キツネの嫁入り at UrBANGUILD (Kyoto)

この日はUrBANGUILDキツネの嫁入りを観に行きました。

kitsune_oneman_12.jpg

年末恒例となったキツネの嫁入りの年末ワンマン。会場内は、この日のスペシャルメニュー・キツネの担担麺(ただ辛いだけでない、クリーミーで濃厚なスープが絶品でした)に舌鼓を打ち、酒を飲み、知人と語り合う、忘年会ムードに溢れた和やかな雰囲気でした。

この日も昨年同様二部構成で、第一部は2ndアルバムの曲を中心に、第二部で1stの曲、という大まかな構成は同じでしたが、たゆたうのイガキアキコが数曲ゲスト参加していたり、一部と二部の幕間でザ・なつやすみバンド/うつくしきひかりのナカガワリサの弾き語りがあったり、二部の後半は来年以降への架け橋となる新曲が披露されたり、とかなり贅沢で盛り沢山な内容。

ナカガワ氏の弾き語りは、うつくしきひかりで耳にすることのできるそのままの、透明感のある真っすぐな声と、海辺で光が煌めくようなピアノの響きに聴き惚れてしまう演奏でした。うつくしきひかりの曲や、ビル・エヴァンス「Waltz For Debby」にオリジナルの日本語詞をつけた曲も演奏していましたが、聴こえてくる音はまぎれも無い彼女独自の世界。しかも一切押し付けがましくなく、優しく柔らかく、軽やかに心の奥まで響いてきます。うつくしきひかりというユニットのカラーは彼女の存在によって出来上がっているんだな……というか、スティール・パン無くてもいいんじゃないかしら……と思うことしばし。4曲だけの短いパフォーマンスでしたが、(普段一人でステージに立つことがある人なのかどうか、その活動をつぶさに追っていないので分からないんですが)1時間ぐらいたっぷりと堪能したい気分でした。

キツネの嫁入りのステージ・第一部で演奏された(昨年のワンマンの時点ではアルバムがリリースされていなかったので「新曲」という扱いになっていた)2ndの曲は、バンドの顔としてすっかり定着しており、逆にこうやってわざわざ固めて演奏されることにやや違和感が生じるほど。第二部での1stの曲で久々にジャンベを導入していましたが、今聴くと逆にフレッシュ感があり、そろそろワンマンでもアルバムごとのセグメントは外した方がバンドの魅力がより引き立ってくる時期になってきたようです。いやそれにしても、こうやって久し振りに1stの曲聴くと、ほんと良い曲多いですね。「白黒」で見せるユーモラスなエッセンスは、今の彼らの音に足りない要素のひとつでもあります。

後半で連投された新曲群は、その二枚のアルバムを踏まえつつ、更に次のステップへと走り出している力強さとスピード感が伝わってくる充実の内容。「ブルー、始まりと終わりと。」で垣間見せていたロック然としたリフの曲あり、藤井都督のボーカルを前面にフィーチュアした曲あり、マドナシ流THA BLUE HERBとも言えるスポークンワード調の曲もあり……と、これまで以上にストレートかつアグレッシブ。そこに彼ら特有のシニシズムとヒネリが盛り込まれ、キツネの嫁入りらしい、癖の強い、一筋縄ではいかないサウンドに練り上げられていました。

現状に飽き足らずバンドの可能性を拡張していく貪欲さもすごいですが、それを結実していくバンドの結束力とポテンシャルも素晴らしいです。エキゾティシズムを醸し出していた1stから一変、ハードなバンドサウンドとプログレ的作り込みに力点を置き、2nd完成に至る過程で磨き上げられたアンサンブルあってこその柔軟性と安定感。

来年は更にもう一皮、二皮剥けて、新たな「キツネの嫁入り」に変貌していくことでしょう。そんな「脱皮し続ける魔性の狐」の今後に、期待は膨らむばかりです。

この日のセットリストを公式ブログより引用。
<第一部>
雨の歌
東西南北
エール
ブルー
家探し
結局、そう
俯瞰せよ月曜日
せん
ヤキナオシクリカエシ
最後の朝焼け

<第二部>
忘却
箱庭
カラマワリ
群れをなす
白黒
放物線
BGM
悲哀の仕事
山羊は死刑台に登らない
死にたくない

〜アンコール〜
答えとして

俯瞰せよ、月曜日
俯瞰せよ、月曜日 キツネの嫁入り

インディーズ・メーカー 2012-05-25
売り上げランキング : 58636

Amazonで詳しく見る by G-Tools

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください