3月24日(日)「第四回“いい試聴機”で聴こう!ほ〜ぷ軒わくわく試聴会 特集・DSD音源を真空管アンプで聴く」に備えて、DSDの解説をちょっと

3月24日(日)「第四回“いい試聴機”で聴こう!ほ〜ぷ軒わくわく試聴会 特集・DSD音源を真空管アンプで聴く」

……ということで、来月DSDの試聴会をやります。

沢山のお客さんに集まってほしいんです……が、そもそも「DSD」というのが、多分オーディオマニアの人以外にほとんど通じていない気がして、この日かける音楽のファンの人たちが集まってくれるのかとても不安です。

ですので、DSDについて、もう少しだけ解説してみたいと思います。

普段我々が主に音楽を聴くためのメディアは、CDです。盤面に「Compact Disc Digital Audio」と書かれたものです。

CDはアナログ信号をPCM信号というデジタル情報に変換して記録していますが、これにはいくつかの行程があります。

まず演奏される元の音の信号を、1秒あたり44,100回の計算……つまり、1秒を44,100段階に分割するという精度で、時間軸の情報を変換します。これが「標本化(サンプリング)」というもので、CDのサンプリング周波数が「44.1kHz」と言われているのはこのことです。

次はサンプリングされた音の強弱を、65,536(2の16乗)段階に分割します。これを「量子化」と言います。これがいわゆるCDで言う「16bit」ということです。

この後、符号化という作業で分割された情報が0と1に割り当てられ、PCM信号としてCDの盤面に記録されます。

で、今回取り上げるDSDというのは、サンプリング周波数が2.8MHz(44.1kHzの64倍)とCDより遥かに細かくなりますが、音の強弱はたった1bitで計算します

信号の大きさの変化を、時間軸の粗密(大きければ密に、小さければ粗)によって加算/減算(つまり、0か1=1bit)して表現するので、図解するとこちらの画像の下図のように、バーコードのような縦線の密度の違いになり、しかも1秒間に約280万回計算しますので、グラデーションのようになります。

この、粗密波によって音を伝える仕組みはスピーカーの構造(コーン紙が前後して振動を伝える)や鼓膜の音を捉える仕組みと同じであることや、サンプリング周波数が大きければ大きいほど高い周波数まで再現出来る(サンプリング周波数の1/2の周波数まで再現出来るので、CDの場合は22.05kHzまで。ちなみに人間の耳が捉えられるのは20kHzまでとされています)ことなどから、DSDは「原音に忠実」「アナログに近い」「音が良い」と言われています。

以上、若干端折りつつ、裏取りもしないまま(間違いがあったらご指摘ください)うんちくを並べてみましたが、分かりやすいんでしょうかどうでしょうか。まあどのみちすごく分かりにくい難しい話だったりしますし、第一、そんな理屈があろうが無かろうが、結局は聴いてみてよく分からなかったら意味がありません。

DSDの、「よく分かるぐらいの良い録音」のものは、スピーカー二本でもマルチチャンネルの音源を聴いているような立体感と楽器の残響音が美しく伸びやかに煌めくような鮮やかな空気感に、例え音にこだわりが無い人でもきっと驚かれることでしょう。

しかし、よく分からないものも結構あります。よく分からないものは、それこそCDとどう違うのかすら分からないほど。多分、耳の良い人や、音にこだわりのある人なら「いや、やっぱり全然違うよ」と言うのかも知れませんが、本試聴会では、僕や杉本くん程度の、普段は別に深く音にこだわってもないし、いいオーディオで音楽聴いてるわけでもない、普通の人が聴いてもよく分からないものについては「よく分からない」と判断します。なので、オーディオマニア向けのイベントではありません。「僕らの」試聴会です。だって「ほ〜ぷ軒わくわく試聴会」は、僕らオーディオ業界衰退後世代の音楽ファンが“いい音”を取り戻すためのイベントだからです。

DSD自体にかなりクセがあって、どうやらどんなものを録音してもDSDはすごいというものではなく、ものによってはDSDの特性が全然活かされないこともある、ということが、過去のDSD試聴会で何となく分かりました。しかし前述したように、違いがよく分かるぐらい良いDSD録音を聴く体験は、他に代えが利かないぐらいの、なかなかすごいものです。本試聴会では、そういった体験を一人でも多くの音楽ファンの人たちと共有出来ればいいなと思っています。

というわけで、今回もおやつが出ますし、どうぞゆっくりしていってね、という感じで。多分楽しいと思いますよ。

終演後のお客さん向けの試聴環境はどうしようかなぁ、と現在思索中です。

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