉えどころなく終始揺らめくポリリズムのダンスビートが生む抑制された高揚感は、解散前のそれと変わりませんが、ホーン・セクションを始めメンバーが絞られ(その分キーボードが二人になっていましたが)ている分、各メンバーのプレイに視点が定まりやすく、カオティックな印象は薄く、ステージで起こっている現象が捉えやすくなっていました。

ブレイク無しに、曲は昨年のアルバムにも収録されていた、菊地雅章オリジナルバージョンのイントロから始まるアレンジでの“Circle/Line”に続きます。この辺りに来て感じたのは、BPMが昔よりもゆっくりめであることや、メンバーの編成などから、昔のビッグバンド然としたゴージャスなサウンドから、よりバンドのグルーヴに重点を置いたスタイルに再構築したのかな、ということ。

坪口昌恭と小田朋美がヘッドセットマイクを装着すると、始まるのは勿論“Playmate at Hanoi”。途中、菊地氏のタクトに合わせて、ドラム/パーカッションのみ“どっ、たん、どっ、たん”という大味な拍子にリズムチェンジするところがクールでした。

千住宗臣のドラムソロで曲が終わり、一瞬のブレイクの後、大儀見元のパーカッションに導かれて“Catch22”へ。アルバムでフィーチュアされていた大谷能生と兎眠りおん、菊地氏本人のMCをCD-Jで重ねてアルバムテイクを擬似再現していました。大谷氏のラップに合わせてCD-Jに向かって口パクする菊地氏がとても楽しそう。

続いてのこの日唯一の新曲は、ユニゾンで弾くキーボードが、ビバップのソロのような複雑なフレーズをテーマのようにした、ウォーキングベースも登場するWeather Report風ジャズ/フュージョンナンバー。DCPRGとしては異色な曲ですが、譜面でガッチリと固めた作曲とライブでの自由度の間を行くような構成は、彼らの今後を示唆しているとも感じられました。

続く“構造I”では、津上研太、高井汐人二人のサックスがラリーをするように高速ソロを奏でていたのが印象的。管の本数が減ったことで曲の骨格は変わらなくても、ソロの取り方に変化が起こってるんだなと感じられる瞬間でした。

曲終わりの田中教順のドラムソロにアミリ・バラカの擦りを重ねる形でラスト・チューン“Duran”へ。この日一番の、腰にグイグイ来る極上のファンキーサウンドでした。さすがのマイルス・ナンバーといったところでしょうか。しかしここまでライブ映えするとは思いませんでした。

ラストにふさわしい高揚感の中、大儀見氏とCD-Jからのポエトリーを残してメンバーが退場し、パーカッションのソロになるというエンディングは解散前のまま。しかし、ここに至って、この日のセットが、意外に昨年のアルバムを踏まえたレコ発的な内容にもなっていたことに気がつきました。

アンコール曲はお約束の“Mirrorballs”。この日の演目は、大半が昔からのライブの定番曲で、それぞれ新たなアレンジも加えられているとは言え、正直今となってはもうあまり新鮮味も無く、周囲の「待ってました」とばかりの盛り上がりにもあまりついていけないぐらいで、できればもっと新曲が聴きたい気分でしたが、この曲は「またかよ」と思いながら、最後にはすっかり聴き入ってしまっていました。

とは言え、次の関西上陸まではまたしばらく待つことになるでしょうし、その頃までには現布陣での新たな楽曲でセットリストを一新するほどのリニューアルを期待したいところです。

アンコールのMCでは、NOON出演時の思い出に交えて風営法の問題についても触れていました(映画も観たそうです)。基本音楽活動上のポリシーでポリティカルな発言はしないことにしているが、NOONには昔世話になっているし敢えて、という前置きで、「どんな抵抗をしても、公安がやるって言ったら絶対やるから、後はもう隠れてやるしかない。でも、音楽で踊って楽しかった、という記憶だけは奪えない。それを胸に生きていくんだ」というようなことを言っていました。その言葉になぜか僕は希望を感じ、とても励まされたような、救われたような心持ちになりました。

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